海外競馬発売

香港カップ(G1)

シャティン競馬場 2000m(芝)3歳以上

  • 発売開始時刻日本時間12月10日(日曜)10時00分

  • 発走予定時刻日本時間12月10日(日曜)17時30分

レース結果・回顧

地元馬・タイムワープが後続に影をも踏ませぬ逃亡劇
日本勢3頭は見せ場を作るも3、4、5着の結果に

気温20度、快晴の空の下、スタートを切った今年の香港カップ(G1)。晴天続きで馬場状態が非常に良かったこともあり、この前に行われた国際レースの3つ、すなわち香港ヴァーズ、香港スプリント、香港マイルはいずれも先行勢の決着。ヴァーズを4角先頭のハイランドリールが押し切れば、スプリントは同2番手のミスタースタニングが優勝、マイルに至っては逃げたビューティージェネレーションがそのまま逃げ切り。いわゆる前残りの競馬が続いていた。
そんな馬場傾向を意識して、スッと前へ行ったのがスマートレイアー(牝7歳、栗東・大久保龍志厩舎)だった。
「ある程度、意識して行かせました」と鞍上の武豊騎手。しかし、外寄りの9番枠だったせいもありハナを奪うまでには至らず。逃げたのは5番枠からジワッと前へ行った地元馬タイムワープ(せん4歳、香港、アンソニー・クルーズ厩舎)だった。

  • 1番人気のワーザーを振り切り初のG1制覇

  • A.クルーズ調教師(写真中央)は3度目の香港カップ制覇

前走の香ジョッキークラブカップ(G2)も逃げていた同馬。そのレースでは最後にワーザー(せん6歳)にこそクビ差、交わされたものの3着には約1馬身半差をつけており、楽に行かせると怖い存在。そのあたりは地元香港のファンも分かっており、かの地ではワーザーに次ぐ2番人気の支持を集めていた。
同馬の後ろ、2、3番手が日本のスマートレイアーネオリアリズム(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)。2コーナー過ぎにタイムワープのZ.パートン騎手が内にいるネオリアリズムを確認しながらインへ持って行ったが、その時、ネオリアリズムの鞍上でJ.モレイラ騎手は手綱を引き、鞍下が頭を上げて口を割るシーン。
「あれで序盤に掛かってしまった」と後にモレイラは語っている。

向正面に入る。半マイルの通過タイムは51秒39。遅い。先頭から最後方のシークレットウェポン(せん7歳)までは10馬身ない程度。時計でいえば1秒5以内に出走全12頭が入る流れとなった。
先頭は変わらずタイムワープ。1馬身差の2番手がスマートレイアー。その半馬身後ろのインにネオリアリズム。モレイラはタイムワープの近2走に騎乗し、G3とG2でいずれも2着。とくに前々走は1800m戦といえレコード決着を誘発する逃げ脚を披露していた。当然「楽に行かせてはなるまい」とついていきたい気持ちがあっただろう。しかし、相変わらず行きたがる姿勢のパートナーに「掛からないでくれ」という二律背反の気持ちも抱いていたのではないだろうか。また、レース前「逃げたくはない」と語っていたものの、この春のクイーンエリザベスⅡ世カップを制した時のように途中から先頭という策は考えていただろう。しかし、そこはライバルとなる武豊騎手も頭に入っていたのだろう。外から蓋をして、おいそれとは前を譲らない。

微妙な駆け引きをする日本馬2頭から1頭挟み1馬身半後ろの5番手がアイルランドからの遠征馬でレーティングトップのドーヴィル(牡4歳)。人気のワーザーはスタートで出負けし、馬群のちょうど真ん中、7番手あたりを追走。もう1頭の日本馬ステファノス(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎)は後ろから4番手のイン。
「スローだし、厳しい位置取りになった」と藤原英昭調教師は感じていた。
3コーナーにさしかかる。Z.パートンが少しずつアクセルを吹かしていくが、1200mの通過は1分15秒76。相変わらずのスローペースには変わりなく、馬順に変化はほとんどなかった。
しかし、4コーナーに差し掛かると、さすがに後続勢も動き出し、12頭はギュッと凝縮。ワーザーも馬順こそ変わらないものの前との差をグッと詰めてきた。

直線に向き、ラスト400m。先頭はタイムワープで2、3番手には依然スマートレイアーネオリアリズム。瞬発力勝負となったせいか、その後ろにいたヨーロッパ勢のガルリンガリ(せん6歳)、ドーヴィル、ロビンオブナヴァン(牡4歳)らの手応えはいずれも悪く、さらに後ろで外へ出したワーザーが少しずつインへ切れ込みながら前との差を詰めた。
ワーザーの少し後ろのインにいたのがステファノス。ワーザーを前に行かすとそこから外へ出したが後手を踏んだ感は否めない。
大外からはイギリスのポエッツワード(牡4歳)も追い上げようとしていた。しかし、大外枠で終始外を回らされた上にこのスローペースで上がりの速くなる流れでは、なかなか差が詰まらない。

  • ネオリアリズム

  • ステファノス

  • スマートレイアー

タイムワープの逃げ脚は止まらない。直後にいた日本勢を突き放しにかかる。置かれ出した日本馬を交わし2番手に上がったのがワーザー。しかし、ラスト150mで先頭との差は3馬身以上ある。その後も1番人気の底力でジリジリと差を詰めたが、ラスト2ハロン22秒08という極端に上がりの速い競馬に持ち込んだタイムワープが粘り込みを図る。結局ワーザーは2馬身1/4差まで詰めるのが精一杯。前哨戦の覇者の追い上げにも影をも踏ませず、その前哨戦では2着に敗れていたタイムワープが自分のペースを味方に、2分01秒63の時計で真っ先にゴールに飛び込んでみせた。

「まさかこんなに楽に逃げられるとは思ってもみませんでした。直線を向いても絶好の手応えだったので、“行ける!!”と思いました」
初の香港カップ制覇となったZ.パートンはそう言った。
また、調教師のA.クルーズは2011、2012年に連覇したカリフォルニアメモリー以来、3度目の制覇。騎手時代には前身の香港招待カップを優勝(1989年、コロニアルチーフ)している彼は次のように言った。
「すごく元気だったので掛かるのだけが心配だったけど、他に前へ行く馬がいなさそうだったので実は自信がありました。彼は固い馬場でも柔らかい馬場でも、ダートだって走れる。場所を選ばない素晴らしい馬です」

なお、日本勢は3着ネオリアリズム、4着ステファノス、5着スマートレイアーがほぼ馬体を並べてゴールした。

文:平松 さとし

3着 ネオリアリズム 堀宣行調教師のコメント
「レース前は、良いスタートができるかを一番気にしていました。4月の時より良いスタートを切ることができました。レースのペースが向かず、力を100%出すことができなくて残念でした。検疫からレースまでの間、香港ジョッキークラブの関係者の皆様のサポートには大変感謝しています。また、わざわざ遠い国まで来てくださったファンの皆様にも感謝します」

3着 ネオリアリズム J.モレイラ騎手のコメント
「最初、馬が行きたがってしまいましたが、最後は良く3着に入ってくれました。力を出し切ってくれたと思います」

4着 ステファノス 藤原英昭調教師のコメント
「スローペースになってしまい、予想していた展開と少し違いました。枠ももう少し内で、展開ももう少し流れてくれれば良かったなと思います。今日まで様々なサポートをしてくれた香港ジョッキークラブには大変感謝しています」

4着 ステファノス H.ボウマン騎手のコメント
「良く走ってくれました。最後の末脚は素晴らしかったです。馬が良く頑張ってくれました」

5着 スマートレイアー 大久保龍志調教師のコメント
「馬場に入ってからいつも通りの感じでした。今日は前残りの競馬が多かったので、前のポジションが良いと考えていました。もう少し内枠だと良かったです。道中も良い感じで、直線も我慢してくれて、悪くない内容でしたが、良い結果を出したかったです」

5着 スマートレイアー 武豊騎手のコメント
「完敗です。馬の状態が良かったので、今日は思い切って前で競馬をしようと思い、思った通りのレース運びはできましたが、相手が強かったです」

2017年12月10日(日) シャティン競馬場(香港)

8R

第31回 香港カップ(G1)

3歳以上 定量 2000m 芝・右
賞金総額25,000,000香港ドル 発走  16:30 (現地時間)
1着賞金14,250,000香港ドル 芝:良
着順 馬番
(ゲート)
馬 名 (生産国)



騎手 タイム ・
着差



(kg)
調教師 (調教国)


1 9 (05) タイムワープ(GB) せん4 57.0 Z.パートン 2:01.63 561 A.クルーズ(HK) 3
2 4 (03) ワーザー(NZ) せん6 57.0 T.ベリー 2 1/4 475 J.ムーア(HK) 1
3 2 (01) ネオリアリズム(JPN) 牡6 57.0 J.モレイラ 3 3/4 512 堀 宣行(JPN) 2
4 5 (08) ステファノス(JPN) 牡6 57.0 H.ボウマン 4 1/4 484 藤原 英昭(JPN) 4
5 12 (09) スマートレイアー(JPN) 牝7 55.5 武 豊 4 3/4 476 大久保 龍志(JPN) 5
6 3 (12) ポエッツワード(IRE) 牡4 57.0 A.アッゼニ 5 506 M.スタウト(GB) 6
7 6 (11) シークレットウェポン(GB) せん7 57.0 N.ローウィラー 7 510 C.イプ(HK) 8
8 7 (04) ロビンオブナヴァン(FR) 牡4 57.0 S.クリッパートン 7 472 H.ダンロップ(GB) 11
9 8 (06) ガルリンガリ(FR) せん6 57.0 S.パスキエ 7 1/2 448 C.バランドバルブ(FR) 9
10 10 (07) ウォーディクリー(USA) 牡3 55.5 S.ヘファナン 7 3/4 479 A.オブライエン(IRE) 12
11 1 (02) ドーヴィル(IRE) 牡4 57.0 R.ムーア 9 499 A.オブライエン(IRE) 7
12 11 (10) ブロンドミー(IRE) 牝5 55.5 O.マーフィー 10 457 A.ボールディング(GB) 10
 着差は1着馬からの着差を表しております。
払戻金
単勝 9 690円 3番人気 馬連 4-9 720円 2番人気 馬単 9-4 1,900円 7番人気
複勝 9
4
2
180円
120円
150円
3番人気
1番人気
2番人気
ワイド 4-9
2-9
2-4
280円
600円
240円
2番人気
8番人気
1番人気
3連複 2-4-9 1,170円 2番人気
3連単 9-4-2 7,790円 19番人気

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