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傑出した存在のいない混戦模様だが、どんぐりの背比べ的な混戦ではなく、能力の高い馬が複数顔をそろえる水準の高い混戦とみている。
牝馬が強いという定評がある一戦で、実際に過去10年の勝ち馬のうち、半数を占める延べ5頭が牝馬である。
牝馬の代表格は、2着だった昨年の雪辱に燃えるアヴァンチュールだ。9月7日のヴェルメイユ賞(G1・フランス)では、斤量が3.5キログラム軽かった今年の仏オークス(G1・フランス)1、2着馬のゲゾラ、ベッドタイムストーリーを完封。凱旋門賞でよく見られる、極端な道悪になっても対応可能な1頭だ。
牝馬では、英オークス(G1・イギリス)、愛オークス(G1・アイルランド)、ヨークシャーオークス(G1・イギリス)を3連勝しているミニーホークも魅力的な存在だ。同馬の唯一の不安は、牝馬としか対戦していないこと。ここ10年の間に凱旋門賞を制した牝馬は、3歳だった2017年のエネイブルを含めて、いずれも牡馬の一線級と戦い互角の勝負をした実績のある馬たちだった。
そういう点で、7月のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1・イギリス)で2着となっているカルパナは、勝つ資格のある牝馬と言えよう。
今年のチーム・ジャパンは3頭出しで、いずれも渡仏初戦で勝利を手にしての参戦となっている。
8月16日にドーヴィルで行われたギヨームドルナノ賞(G2・フランス)を3馬身半差で快勝したのがアロヒアリイだ。日本の競馬ファンにはなじみのないレースかもしれないが、2023年の凱旋門賞を制したエースインパクトがプレップレースとした一戦である。ここで3着に退けたクアリフィカーが、9月7日のニエル賞(G2・フランス)に優勝。ギヨームドルナノ賞の内容が再評価されることになった。
9月7日にパリロンシャンで行われたフォワ賞(G2・フランス)に出走したビザンチンドリーム。直線に向いてしばらくは前が壁になったが、残り300メートル付近で内2頭の外に空間を見つけると、すかさず進路を切り替え、反応よく抜け出して優勝。2着は昨年のパリ大賞(G1・フランス)を含むG1・3勝馬ソジーだっただけに、非常に内容の濃いパフォーマンスだった。
9月14日のパリロンシャンで行われたプランスドランジュ賞(G3・フランス)を制したのがクロワデュノールだ。1週前より重くなった馬場に少々てこずった印象があったが、そういう路面を経験できたことをプラス材料と考えたい。
日本調教馬の前走はいずれも休み明けで、一度使われての大きな上積みがあることが期待される。
1959年(昭和34年)東京生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の制作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬を学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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