前々走の菊花賞は初めてのGⅠ挑戦だったが、2着と好走を見せた。前走のダイヤモンドSでは、2着ジャンカズマに4馬身差をつける完勝で重賞初制覇。早めに先頭に立つ強気の競馬で、メンバー中最速の上がり3ハロン34秒9（推定）をマークした。父のルーラーシップは5歳時のクイーンエリザベスⅡ世C（香港）でG1初制覇を果たしたように、年齢を重ねながら力をつけた馬。血統面を考えれば、本馬も成長力を備えているはずで、ここからさらなる飛躍を遂げる可能性は高そうだ。キャリア的にも今回がまだ9戦目。芝中長距離路線を引っ張る存在になれるかどうか、注目したい。

昨年はドバイシーマクラシック（G1・UAE・芝2410メートル）4着からスタートし、天皇賞（秋）でも4着。その後もジャパンカップ5着、有馬記念5着と勝ち星こそないものの、GⅠの強敵を相手に掲示板を確保した。今年で6歳となったが、年明け初戦の前走・大阪杯では勝ち馬ベラジオオペラから0秒4差の6着。しぶとい末脚は健在で、元気な姿を見せている。芝3000メートル以上の長距離レースでは、3戦して2022年の菊花賞3着、2023年の阪神大賞典1着、天皇賞（春）1着といずれも力を発揮。実績のあるこの距離なら、パフォーマンスアップが見込めるはずだ。

2歳秋のメイクデビュー京都（芝2000メートル）で新馬勝ちを収め、3歳春のすみれS（リステッド・阪神・芝2200メートル）も勝って早くから活躍を見せていた一頭。すみれS後は白星から遠ざかっていたが、前走の阪神大賞典で約1年ぶりの勝ち星をつかんだ。レースはスタート後にじわっとハナに立ち、2周目の向正面で一度はマコトヴェリーキー（2着）に先頭を譲ったが、直線入り口で再び前に出るとそこから突き放し、6馬身差の快勝で重賞初制覇を飾った。近親にはジャパンカップを勝ったシュヴァルグラン、秋華賞やドバイターフ（G1・UAE）を制したヴィブロスなどがいる良血馬。GⅠの大舞台でも素質は通用していいだろう。

末脚の破壊力があるものの、道中のポジションが後ろからになるぶん、成績も安定しなかったタイプ。しかしながら、前走のレッドシーターフH（G2・サウジアラビア）では、それまでのうっぷんを晴らすかのような快勝劇を披露した。昨年のきさらぎ賞以来となる待望の3勝目。3000メートルのレースでは、昨年の菊花賞でもメンバー中最速の上がり3ハロン35秒4（推定）をマークして5着に健闘しており、長距離ならしっかりと実力を発揮できる。4月24日には栗東CWコースで6ハロン81秒5（ラスト1ハロン11秒5）をマーク。帰国初戦でも調整は順調のようだ。

全姉のユーバーレーベンは2021年のオークス馬で、半兄マイネルファンロン（父ステイゴールド）も新潟記念を勝つなど息長く活躍。能力の高さと豊富な成長力をしっかりと伝える母系の出身と言っていいだろう。本馬は昨年12月の3勝クラス・オリオンS（京都・芝2200メートル）を勝ってオープンクラス入りを決めると、続く日経新春杯で3着に好走。前走の日経賞では、昨年の菊花賞馬アーバンシック（3着）などの強敵を相手に重賞初制覇を果たした。以前は後方から差して届かずというレースも見られたが、近走は先行策から長くいい脚を使って上位争いに加わっており、堅実性も出てきている。

昨年の天皇賞（春）は初めてのGⅠ挑戦だったが、メンバー中最速の上がり3ハロン34秒6（推定）をマークし、1着テーオーロイヤルから2馬身差の2着と連対を果たした。続く宝塚記念でGⅠ初制覇を達成。昨秋こそ思うような結果を残すことができなかったが、年明け初戦となった前走の阪神大賞典で3着と復活の兆しを見せた。瞬発力勝負になるよりは、レースの後半で時計がかかるようなタフなレースが得意。3000メートル以上のレースでは、3戦して2着1回、3着2回と堅実に結果を残しており、今回も崩れず走ってくる可能性が高そうだ。

母フリアアステカがアルゼンチンのG1勝ち馬という良血馬。本馬は2歳9月のメイクデビュー阪神（芝2000メートル）で初陣を飾ると、続く東京スポーツ杯2歳Sでは4着。3歳春には青葉賞で2着に好走し、重賞でも通用する能力を証明した。昨秋も神戸新聞杯3着、菊花賞4着と存在感を発揮。今年初戦となった2走前の日経新春杯では2着に入り、改めて力量上位を示した。前走の阪神大賞典で4着の後は本レースに照準を合わせ、4月23日には稍重馬場の栗東坂路で4ハロン53秒9（ラスト1ハロン12秒2）をマーク。万全の態勢が整いつつあるとみていいだろう。

今年7歳を迎えた古豪。昨年春は京都記念で4着と健闘し、目黒記念では2着に入るなど、本格化の兆しを見せた。昨秋の京都大賞典を鮮やかに差し切って重賞初制覇。続くステイヤーズSでは初めて3000メートルを超えるレースに挑んだが、ハナ差で勝利をつかみとった。3600メートルのレースで結果を出したことは、今回に向けて大きな強調材料になるだろう。京都競馬場では前述の京都大賞典勝ちに加え、デビュー3戦目の萩S（リステッド・芝1800メートル）でも勝ち星を挙げており、実績を残しているコース。ぴったりの条件で久々のGⅠに挑むことができそうだ。