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オーストラリア競馬の概要

オーストラリア競馬の概要

南半球を代表する競馬大国

オーストラリアは南半球を代表する競馬大国である。その競馬熱は非常に高く、後述するレーシングオーストラリアによると、2016-2017年シーズンに平地及び障害競馬が行われた競馬場の数は357(国際競馬統括機関連盟による速歩競走も含めた2016年のデータは459)で世界最多。また、町中の至るところにTABと呼ばれる場外馬券発売所があり、手軽に馬券を買うことができる。

オーストラリアで最初の公式競馬が行われたのは1810年10月15日のことである。イギリス人のラックラン・マクォリー総督(植民地政府の責任者)の率いる第73連隊が主催し、現在のニューサウスウェールズ州シドニーのハイド・パークで行われたこの競馬には、当時の植民地住民の大半となる約1万1000人が詰めかけたという。

その後、ニューサウスウェールズ州では、レースに関する様々なルールを制定や、血統管理を行うなどして、同州における競馬の指導的役割を果たしていくことになるオーストラリアンジョッキークラブが1842年に誕生(1840年に創設されたオーストラリアレーシング委員会からの改編。現オーストラリアターフクラブ)。1860年には、火事で全焼したそれまでの競馬場(シドニー郊外のホームブッシュ)に替わる競馬場として再建された、現在のロイヤルランドウィック競馬場での競馬が始まり、その翌年にはランドウィックダービーS(現在のオーストラリアンダービー)も創設された。

一方、ニューサウスウェールズ州とともに、現在のオーストラリアにおける2大競馬開催州となっているヴィクトリア州では、1838年に公式競馬がスタート。1861年には、今ではオーストラリアを代表するレースとなったメルボルンカップが創設された。また、1864年には当時しのぎを削っていた2つの有力クラブ(ヴィクトリアターフクラブとヴィクトリアジョッキークラブ)が合併してヴィクトリアレーシングクラブが誕生。以降、ニューサウスウェールズ州におけるオーストラリアンジョッキークラブと同じような役割を担い、ヴィクトリア州の競馬の発展に大きく寄与してきた。

オーストラリアの競馬は8月1日に始まり、7月31日がシーズン最終日。競走馬は8月1日に加齢される。近年はオールウェザーでの開催も増えてきているが、それでもほとんどのレースは芝で行われている。

競馬は州ごとに統括されており、たとえばニューサウスウェールズ州ではレーシングニューサウスウェールズ、ヴィクトリア州ではレーシングヴィクトリアがそれぞれの州における統括団体となっている。全国的な組織としては、各州の統括団体の協議会として競馬の基本的な全国ルールを制定し、対外的にもオーストラリアを代表していたオーストラリアレーシングボード、レースに関する様々な情報をとりまとめていたレーシングインフォメーションサービスオーストラリア、そして血統書を管理していたオーストラリアンスタッドブックが統合して2015年に誕生したレーシングオーストラリアがあり、オーストラリアの競馬をルールから血統情報まで包括的にまとめる役割を担っている。

オーストラリア競馬において、圧倒的な知名度と人気を誇るのは、レース当日が開催州であるヴィクトリア州の「祝日」に指定されるほどの盛り上がりを見せる、芝3200メートルのG1・メルボルンカップである。

ただし、このレースはオーストラリアのレース体系においてはメインストリームから外れた存在。オーストラリアでは短距離のレースが非常に充実しており、たとえば、オーストラリアでは2018-2019年シーズンに329の重賞(グループ)レースが行われる予定だが、その内、半数を超える183レースが1400メートル以下で組まれている(うちG1は29レース)のだ。

その象徴的な存在と言えるのが2歳のG1・ゴールデンスリッパーS(芝1200メートル)で、なんとその総賞金は2歳戦としては世界一となる350万オーストラリアドル(約3億800万円。1オーストラリアドル=88円で換算)。オーストラリアンダービー(G1)やヴィクトリアダービー(G1)といったオーストラリアを代表するダービーを上回る高賞金となっている。また、2017年には芝のレースとしては世界最高賞金(2018年の総賞金は前年から300万オーストラリアドル増の1300万オーストラリアドル)を誇るジエベレスト(芝1200メートル)もスタートしている。

オーストラリアは、イギリスに遠征して勝利をつかんだダイヤモンドジュビリーSを含むG1・15勝を挙げ、25戦無敗のまま引退した名牝ブラックキャビアを筆頭に、香港スプリント(G1)連覇を含むデビュー17連勝を記録し、日本のスプリンターズS(GⅠ)を制したオーストラリア産馬サイレントウィットネス(調教国は香港)など短距離馬の強さで知られているが、その強さを支えているのは、短距離重視のレース体系にあると言えるだろう。

オーストラリアを代表する競馬開催としては、メルボルンカップを含む8つのG1を計4日間で行うヴィクトリア州の「メルボルンカップカーニバル」(10月末から11月初旬)、ドンカスターマイル(芝1600メートル)やクイーンエリザベスS(芝2000メートル)を含め、2週続けての2日間で8つのG1を行うニューサウスウェールズ州の「ザチャンピオンシップス」(4月)が特に知られており、それぞれの州の一大競馬イベントとなっている。

オーストラリアは世界有数のサラブレッド生産大国でもある。2016年の生産頭数は1万2653頭で、アメリカの2万850頭に次いで世界第2位。日本(6905頭)の倍近い生産頭数を誇る。近年はかつてシャトル供用されたデインヒル(父ダンジグ)の父系が枝葉を伸ばしており、ここ20シーズンで15度も、デインヒル自身とその血を引く種牡馬がチャンピオンサイヤーに輝いている。馬産の中心はニューサウスウェールズ州で、全体の約45%を占めている。

文:秋山 響(TPC)
(2018年10月現在)

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