初めての芝1200メートルに挑戦した前走の葵Sで、3走前のチューリップ賞に続く2度目の重賞制覇を達成した。スプリンターとしての資質の高さは早い段階から陣営も示唆していたが、スタンドから大きな歓声が起こるほどのロケットスタートは予想外だった。騎乗した武豊騎手をして「スタートが速過ぎたので逃げました」と苦笑したほど。そのスピードを今回も見せられるようなら、直線の短い小回りコース、他世代相手のGⅢでも一気に押し切れるはずだ。結果はもちろん、大舞台に期待が持てるような内容を期待したい。

前走の安土城S（リステッド・京都・芝1400メートル）で、オープンクラスでの初勝利を飾った。マイルの距離では行きたがる面のある馬。200メートルの距離短縮がプラスに働いたことは確かで、4歳を迎えて馬が充実期に入っていることも見逃せないポイントだろう。GⅠ馬ソダシの全妹としてデビュー時から注目されてきた馬だが、ソダシと比べると成長度合いはゆっくり。陣営も決して無理をさせず、休養期間をしっかりと設けて成長を促してきた。それが花開いた印象だ。1200メートルを走るのは今回が初めてだが、今後を占う意味でも面白いチャレンジになる。

スタートで大きく出遅れ、最後方からの競馬となった前々走の小倉2歳S。他馬が止まって見えるようなすさまじい末脚を発揮して、重賞初制覇を決めた。14着に敗れた前走の京王杯2歳Sはレース中の骨折が敗因で、度外視できるものだろう。ここは約9月半の休み明け。栗東トレーニング・センターのプールと坂路を併用して十分に下地を作ってから調教のペースをアップ。近2週はCWコースで相変わらずの素晴らしい動きを見せている。ただ、長期休養明けのレースが他世代馬相手の重賞と超えるべきハードルは低くなく、地力が問われる一戦となりそうだ。

4走前の2勝クラス（中山・芝1200メートル）は重馬場、3走前の3勝クラス・駿風S（新潟・芝1000メートル）は不良馬場での勝利だったが、前走のCBC賞は良馬場での勝利で、時計も1分07秒2の速い決着。パワーの必要な馬場状態だけが得意舞台ではないことを示している。父はアメリカG1を3勝したフロステッドだが、父の適性はマイルから中距離で、毛色も芦毛。母の父キトゥンズジョイの日本での代表産駒にはスプリンターズSを勝ったジャンダルムがおり、芝のスプリンターとして開花した本馬は母系の影響が強いと言えそうだ。重賞連覇でサマースプリントシリーズ制覇に王手をかけたい。

前走のオープン特別・福島テレビオープン（福島・芝1200メートル）を差し切り、オープンクラス16戦目で待望の勝利をマークした。約2年3か月ぶりの勝ち星で、スプリント戦での勝利も初めてのこと。しかしながら、馬場状態が合わなかったレース以外では大きく崩れず、コースレコード決着となった昨年のCBC賞では1分06秒7の速い時計をマークして4着と、速い時計が出やすい馬場コンディションへの適性も示している。差し一辺倒の脚質ゆえに先行馬が残るような展開では厳しいが、今夏の小倉の芝は開幕週から差しが決まっていた。重賞でも差のない競馬ができるはずだ。

イントゥミスチフ産駒のプラクティカルジョークを父に持つ外国産馬。2勝クラスの突破に時間を要したが、約6か月半の休養期間を取ってしっかりと立て直した前々走の2勝クラス・相模湖特別（東京・芝1400メートル）で差し切り勝ちを収めた。小回りコースのスプリント戦でどうかと思われた前走の3勝クラス・バーデンバーデンC（福島・芝1200メートル）も勝利。最内からスパッと抜けた内容も素晴らしく、2着馬に3馬身の差をつけた。オープンクラスへの昇級初戦が久々の重賞挑戦にはなるが、現在の充実ぶりなら克服しても不思議はない。

約1年2か月の長い休養期間を考慮し、復帰後の3戦はダートに出走。前々走の3勝クラス・水無月S（阪神・芝1200メートル）から芝のレースへと戻してきた。この一戦はワンパンチに欠く内容の5着だったが、54キログラムのハンデで挑んだ前走のCBC賞で本領を発揮。内枠を生かしてインで上手に立ち回り、ゴール前では勝ち馬に食らいつくシーンを作って2着に好走した。3勝クラスからの格上挑戦ながら、オープン級の資質を示すことに成功。前走と同じようなレース運びができれば、小回りの小倉コースでも期待が持てるはずだ。

オープンクラスで2勝をマークし、重賞での2着が3回。今年の高松宮記念では3着に好走するなど、実績的には今回の出走馬でも上位と考えられる一頭だ。一方で、実績を持っているがゆえにハンデ戦では斤量を背負うことも。勝ち馬から0秒5差の4着だった前走のCBC賞（ハンデ58キログラム）も同様で、上位3頭は自身よりも軽い斤量。ひと伸びが足りなかったように見えたパフォーマンスも、実際は斤量差による部分があったように思えた。ただ、今回も前走同様のハンデ58キログラム。立ち回りのうまさを生かして、斤量差を覆す走りを見せたいところだろう。