エリザベス女王杯（GⅠ）では、デビュー6連勝で大阪杯を制したレイパパレが単勝オッズ2.9倍、桜花賞4着・オークス2着・秋華賞1着と3歳牝馬戦線で好成績を残してきたアカイトリノムスメが3.4倍と評価を分け合い、前走・産経賞オールカマーで重賞3勝目をマークしたウインマリリンが5.5倍、同2着で目黒記念の勝ち鞍を持つウインキートスが9.7倍で続いた。が、これら人気上位馬は全て掲示板を確保できずに終わる。

勝利をつかんだのは10番人気で単勝オッズ64.9倍の伏兵、アカイイトだ。

マーメイドSを逃げ切っているシャムロックヒルが緩みのないラップでレースを引っ張り、ウインマリリン、レイパパレ、アカイトリノムスメは好位、ウインキートスは中団という展開の中、アカイイトは「ムキになりやすい馬なので折り合いに気をつけた」と鞍上の幸英明騎手が語ったように、後方馬群で脚をためる。3コーナー過ぎから馬群が一気に凝縮すると、アカイイトも大外から進出開始。「最後は伸びてくれる。早めに仕掛けて長く脚を使わせたかった」という、力感あふれるロングスパートだった。

直線。満を持して先頭に立ったレイパパレを、後続が捕まえにかかる。その中でひときわ目立ったのがアカイイトの末脚だ。残り200メートルを切ったところでレイパパレを交わし去り、さらにリードを広げると、外からしぶとく伸びたステラリア、間隙を突いて内から追い込んだクラヴェルらの2着争いを2馬身後方に従えて先頭ゴールを果たしたのである。

2走前に3勝クラスを勝利したばかり、重賞では昨年のローズS、前走の府中牝馬Sで共に7着に敗れているアカイイト。ただ、ほとんどのレースでメンバー中最速の上がりをマークしており、追い比べには自信を持っていた。最大の持ち味を存分に発揮して成し遂げた、GⅠ初挑戦初制覇だった。

（谷川　善久）