前走の1勝クラス（東京・芝1800メートル）が実に強い内容。好位3番手からメンバー中最速の上がり3ハロン33秒0（以下推定）の末脚を繰り出し、シンザン記念の3着トーホウガレオン（3着）を5馬身以上も突き放す快勝劇だった。これでデビューから4戦いずれもメンバー最速の上がり3ハロンタイムをマーク。秘めるポテンシャルはかなりのものだ。管理する田中博康調教師は「前走は折り合いをつけて理想的な形だったかなと。かなり前進気勢が強いので、新馬から我慢させて脚を使う競馬を覚えさせてきました。（福島の開幕週は）向いていると思います」と期待十分だ。馬名の由来は「生き様（独）。父名、母名より連想。生き様で魅了する馬になるように」。

前走の白百合S（リステッド）は、道中でやや行きたがるシーン。直線も内にモタれるなどロスのある競馬だったが、ギアが上がってからは強力な末脚で他馬を抜き去った。若さが目立つレース運びだっただけに、逆に底力が強調されるような勝ちっぷり。騎乗した西村淳也騎手は「いいスタートを切りましたが（ハミを）かむので後ろからに。それでも脚はたまっていました。まだ遊びながら走っているようなイメージです」と振り返った。3走前の1勝クラス（東京・芝1600メートル、2着）で敗れたのは、その後の日本ダービーで5着に入ったノッキングポイント。戦ってきた相手も強力で、ここに入っても臆することはない。馬名の由来は「香調の1つで、樹脂系の重みがある甘い香り」。

前走のスイートピーS（リステッド・東京・芝1800メートル）を快勝。大外枠スタートから道中は外を回り続ける距離ロスがあったが、直線では力強い伸び脚を見せ、アルテミスS3着の実力馬アリスヴェリテ（2着）に1馬身をつけて差し切った。騎乗した菅原明良騎手は「1800メートルでも折り合いに問題はなかったです。中団で流れに乗って、終始いいハミがかりで競馬ができました。まだまだこれから成長してほしいです」と高く評価した。距離延長に加え間隔も短かったオークスは早々に見送り、この中間は成長を促すために休養へ。帰厩後の調教では心身ともにパワーアップした走りを披露している。馬名の由来は「ガーネットの一種」。

前走・皐月賞は、世代屈指のメンバーの中でハナを奪取。果敢なラップを刻み、重馬場で前半1000メートル通過タイム58秒5を刻んだ。タフな馬場で消耗し、直線では余力が残っていなかったが、自身のスタイルで存在感を見せつけた（12着）。騎乗した嶋田純次騎手は「あそこまで行きたくはなかったですが、かわされるとよくないので主張しました。それでも最後は踏ん張っていたし、根性があります」と相棒をねぎらった。近年のラジオNIKKEI賞は2020年バビット（1着、8番人気）、2021年ノースブリッジ（3着、7番人気）、2022年ショウナンマグマ（2着、8番人気）と、伏兵の逃げ馬が好走している。本馬も絶好の開幕週の芝で輝きを放つ。馬名の由来は「花崗岩。母名より連想」。

前走の白百合S（リステッド・京都・芝1800メートル）は惜しい2着だった。好位3番手をリズム良く追走し、直線は一度抜け出す積極的な形。ラストは外から伸びたバルサムノートにクビ差だけ差されたが、次につながる好内容だった。道中でポジションを押し上げて差し切った3走前の1勝クラス・あすなろ賞（1着）など、小回りコースで武器になる機動力を完備。スピード、器用さが求められる開幕週の福島芝コースを苦にするイメージはない。1週前追い切りが掛かり気味の走りだっただけに、当日の競馬場でのテンションはチェックしたいところだ。馬名の由来は「緑みを帯びた水色。母名より連想」。

前走の白百合S（リステッド・京都・芝1800メートル、3着）は昇級初戦でいきなりメドを立てる競馬。少頭数で自分のリズムで逃げられたのは大きかったが、最後までしぶとい粘りを見せた。デビューから6戦は2000メートルと2200メートルを使われたが、1800メートルの近2戦で1着、3着と好走しているのは、ここに向けての好材料だろう。レーベンスティールを破った2走前はレース中に雨が落ちる不良馬場。今週末も他馬の切れ味がそがれるような馬場状態になれば、持ち前のしぶとさが生きる。1週前追い切りでは古馬のオープンクラス相手に力強く先着。中間の上昇は明らかで、初挑戦の重賞でも楽しみは大きい。馬名の由来は「男子名。父名からの連想」。

前走・ニュージーランドT（10着）はゲートで立ち遅れて最後方から。上がり3ハロン35秒4（推定）と脚は使ったものの、先行馬が上位を占める展開では厳しい位置取りとなった。2走前・スプリングS（10着）を含めた近2戦はスタートに失敗しているが、本来の先行策なら大きく変わっても不思議はない。管理する鹿戸雄一調教師は「前走後は間隔を空けてここへ。ホープフルS（9着）の頃からパドックでもテンションが高くなって、この2戦はゲートがもう一つですが、流れに乗れればもう少し上位に来てもいいと思います。間隔を空けたことで、だいぶ穏やかで動き自体もよく、距離的にもいいと思います」と巻き返しを願っている。馬名の由来は「海の魔術師」。

前走・共同通信杯は中団後方を追走。やや窮屈そうな位置で走っていた印象だ。直線も狭いところをジリジリと伸びていたが、7着でゴール。それでも、強敵相手に差のない競馬だっただけに、悲観する必要はないだろう。騎乗した松山弘平騎手は「スタートはよかったのですが、結果的に外枠のほうがよかったかもしれません。最後もしっかりと伸びてはいたけれど、前半の位置取りが厳しかったです」とレースを振り返った。折り合いに不安がなく、芝1800メートルも東京で勝利済み。2走前の1勝クラス・こうやまき賞（中京・芝1600メートル）では長くいい脚を使って勝利しており、福島特有のロングスパート合戦になっても戦える下地はある。馬名の由来は「歌劇場などで音楽稽古をつけるコーチ」。