昭和53年4月に開設された美浦トレーニング・センターは、約224万平方メートル(東京ドーム約48個分)の広大な敷地を有し、トラック型調教コース、1,200メートルの坂路調教馬場、競走馬スイミングプール、そして森林馬道といったさまざまな調教施設があります。 また、約100の厩舎で、約2,000頭の競走馬が、レースへの出走へ向けて毎日トレーニングを行っています。
騎手の仕事は、競馬開催日にレースで騎乗することですが、トレセンでの調教にも騎乗します。特定の厩舎に所属する騎手と、どこの厩舎にも所属しない「フリー」の騎手がいます。
調教師の仕事は、馬主から競走馬を預かり、管理・調教して最良のコンディションでレースに出走させることです。
調教師はJRAより免許を受け厩舎経営を行いますので、雇用している厩務員・調教助手の労務管理も重要な仕事となります。
調教助手は、調教師からの指示を受けて競走馬の調教を行い、かつ調教師の補助を行います。
厩務員は、調教師の指示を受けて担当馬の飼育管理、運動、手入れ、馬房掃除などの厩舎作業を行います。調教には騎乗しない厩務員と、調教に騎乗することができる「調教厩務員」がいます。
美浦トレーニング・センターでは夏は午前5時から9時30分、春・秋は午前6時から10時30分、そして冬は午前7時から11時30分に調教を行っています。寒さに強く、暑さに弱い競走馬達に適した気温の中で調教を行えるように配慮されています。
競走馬たちがトレセンで調教する時には、馬ごとに決められた番号の調教ゼッケンを装着します。調教ゼッケンは以下のように年齢や時期、性別によって色分けされています。
2歳9月頃まで
(牡馬・せん馬)
2歳10月頃から3歳9月頃まで
(牡馬・せん馬)
3歳10月以降
(牡馬・せん馬)
2歳9月頃まで
(牝馬)
2歳10月頃から3歳9月頃まで
(牝馬)
3歳10月以降
(牝馬)
GⅠ(J・GⅠ)レースを除く中央競馬の重賞レースおよび地方競馬のダートグレードレースを勝利した競走馬は、以下のように馬名入りゼッケンを装着します。
GⅠレースに特別登録した競走馬はレースの前の一定期間、以下の馬名入り「特殊ゼッケン」を装着します。レース後は通常のゼッケンに戻ります。
GⅠレース特別登録馬
特殊ゼッケン
牝馬限定GⅠレース
特殊ゼッケン
GⅠレースを勝利した競走馬は以下の馬名入りゼッケンを装着します。
星の数はGⅠレースを勝った数を表しています。
GⅠレース優勝馬調教
ゼッケン
J・GⅠレース優勝馬調教
ゼッケン
美浦トレーニング・センター内の調教馬場にて調教をする場合、あらかじめ決められた色のヘルメット(帽色)を着用することが義務付けられています。(以下、主な例)
昭和30年代に入ると、日本経済の発展とともに競馬場周辺の市街地化が進み、環境上、競馬場が競走馬を飼育管理する場所として適さなくなってきました。
また時を同じくして、競馬人気の高まりとともに競走馬の頭数も増加し、競馬場厩舎の収容能力にも限界が生じてきていました。
そこで昭和30年代後半に、レースの施行とファンサービスに特化する“競馬場”と、一定の自然環境の中で競走馬の育成・調教に専念する“トレーニング・センター”を分けるという構想が打ち出され、競走馬や関係者の郊外への移転が検討されることとなりました。
こうした背景から、関東地区のトレーニング・センターとして昭和53年4月に美浦トレーニング・センターが開場しました。
トレセン用地として茨城県美浦村を内定
美浦村と、美浦トレセン用地売買斡旋に関する基本契約を締結
美浦トレセン敷地造成工事に着手
東京競馬場・中山競馬場から美浦トレセンへの人馬の移動開始
美浦トレーニング・センター開場
競走馬スイミングプールを新設
南調教馬場Bコースをウッドチップ馬場に改造
南調教馬場の南側に800メートルの坂路馬場を新設
森林馬道「北の杜」を新設
坂路馬場を延長(800メートルから1,200メートルへ)
南調教馬場Cコースの一部をニューポリトラック馬場に改造
乗馬苑を移設し、苑内広場の一般開放を開始
大規模な厩舎改築工事着工
南調教馬場の大規模改修工事着工
南調教馬場Dコースをウッドチップ馬場に改造
南調教馬場Bコースをダート馬場に改造
南調教馬場Aコースを障害馬場に改造
北調教馬場閉場
坂路馬場を改造(高低差を18メートルから33メートルへ)
調教馬場にEコースを新設