今週の注目レース

未来の短距離王へ夢をつなぐスプリント重賞!「第57回 京阪杯」
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出走馬情報

オリービン

収得賞金が足りないということもあり、この秋の目標としていたマイルチャンピオンシップには登録もしなかった。その後は、京阪杯と同じ週に行われる東京・芝1600mのオープン特別・キャピタルSに向かう予定だったが、そこにはマイルチャンピオンシップへの出走が叶わなかった同じ橋口弘次郎厩舎のクラレントが出走を予定。「ともに収得賞金の加算が必要な状況。勝った馬しか収得賞金を上積みできないレースへの2頭出しは、当初から気乗りがしなかった」と、橋口調教師は京阪杯出走に踏み切った理由を語っていた。また、京阪杯出走を後押ししたのが、オリービンと同じダイワメジャー産駒のエピセアローム(昨年の小倉2歳S、今年のセントウルS優勝)の活躍だ。「オリービンもエピセアロームと同じようなスピードを持っている。ペースが速くなっても追走に苦しむことはないはず」と、同調教師は期待を抱いている。初めてとなる1200mで新境地を開く可能性は十分だろう。

 

サドンストーム

前々走のオープン特別・オパールSは、前半3ハロンが34秒6というスローペースが響いて追い込み届かず、4着に敗退。しかし、前半3ハロンが33秒1と、一転してペースが速くなった前走のオープン特別・京洛S(ともに京都・芝1200m)では、スタートの出遅れを挽回して豪快に差し切り、2歳秋の500万下(札幌・芝1200m)以来となる3勝目をマークした。前走の勝ちっぷりは重賞でも通用するものと捉えてもいいだろう。3走前のセントウルSで13番人気ながら0秒2差の5着に健闘したのは、決して展開に恵まれたものではなく、3歳秋を迎えての地力強化を証明するもの。まだスタートに不安を残しており、現状ではペースに左右されやすいタイプではあるが、今回のメンバー構成なら、オパールSのような遅い流れにはならないはず。〔1・1・0・1〕の京都コースで、重賞初制覇のチャンスを迎えた。

 

アドマイヤセプター

1000万下の札幌スポニチ賞(札幌・芝1500m)に続き、1600万下の白秋S(東京・芝1400m)も快勝。2連勝の勢いに乗って重賞に挑戦した前走のスワンSで3着に好走してみせた。レース後の福永祐一騎手は「ペースが遅くて、坂の下りでハミを噛んでしまった。その分の差」と語っていた。これまで好結果を出していなかった京都コースを克服したように、いよいよ本格化の兆しを見せたと考えてもいいだろう。3代母ダイナカール、祖母エアグルーヴ、母アドマイヤグルーヴはいずれも2000m以上の中長距離重賞で活躍していただけに、スプリント重賞への挑戦は血統のイメージと少し異なるが、スピードがあって、気持ちが前向きなこの馬には意外に合いそうだ。日本を代表するこの牝系の底力にも期待してみたい。

 

パドトロワ

前走のスプリンターズSは、4番人気で8着に敗れたが、コースレコード(1分06秒7)を記録するほどの高速決着になったのが敗因だろう。パワーのいる北海道の洋芝で好成績を挙げてGI のステージに上がってきた馬で、芝のスプリンターにしては身のこなしも硬いタイプ。テンのスピードだけでなく、3ハロン33秒台の速い上がりの脚も要求されたスプリンターズSは、この馬に向いていなかったと判断したい。5回京都競馬の最終週に組まれている京阪杯は、過去6年の勝ちタイムが1分07秒台後半から1分08秒台前半と時計を要しており、条件的には悪くない。京都コースは〔1・0・3・0〕と3着内率100%を誇り、今回の舞台となる京都・芝1200mは昨春にオープン特別のオーストラリアTでスプリングソング(2010年の京阪杯優勝)をクビ差の2着に退けて優勝している。今年の『サマースプリントシリーズ』チャンピオンが、重賞3勝目を目指す。

 

エーシンヴァーゴウ

昨年のセントウルSで重賞2勝目を飾ったあとは、次走のスプリンターズSと今年7月のアイビスサマーダッシュでともに3着に好走したものの、それ以外のレースは掲示板にも載れず、勝ち鞍から遠ざかっている。成績だけを見ると精神的なダメージがあるように見えるが、実際にはそんなこともなく、陣営は同馬の状態について『サマースプリントシリーズ』のチャンピオンになった昨年とほぼ変わりがないと語っていた。3走前の北九州記念は前半3ハロンが32秒2というハイペースに巻き込まれたため、0秒4差の8着に敗退したが、これでも先行馬の中では最先着の着順。同じく先行馬にとって厳しいペースとなった前々走のセントウルSが0秒3差の6着、前走のスプリンターズSが0秒5差の7着と、ここ3戦は大きく負けてはいない。GIII が舞台なら実績的にも上位の存在で、京都・芝コースは〔3・2・0・1〕と相性も抜群。条件が揃った今回は、巻き返しがあってもおかしくないだろう。

 

テイエムオオタカ

京都競馬場が舞台の前2走は、前々走のオープン特別・オパールS(芝1200m)でエーシンホワイティ(2着)の追撃をクビ差退けて優勝、GIIで相手関係が一段と強化された前走のスワンSで2着を確保した。前半3ハロンを34秒6、35秒2というマイペースで逃げることができたのが、好走の要因と言える。テンに速いメンバーが揃った今回は同じ展開は望めそうにないかもしれないが、パドトロワ(1着)の2番手に控えた3走前のキーンランドCでも3着に好走。好位からの競馬もできる自在性を兼ね備えている。2着2回、3着4回と、なかなか手が届かない重賞のタイトル。11度目のチャレンジとなる今回で、悲願の重賞初制覇を果たしたいところだ。

 
スプリンターズSから約2か月が経過し、短距離重賞路線もすでに次のサイクルへと動き出している。10月のスワンSはスプリンタータイプの出走が見られるものの、マイルチャンピオンシップの前哨戦として位置付けられており、マイラータイプの参戦も多い。純粋なスプリンターによる争いという意味では、この京阪杯が来春の高松宮記念に向けた最初の重賞と言えるだろう。それだけに、GIII という格付けでも“次代のスター候補”が登場することも多く、その代表例が昨年のこのレースで重賞初制覇を飾ったロードカナロア。京阪杯優勝から約10か月後のスプリンターズSを制してGI ホースへと登り詰めた同馬に続くのはどの馬か? 登録馬の1週前追い切りでの気配を見ながら、このレースを展望していきたい。

注目したのは、2頭の3歳馬。まずは、昨年の京王杯2歳S3着、今年のアーリントンC2着の実績を持つオリービン(牡3・橋口弘次郎)を取り上げたい。今回が初めてのスプリント重賞挑戦となるが、瞬発力よりもスピードを武器にした馬で、1200mへの距離短縮が功を奏しそうな雰囲気がある。前走のスワンS(5着)から中3週のローテーションとなるが、調整過程は順調そのもの。14日の1週前追い切りは、栗東坂路で4ハロン54秒8、ラスト1ハロン12秒8を余力十分にマークしている。折り合いを欠いた前走時の直前追い切りと違い、きっちりと溜めが利いていた点に好感が持てた。

次に取り上げるサドンストーム(牡3・西浦勝一)は、前走のオープン特別・京洛S(京都・芝1200m)で久々の勝利をマークして、一気に勢いに乗りそうなムード。瞬発力を活かす競馬が板についてきたことで、今後はきっちりと勝ち切る競馬ができそうだ。昨年の京王杯2歳S2着、今年のファルコンS(中京・芝1400mで開催)3着と重賞でも通用する能力があることはすでに証明済み。14日に行われた1週前追い切りは、栗東坂路で4ハロン54秒5、ラスト1ハロン12秒8と時計こそ目立つものではなかったが、前走以上にしっかりとしたフットワークで走れていた。重賞制覇が視界に入ってくる動きだった。

前走のスワンSで7番人気ながら3着に好走したアドマイヤセプター(牝4・橋田満)も充実度の著しい1頭。また、一昨年の札幌2歳Sと昨年のフェアリーSでともに3着の実績があり、重賞を勝てる能力は持っている馬だ。加えて、母がGI・2勝を含む重賞5勝のアドマイヤグルーヴという血統のバックボーンがあるだけに、初めての芝1200mでも期待のほうが大きくなる。15日の1週前追い切りは、栗東坂路で4ハロン51秒0、ラスト1ハロン12秒6をマーク。調教駆けする馬だということを差し引いても、動きは抜群だった。

実績なら、今年の『サマースプリントシリーズ』チャンピオンのパドトロワ(牡5・鮫島一歩)と、昨年の『サマースプリントシリーズ』チャンピオンのエーシンヴァーゴウ(牝5・小崎憲)が双璧だろう。

パドトロワは、前走のスプリンターズSで8着に敗れたが、今夏のアイビスサマーダッシュとキーンランドCを連勝したほか、昨年のスプリンターズS2着、キーンランドC3着と、短距離重賞での実績は今回のメンバーの中では最上位の存在だ。1週前追い切りは14日に栗東坂路で安藤勝己騎手が騎乗して行われ、4ハロン53秒9、ラスト1ハロン12秒9をマーク。動きは前走時と大きく変わらないが、寒い時季で馬が硬くならないかという心配もあるだけに、レース当日の気配はしっかりとチェックしたい。

昨年のアイビスサマーダッシュとセントウルSを制し、スプリンターズSでも3着に好走したエーシンヴァーゴウ。前走のスプリンターズS(7着)から十分な乗り込みを消化し、ここで巻き返しを目指す。この中間は、栗東坂路で11日に4ハロン51秒9、16日にCWコースで5ハロン65秒台の好時計をマークしている。昨年は4月から10月にかけて6戦4勝3着2回と大活躍したが、2009年と2010年は11月に勝ち星を挙げており、寒い時季でも問題のないタイプ。レース当日にテンションが上がらず、落ち着いて臨めるかどうかが好走の鍵になるだろう。

前走のスワンSで6番人気ながら、勝ち馬のグランプリボスから0秒2差の2着に逃げ粘ったテイエムオオタカ(牡4・石栗龍彦)。重賞で何度も好走しているが、2着2回3着4回と意外なことに重賞タイトルはまだ獲得していない。14日の1週前追い切りは、栗東坂路で攻め駆けするサンカルロ(古馬オープン)を追走して先着するという抜群の動きを披露。4ハロン51秒7、ラスト1ハロン11秒7の時計も文句なしの内容だ。前走と比較して、大幅に相手関係が楽になる今回は、重賞初制覇の大きなチャンスと言える。

ハナズゴール(牝3・加藤和宏)は、収得賞金不足でマイルチャンピオンシップへの出走が叶わず、路線変更を余儀なくされた。前走の秋華賞(16着)後も栗東トレーニング・センターに滞在して調整されており、14日の1週前追い切りでも坂路で4ハロン53秒7、ラスト1ハロン12秒7をマーク、しっかりと負荷をかけられた。調整過程は前走よりも上と見てもいい。今春のチューリップ賞では、現3歳牝馬のトップクラスを直線一気の末脚で差し切って重賞初制覇を成し遂げた実力の持ち主だけに、前走の敗戦だけで見限るのは早計だろう。

今年の北九州記念で重賞ウイナーの仲間入りを果たしたスギノエンデバー(牡4・浅見秀一)。続く前走のセントウルSは8着に敗れたが、勝ち馬のエピセアロームとは0秒4差と大きく負けていない。GIII に舞台が戻れば、巻き返しがあってもいいはずだ。今回は2か月半ぶりの実戦となるが、17日の栗東坂路で4ハロン51秒7の好時計をマークしているように、出走態勢も整っている。

このメンバーの中でもスピード能力ならナンバー1かもしれないのが、ハクサンムーン(牡3・西園正都)。前5戦は好スタートからすべてハナを切って、5走前の1000万下・出石特別、前々走の1600万下・道頓堀S(ともに阪神・芝1200m)と、2勝をマーク。しかし、前走のオープン特別・京洛Sは、スタート直後からびっしりと競りかけられる形になって15着と大敗を喫している。マイペースの展開に持ち込むことができるかどうかが、今回のポイントと言えるだろう。

マコトナワラタナ(牝3・鮫島一歩)は、今回と同じ京都・芝1200mで行われた5走前のオープン特別・葵Sを優勝したほか、前々走のオパールSで勝ち馬のテイエムオオタカとクビ+クビ差の3着と接戦を演じている。末脚の切れ味は重賞のメンバーに入っても引けを取らないだけに、展開が嵌れば、直線一気の強襲劇が見られるかもしれない。

このほかにも、2010年のファルコンSの覇者エーシンホワイティ(牡5・松元茂樹)、2009年の小倉2歳S優勝馬ジュエルオブナイル(牝5・荒川義之)、昨年の阪神牝馬Sで3着、今年の阪急杯・CBC賞でともに2着に好走したスプリングサンダー(牝5・昆貢)など、実績馬が虎視眈々と上位進出を狙っている。

(松浪大樹)

ご注意:当コーナーの情報は、制作段階の情報に基づき制作されております。出走回避などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。

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