2022年のエルムSは、前走のマリーンSを勝って臨んだフルデプスリーダーが単勝オッズ16.9倍(9番人気)の低評価を覆して勝利をおさめた。過去10年の優勝馬10頭中、単勝1番人気に支持されていたのは2020年のタイムフライヤーのみと、前評判通りの決着が少ない。もっとも、過去10年の3連単の配当を見ると、10万円を超えたのは3回だけで、20万円を超えた年はない。極端な高額配当が飛び出す可能性は低いとみるべきかもしれない。今回は函館・ダート1700メートルで行われた2013年と2021年を含む過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の年齢別成績を見ると、4歳と5歳の馬が比較的優秀な3着内率をマークしている。基本的には若い馬が信頼できるとみてよさそうだ。〔表1〕
年齢 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4歳 | 3-2-2-13 | 15.0% | 25.0% | 35.0% |
5歳 | 5-3-3-22 | 15.2% | 24.2% | 33.3% |
6歳 | 2-2-4-33 | 4.9% | 9.8% | 19.5% |
7歳 | 0-2-0-21 | 0% | 8.7% | 8.7% |
8歳 | 0-1-0-10 | 0% | 9.1% | 9.1% |
9歳 | 0-0-1-4 | 0% | 0% | 20.0% |
10歳 | 0-0-0-2 | 0% | 0% | 0% |
なお、過去7年の3着以内馬延べ21頭中20頭は、年齢が6歳以下だった。近年の傾向からも7歳以上の馬は過信禁物とみておきたい。〔表2〕
年齢 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6歳以下 | 7-6-7-47 | 10.4% | 19.4% | 29.9% |
7歳以上 | 0-1-0-28 | 0% | 3.4% | 3.4% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中28頭は、前走が国内、かつ前走の4コーナー通過順が6番手以内だった。一方、7番手以下だった馬は3着内率5.4%と苦戦している。前走の4コーナーを中団や後方のポジションで通過していた馬は、評価を下げるべきだろう。〔表3〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の4コーナー通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6番手以内 | 10-8-10-69 | 10.3% | 18.6% | 28.9% |
7番手以下 | 0-2-0-35 | 0% | 5.4% | 5.4% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、同年のJRAのレースにおいて3着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率10.7%とやや苦戦している。〔表4〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-7-8-55 | 11.4% | 20.3% | 30.4% |
なし | 1-3-2-50 | 1.8% | 7.1% | 10.7% |
さらに、過去6年に絞ると3着以内馬延べ18頭中17頭は、同年のJRAのオープンクラスのレースにおいて3着以内に入った経験がある馬だった。今年に入って重賞やオープン特別でまだ馬券に絡んでいない馬は、割り引きが必要だ。〔表5〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 6-5-6-31 | 12.5% | 22.9% | 35.4% |
なし | 0-1-0-35 | 0% | 2.8% | 2.8% |
過去7年の3着以内馬延べ21頭中14頭は、前走の着順が2着以内だった。一方、3着以下だった馬は3着内率11.5%とやや苦戦している。〔表6〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2着以内 | 6-5-3-21 | 17.1% | 31.4% | 40.0% |
3着以下 | 1-2-4-54 | 1.6% | 4.9% | 11.5% |
なお、前走の着順が3着以下だったにもかかわらず3着以内に入った延べ7頭のうち3頭は、前走が平安Sだった。前走平安Sで3着以下だった馬は4頭しか出走していないので、3着内率は75.0%と非常に高いレベルにある。近年の傾向を重視するならば、前走連対馬や、前走が平安Sだった馬を高く評価したい。〔表7〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
平安S | 1-0-2-1 | 25.0% | 25.0% | 75.0% |
平安S以外 | 0-2-2-53 | 0% | 3.5% | 7.0% |
過去6年の優勝馬6頭は、いずれも年齢が6歳以下だった。また、この6頭は前走の4コーナー通過順が6番手以内だった点、同年のJRAのオープンクラスのレースにおいて2着以内に入った経験があった点も共通している。これらの条件をクリアしている馬に注目すべきだろう。〔表8〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 年齢 | 前走の4コーナー通過順 | 同年のJRAのオープンクラスのレースにおける最高着順 |
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2017年 | ロンドンタウン | 4歳 | 5番手 | 2着(アンタレスS) |
2018年 | ハイランドピーク | 4歳 | 先頭 | 2着(マリーンS) |
2019年 | モズアトラクション | 5歳 | 6番手 | 2着(マリーンSほか) |
2020年 | タイムフライヤー | 5歳 | 5番手 | 1着(マリーンS) |
2021年 | スワーヴアラミス | 6歳 | 3番手 | 1着(マリーンS) |
2022年 | フルデプスリーダー | 5歳 | 3番手 | 1着(マリーンS) |
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