短距離重賞2勝のドンフランキーが、1000メートル通過57秒9のラップで先導したフェブラリーS（GⅠ）。これをチャンピオンズC2着のウィルソンテソーロと同3着のドゥラエレーデ、JBCスプリント覇者イグナイターが追い、5戦3勝・2着2回の新星オメガギネス、初ダートのシャンパンカラーとガイアフォースらが続く。スピーディキックとミックファイアの公営勢は中団。JBCクラシックを制したキングズソード、コース経験豊富なタガノビューティー、エルムS差し切りのあるセキフウ、昨年2着のレッドルゼルらは末脚に賭ける策だ。

厳しい流れの中、好位の外でペプチドナイルは折り合う。中距離のオープン特別で3勝を挙げているものの、重賞では4着が最高、これがGⅠ初挑戦、1600メートル戦も初。そのため11番人気という評価だったが「いまの行きっぷりならマイルも合うはずと狙ってきたレース。人気薄だがチャンスはある」と、鞍上の藤岡佑介騎手は秘かに燃えていた。

そして直線。ペプチドナイルが残り200メートルの地点でドンフランキーを交わす。「先頭に立つのは少し早かったけれど、手ごたえは抜群、これなら押し切れると信じて追った」という藤岡騎手のムチに応えてペプチドナイルは渾身のスパート。後続を突き放し、ガイアフォース、セキフウ、タガノビューティーらの激しい2着争いに1馬身4分の1の差をつけてゴールへと飛び込んだのだった。

「6歳でもまだ良くなっている。強い馬たちにチャレンジしていければ」と語る藤岡騎手。確かに、中東遠征のため今回不在となったレモンポップ、ウシュバテソーロ、デルマソトガケといった実績馬を相手に、真のチャンピオンを目指す戦いが、ペプチドナイルには待ち受けている。その挑戦権を獲得した勝利と言えるのではないだろうか。

（谷川　善久）