新潟2歳Sは世代最初のマイル重賞で、2018年優勝のケイデンスコールは翌年のNHKマイルCで2着に入り、古馬になってからも京都金杯とマイラーズCを勝利した。また、2021年優勝のセリフォスは同年末の朝日杯フューチュリティSで2着となり、翌年のマイルチャンピオンシップで古馬を破ってGⅠタイトルを獲得と、世代限定戦にとどまらずその後も活躍を続けた。この一戦の傾向を、過去10年の結果から探ってみたい。
2015年は単勝12番人気のウインファビラスが2着に入ったことで3連単26万円超の高配当となったが、過去10年で2桁人気馬が3着以内に入ったのはこの年だけ。さらに、2015年以外の9回では4番人気以内の馬が2頭以上馬券に絡んでいる。特に、ここ3年は4番人気以内の馬が3着以内を占める堅い決着が続いているだけに、予想は上位人気馬を中心に組み立てるのが無難なようだ。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 4-3-0-3 | 40.0% | 70.0% | 70.0% |
2番人気 | 1-1-4-4 | 10.0% | 20.0% | 60.0% |
3番人気 | 4-2-1-3 | 40.0% | 60.0% | 70.0% |
4番人気 | 1-1-0-8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
5番人気 | 0-1-0-9 | 0% | 10.0% | 10.0% |
6〜9番人気 | 0-1-5-34 | 0% | 2.5% | 15.0% |
10番人気以下 | 0-1-0-54 | 0% | 1.8% | 1.8% |
過去10年の3着以内馬30頭のうち、20頭は前走で新馬戦を勝っていた馬で、未勝利戦を勝って臨んだ馬が9頭で続いている。一方、オープンクラスから臨んだ馬は苦戦しており、唯一好走した2015年3着のマコトルーメンは前走が函館2歳Sだった。また、同じ新潟競馬場で行われるオープン特別のダリア賞組は、優勝馬5頭を含む19頭が出走しながら3着以内なしとなっている。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅢ | 0-0-1-0 | 0% | 0% | 100% |
オープン特別 | 0-0-0-22 | 0% | 0% | 0% |
新馬 | 7-6-7-59 | 8.9% | 16.5% | 25.3% |
未勝利 | 3-4-2-33 | 7.1% | 16.7% | 21.4% |
地方競馬 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の前走の競馬場別成績を見ていくと、優勝馬は全て前走が左回りの競馬場だった。また、出走頭数が20を超えるところでは東京と中京が3着内率30%超の好成績を残しており、同じ左回りの新潟も3着内率は今ひとつながら5勝を挙げ、過去5年に限れば4勝と存在感を増している。ただし、前走が右回りというだけで見限るのは早計で、福島だった馬は馬券に絡んだ全4頭が単勝6番人気以下と、妙味という点では無視できない存在となっている。〔表3〕
前走の競馬場 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
函館 | 0-0-2-1 | 0% | 0% | 66.7% |
福島 | 0-2-2-22 | 0% | 7.7% | 15.4% |
新潟 | 5-1-1-48 | 9.1% | 10.9% | 12.7% |
東京 | 1-5-3-17 | 3.8% | 23.1% | 34.6% |
中京 | 4-2-1-15 | 18.2% | 27.3% | 31.8% |
阪神 | 0-0-1-5 | 0% | 0% | 16.7% |
小倉 | 0-0-0-6 | 0% | 0% | 0% |
地方競馬 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬30頭中16頭は前走も芝1600メートルで、3着内率34.0%と好走率も高いレベルにある。前走が芝1800メートルだった馬は勝利こそないものの、昨年は2着と3着に入るなど3着内率は芝1600メートルに次ぐ数値をマーク。一方、芝1200メートル組は連対がなく、芝1400メートル組は2勝を挙げているとはいえ3着内率は7.8%にとどまり、特にここ5年は〔0・1・0・16〕と苦戦傾向が強まっている。〔表4〕
前走の距離 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
芝1200m | 0-0-3-13 | 0% | 0% | 18.8% |
芝1400m | 2-2-0-47 | 3.9% | 7.8% | 7.8% |
芝1600m | 8-3-5-31 | 17.0% | 23.4% | 34.0% |
芝1800m | 0-5-2-18 | 0% | 20.0% | 28.0% |
ダート戦 | 0-0-0-6 | 0% | 0% | 0% |
前項までの表から、過去10年の優勝馬の前走は新馬戦または未勝利戦で、競馬場は左回りの新潟・東京・中京のいずれか、さらに距離は芝1400メートルか芝1600メートルのどちらかであったことが分かる。加えて、いずれの馬も「前走の出走頭数が10頭以上で、上がり3ハロンタイム(推定)順位が2位以内」という共通点があったことも参考になりそうだ。〔表5〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 前走 | 前走の頭数 | 前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位 |
---|---|---|---|---|
2013年 | ハープスター | 新馬・中京・芝1400m | 10頭 | 1位 |
2014年 | ミュゼスルタン | 新馬・新潟・芝1600m | 18頭 | 1位 |
2015年 | ロードクエスト | 新馬・東京・芝1600m | 14頭 | 1位 |
2016年 | ヴゼットジョリー | 新馬・中京・芝1400m | 18頭 | 1位 |
2017年 | フロンティア | 新馬・中京・芝1600m | 12頭 | 2位 |
2018年 | ケイデンスコール | 未勝利・新潟・芝1600m | 11頭 | 1位 |
2019年 | ウーマンズハート | 新馬・新潟・芝1600m | 16頭 | 1位 |
2020年 | ショックアクション | 未勝利・新潟・芝1600m | 18頭 | 1位 |
2021年 | セリフォス | 新馬・中京・芝1600m | 10頭 | 2位 |
2022年 | キタウイング | 未勝利・新潟・芝1600m | 10頭 | 1位 |
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