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【PROFILE】鈴木 淑子(すずき よしこ)
東京都出身。TBS「夕やけロンちゃん」で放送業界にデビュー。1983年3月、フジテレビ競馬中継番組の司会で競馬とめぐり会う。現在は、グリーンチャンネル「鈴木淑子のレーシングワールド」や文化放送「くにまるパドック鈴木淑子の中央競馬今週のイチ番」に出演中。
その他イベント司会、新聞・雑誌への執筆など、競馬ジャーナリストとして活動を行っている。
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ウオッカは、なんてったってダービー馬です。牝馬として64年ぶりの偉業を達成した2007年の日本ダービーでの強さには、感動しましたよねえ。ウオッカが2歳の10月にデビュー戦を快勝したころ、度数の高いお酒と同じ名前や490kgを越す雄大な馬体から、男馬だと思っていました。そうしたら牝馬で、驚いたことを覚えています。
父タニノギムレット。ギムレットはカクテル名ですが、ウオッカは、何かで割らない生(き)のままの強さを願って命名され、その期待に応える牝馬離れした強さを披露してきました。ダービー後の宝塚記念。誰よりも堂々としていたウオッカが、ここでは歴戦の雄のおじさまたちに囲まれ、雨の中、委縮してオドオドしているように見えました。怖かったと思いますよ〜。3歳ですからね。この時ばかりは、やはり女の子だなと感じました。3歳秋。秋華賞3着、エリザベス女王杯は、レース当日無念の出走取消。でもジャパンカップの僅差の4着は立派。さすがと思わせるものでした。
今年3月のドバイデューティーフリーでは、ラスト1ハロンほどのところで、勝ったジェイペグをかわしいったん先頭に立ちましたが、差し返されて4着でした。馬は内から差し返されると心に大きなダメージをうけて、立ち直るのに時間がかかると聞きますが、ウオッカは、次走のヴィクトリアマイルで、上がり33秒2の豪脚を披露。2着は残念でしたが、帰国からわずか2ヶ月足らずの日程を考えると、やはり精神力の逞しさと能力が高いことを証明しました。そして、香港からの強豪を迎えての安田記念でみせた鮮烈な復活劇。圧巻でした。毎日王冠でも惜しい2着でしたが、57kgを背負ってまた新たな一面をみせてくれました。
そして迎えた第138回天皇賞(秋)。これぞ競馬の最高の醍醐味というべき、天晴れなレースでしたね。優勝したウオッカの輝き。そしてわずか2センチに泣いたダイワスカーレットですが、自らレースを作り、そして1分57秒2というレコードタイムで走りぬいたのですから、彼女の強さもさすがです。素晴らしい天皇賞でした。
去年の秋からここまで、一線級の男馬たちでもキツイと思われるような厳しい道のりを歩み、結果を残してきたウオッカ。なんてカッコいいのでしょう。3年連続GI制覇、そのうち3つは牡馬混合というのは特筆すべき、歴史的名牝。私の大好きな宝塚歌劇風にいえば、ウオッカはトップ中のトップスターです。『わたうま』です。こんな風に、好きな馬に思い入れたっぷりになれる『わたうま』。楽しいですね。
さあ、日本最強から世界の舞台へ。つづくジャパンカップでも府中の大階段ならぬ、広いコースを威風堂々と駆け抜け、スポットライトを浴びるウオッカをみたい、みたい、みた〜い!
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