デビュー3連勝でホープフルSを制して2歳王者に輝いたものの、断然人気に推された皐月賞では2着と涙をのんだクロワデュノールが、ふたたび1番人気を背負った日本ダービー（GⅠ）で、雪辱の戴冠を成し遂げた。

レースは、1勝クラスを勝ち上がったばかりのホウオウアートマンが1コーナーで敢然とハナを奪い、後ろを引き離す展開。きさらぎ賞1着・皐月賞5着のサトノシャイニング、京都新聞杯勝ち馬ショウヘイ、毎日杯を鋭く差し切ったファンダムらが続き、皐月賞3着で共同通信杯の勝ち鞍を持つマスカレードボール、皐月賞4着のジョバンニ、プリンシパルSで出走権をつかんだレディネス、第一冠の覇者ミュージアムマイルらが中団馬群を形成。後方には皐月賞11着からの巻き返しを狙うエリキングが位置した。

クロワデュノールは4番手。鞍上の北村友一騎手は「馬のリズムを邪魔しないことだけを考えてポジションは気にしなかった」と振り返ったが、いつでも動ける絶好の位置取りといえただろう。

直線では坂の手前から早くも追い比べが始まる。ここでパワフルな末脚を繰り出し、残り300メートルの地点で抜け出したのがクロワデュノールだ。皐月賞のように目標とされるリスクのある早め先頭策だったが、北村騎手いわく「負けるイメージが全然なかった。馬を信じて追った」。自信満々のスパートでサトノシャイニングやショウヘイを振り切ったクロワデュノールは、外から伸びたマスカレードボールを4分の3馬身押さえて先頭ゴールを果たすのだった。

「クロワデュノールをダービー馬にしてあげたいという気持ちが強く、責任や重圧を感じていた。この馬の力をお見せできてホッとしている」と北村騎手。確かに、持てる能力を最大限に発揮して、クロワデュノールは堂々と世代トップの座を奪還してみせたのである。

（谷川　善久）