昨年のみやこSで重賞初制覇を果たしたアポロケンタッキーは、同年末の東京大賞典を制してGⅠウイナーの座に上り詰めた。また、2010年の優勝馬トランセンドと、2012年の2着馬ニホンピロアワーズが、それぞれ同年のジャパンカップダート(現チャンピオンズC)を勝っている。有力馬が集う前哨戦を制し、主役候補の一角として年末のビッグレースに臨むのはどの馬だろうか。今回は過去7年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去7年の3着以内馬延べ21頭中19頭は、「同年5月以降のJRAのオープンクラスのレース」において4着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率4.2%と苦戦している。しばらく上位争いに食い込んでいない馬はもちろん、条件クラスのレースや地方のダートグレード競走などを主戦場としてきた馬も過信禁物と見るべきだろう。〔表1〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 7-6-6-39 | 12.1% | 22.4% | 32.8% |
なし | 0-1-1-46 | 0% | 2.1% | 4.2% |
過去7年の連対馬延べ14頭中11頭は、「4歳以下」の馬だった。該当馬は3着内率31.7%と好走率も高い。4歳以下の若い馬を重視したい一戦だ。〔表2〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3歳 | 0-3-1-8 | 0% | 25.0% | 33.3% |
4歳 | 6-2-1-20 | 20.7% | 27.6% | 31.0% |
5歳 | 0-2-4-36 | 0% | 4.8% | 14.3% |
6歳 | 1-0-0-15 | 6.3% | 6.3% | 6.3% |
7歳 | 0-0-1-4 | 0% | 0% | 20.0% |
8歳 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
9歳 | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
4歳以下 | 6-5-2-28 | 14.6% | 26.8% | 31.7% |
5歳以上 | 1-2-5-57 | 1.5% | 4.6% | 12.3% |
なお、年齢が「5歳以上」だった馬のうち、前年以前の「みやこS」や、当レースの前身である「トパーズS」で優勝経験がなかった馬は、3着内率6.8%と苦戦している。前年以前の当レースで好走したことがない「5歳以上」の馬は評価を下げたい。〔表3〕
優勝経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-0-3-2 | 16.7% | 16.7% | 66.7% |
なし | 0-2-2-55 | 0% | 3.4% | 6.8% |
過去7年の3着以内馬延べ21頭は、いずれも前走の着順が「8着以内」だった。大敗からの一変はあまり期待できないレースと言えるだろう。〔表4〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
8着以内 | 7-7-7-59 | 8.8% | 17.5% | 26.3% |
9着以下 | 0-0-0-26 | 0% | 0% | 0% |
また、過去7年の3着以内馬延べ21頭中17頭は、前走の単勝人気が「2番人気以内」だった。該当馬は3着内率39.5%と好走率も高い。前走の内容を比較する際は、着順だけでなく当時の人気にも注目したいところだ。〔表5〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2番人気以内 | 7-6-4-26 | 16.3% | 30.2% | 39.5% |
3番人気以下 | 0-1-3-59 | 0% | 1.6% | 6.3% |
過去4年の3着以内馬延べ12頭中10頭は、前走の4コーナーの通過順が「3番手以下」だった。一方、「2番手以内」だった馬は3着内率11.8%とやや苦戦している。ちなみに、2010〜2012年のみやこSでは、前走の4コーナーを先頭で通過していた馬が〔2・2・1・5〕(3着内率50.0%)、2〜3番手で通過していた馬が〔1・1・1・8〕(3着内率27.3%)、4番手以下で通過していた馬が〔0・0・1・25〕(3着内率3.8%)という成績だった。以前は前走で先行していた馬が優勢だったものの、近年の傾向を重視するならば、前走で先行していた馬は評価を下げるべきかもしれない。〔表6〕
前走の4コーナーの通過順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2番手以内 | 1-0-1-15 | 5.9% | 5.9% | 11.8% |
3番手以下 | 3-4-3-32 | 7.1% | 16.7% | 23.8% |
過去5年の優勝馬5頭は、いずれも4歳馬で、前走の単勝人気が1番人気だった。今年もこれに該当する馬がいたら注目しておこう。また、この5頭は「同年5月以降のJRAのオープンクラスのレース」で4着以内に入った経験があった点、前走の着順が8着以内だった点も共通している。〔表1〕〜〔表5〕で挙げた条件を多くクリアしている馬が有力候補と言えそうだ。〔表7〕
(伊吹雅也)
年度 | 優勝馬 | 年齢 | 前走の単勝人気 | 同年5月以降のJRAの オープンクラスのレースでの最高着順 |
前走の着順 |
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2012年 | ローマンレジェンド | 4歳 | 1番人気 | 1着(2012年エルムSほか) | 1着 |
2013年 | ブライトライン | 4歳 | 1番人気 | 1着(2013年マリーンS) | 3着 |
2014年 | インカンテーション | 4歳 | 1番人気 | 1着(2014年ラジオ日本賞ほか) | 1着 |
2015年 | ロワジャルダン | 4歳 | 1番人気 | 4着(2015年ブラジルC) | 4着 |
2016年 | アポロケンタッキー | 4歳 | 1番人気 | 1着(2016年ブリリアントC) | 8着 |
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