2025年ブリーダーズカップマイル 合田's View『世界の合田』によるレース展望

アメリカ勢とヨーロッパ勢が互角の成績

芝が舞台となるレースだが、過去10年の勝ち馬を見ると、アメリカ調教馬5頭、ヨーロッパ調教馬5頭と、欧米勢は互角の勝負をしている。

昨年のこのレースで3着だったのがゴドルフィンのノータブルスピーチだ。類まれな瞬発力を武器に、英2000ギニー(G1・イギリス)、サセックスS(G1・イギリス)という2つのマイルG1を制していただけに、アメリカの軽い馬場が合うと見込まれての人気だったが、期待に応えることができなかった。今シーズン前半は精彩を欠く競馬を続けたが、8月のジャックルマロワ賞(G1・フランス)で2着に好走すると、前走のウッドバインマイル(G1・カナダ)を快勝、今季初のG1制覇を果たし、上昇気流に乗っての参戦となる。

アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎からここに挑むのがザライオンインウィンターだ。今季開幕前は3歳クラシックの最有力候補と言われていたが、英ダービー(G1・イギリス)で14着に大敗。シーズン後半はマイル路線にシフトし、ムーランドロンシャン賞(G1・フランス)3着、クイーンエリザベス2世S(G1・イギリス)2着と、ここ2戦の成績は安定している。2歳時には芝7ハロンのG3をレコード勝ちした実績があり、アメリカのスピード競馬への適応力もありそうだ。

西海岸における芝マイル路線を牽引するのが、フォーミダブルマンだ。昨年11月にハリウッドダービー(G1・アメリカ)を制し、G1初制覇を果たした同馬。東海岸に遠征して出走した今季初戦のペガサスワールドカップターフ(G1・アメリカ)は12着に敗れたが、地元に戻った次走のフランクE.キルローマイル(G1・アメリカ)を制し2度目のG1制覇。続くシューメーカーマイルS(G1・アメリカ)は4着に敗れたが、その後は、エディーリードS(G2・アメリカ)、デルマーマイルS(G2・アメリカ)を連勝。デルマーではここまで6戦6勝と、抜群のコース適性を誇る。

アメリカにおけるこの路線の新興勢力として、地元のファンが大きな期待を寄せるのがレトリカルだ。今季ここまで4戦、鋭い末脚を発揮して4連勝。重賞初挑戦となった10月4日のターフマイルS(G1・アメリカ)を制し、重賞初制覇をG1で果たしての参戦となっている。

このレースとダートのブリーダーズカップディスタフ(G1・アメリカ)にダブル登録しているアルジーヌだが、ここまで走った14戦は全て芝で、本線はあくまでもこちらだろう。右回りで2つの重賞を制しているが、今年のヴィクトリアマイル(GⅠ)で差のない4着に来ているように、左回りが不得手なわけではない。コーナーワークが巧みな馬だけに、デルマーの馬場は合いそうだ。

合田 直弘

合田 直弘(海外競馬解説者)

1959年(昭和34年)東京生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の制作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬を学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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