馬と人がともに生きる未来へ組織を超えて
仲間たちと紡ぐ、
新たな物語
JRAには、組織や立場を超えて「馬への想い」をともにする
多くのパートナーがいます。
社会貢献活動においても、それぞれの専門性が大きく活かされています。
今回は、JRAとともに馬の「未来」をサポートする、
彼らの取組みをご紹介します。
JRAと志をともにするパートナーたちの取組み
緑のターフを疾走する美しく力強いサラブレッド、そしてスタンドを包む熱い歓声。競馬が生み出す数々の感動とドラマの裏側では、馬を愛し、高い専門性を持つ多くの関係者や団体が活躍しています。
JRAと志をともにする仲間たちは、所属する組織や専門分野は異なっても、「競馬の魅力を伝え、馬文化を大切にしていく」という想いはひとつです。中でも、馬たちがその後の時間も健やかに、自分らしく輝ける場所を創ることは、私たちが真摯に向き合っている取組みです。
今回はその想いを共有するパートナーとして、「JRAシステムサービス株式会社」と「公益財団法人三木山人と馬とのふれあいの森協会」の活動をご紹介します。
IT企業が「馬の福祉」と向き合う理由
はじめに、JRAシステムサービス株式会社の取組みをご紹介します。
JRAシステムサービス(株)とは
競馬事業をITシステムで支えるJRAグループの中核企業。全国の競馬場やウインズにある勝馬投票券の自動発売・払戻システム、電話・インターネット投票(IPAT)をはじめ、競馬情報サービス「JRA-VAN」、電話・インターネット投票会員向けWebサービス「Club JRA-Net」、競走馬の血統や成績を網羅したJRA公式データベースの運用など、その業務範囲は多岐にわたります。
同社では、持続可能な社会を目指すSDGsの重要課題(マテリアリティ)のひとつとして「馬の福祉の充実」を掲げています。馬の生涯を通じたウェルビーイング(心身の健康と幸せ)を支えたいという想いから、2024年より「引退競走馬杯(RRC:Retired Racehorse Cup)」への協賛・支援を行っています。
引退競走馬杯のファイナルは、JRA馬事公苑で行われる
引退競走馬杯の障害馬術競技の様子
引退競走馬杯とは
この大会は、競走生活を終えた馬たちに新たな活躍の場を提供すると同時に、乗馬・馬術ファンの拡大や、馬に携わるスタッフのトレーニング技術向上を目指して2018年にスタートした馬術大会です。障害馬術・馬場馬術・総合馬術・TREC競技などのカテゴリーがあり、全国各地での予選を経て、JRA馬事公苑でファイナルが開催されます。
馬術競技は、人と馬が呼吸を合わせ、演技の美しさやスピード、正確性などを競う競技です。競馬とは異なる、馬本来のしなやかな能力や魅力に出会えるのが大きな見どころです。競馬で実績を残した馬だけでなく、新しい環境で才能を開花させる馬も多く、「競走生活を終えた後も大好きな馬を応援できる」と競馬ファンからも注目を集めています。JRAシステムサービス(株)は、大会運営費や副賞の提供などを通じて、この大会を支援しています。
また同社では、豊富なデータベースとIT企業としての情報発信力を活かし、馬たちの新たな仕事を紹介する動画コンテンツ『セカンドキャリウマ』も公開しています。ファンからは「頑張っていたあの馬が、今こうして元気に活躍している姿を見られてうれしい」といった喜びの声が寄せられています。
取り上げる馬の選定にあたっては、現役時代の知名度だけにこだわらないよう心がけていると、担当者は語ります。
「馬のキャリアには、乗馬や馬術だけでなく幅広い分野があることを多くの方に知っていただきたいと考えています。知っていただき、関心を持っていただくこと自体が、巡り巡って彼らを支えるチカラになると信じています」
競馬を引退した後の新たな仕事を動画で紹介する「セカンドキャリウマ」
森で触れ合う、人と馬との穏やかな時間
続いてご紹介するのは、公益財団法人三木山人と馬とのふれあいの森協会の取組みです。
兵庫県三木市の豊かな自然の中で、馬と森に触れ合える複合施設「三木ホースランドパーク」を運営。自然体験活動や馬とのふれあいイベント、乗馬教室、馬術競技会などを開催しており、引退競走馬杯の予選会場としても活用されています。
三木ホースランドパークで暮らす馬たちの中には、競走馬、そして競馬場の誘導馬というキャリアを経て、現在は体験乗馬や引き馬を通じてお客様と触れ合う馬も少なくありません。ここでは、馬たちが穏やかな日々を過ごしている様子を見ることができます。
協会の特徴的な取組みのひとつが、兵庫県の公立小学校5年生を対象とした「自然学校」への協力です。子どもたちが生き物や自然と触れ合う体験教育の場で、馬の習性を学ぶ授業や、森の中で引き馬体験を実施しています。馬と直に触れ合う体験は、子どもたちに生き物に対する思いやりや命を慈しむ心を育む貴重な機会となっています。
授業を担当するかつて競馬場で獣医師やスターター(発走委員)を務めたスタッフはこう話します。
「競馬の現場で馬の近くにいたからこそ、競走生活を終えた馬たちが穏やかに活躍できる場をひとつでも増やしたいという思いがあります。授業で競馬に関わる職業を紹介するときには、未来の競馬や馬文化を支える人材につながればという願いも込めて、つい力が入ってしまいますね」と笑顔で話してくれました。
自然学校で馬の授業を熱心に聞く小学生たち
馬たちが自分らしく輝ける場所を
サラブレッドの多くが、7〜8歳くらいまでに競馬場を後にします。その後は、種牡馬や繁殖牝馬として牧場に戻る馬もいれば、馬術競技で活躍する馬、乗馬として新たな道を歩む馬もいます。
それぞれの年齢や体調に合わせた無理のない役割や居場所をひとつでも多く創出していくことは、馬を愛するすべての人々にとって大切な課題です。
引退後にトレーニングを重ね障害馬術に転向する馬も
JRAシステムサービス(株)の担当者は、次のように語ります。
「競馬に携わる私たちだけでなく、ファンや地域の皆様にも、現役を卒業した馬たちのその後の歩みに関心を持っていただけたらうれしいです。温かく見守っていただくことが、彼らの未来を支える大きな後押しになります」
(公財)三木山人と馬とのふれあいの森協会の担当者も、日々の触れ合いが持つ力を実感しています。
「三木ホースランドパークはこれからも、馬と人とをつなぐ温かい場であり続けたいです。馬と触れ合って感じる想いや小さな体験の積み重ねが、馬たちの居場所を守り、活動の場を広げていく力になると信じています」
馬術大会への協賛や情報発信を通じて馬たちの活躍を伝えるJRAシステムサービス(株)と、乗馬や引き馬の現場で人と馬が触れ合う機会を生みだしている(公財)三木山人と馬とのふれあいの森協会。アプローチは違っても、馬たちに寄り添い、その可能性を広げていこうとする想いは同じです。
三木ホースランドパークでは、森のコースを歩くホーストレッキングで働く馬も活躍している
馬に寄り添う未来へ──馬とともに描く、これからの物語
馬は、競馬を支える大切なパートナーです。だからこそ、「馬に寄り添う支援」は、これからの競馬のあり方を考えるうえで欠かすことのできないテーマです。
JRAが経営の基本方針に掲げる「社会とともに」という言葉には、親しまれる競馬を開催するだけでなく、馬に寄り添い、人と馬がともに生きる豊かな社会を育んでいくという想いが込められています。
JRAとビジョンをともにする仲間たちの役割は、素晴らしいレースを届けることだけではありません。馬たちにそれぞれ適した役割や居場所を用意し、寄り添い続けること。
一頭でも多くの馬がその馬らしく過ごせる未来を目指して──。馬を愛する人々の地道な歩みは、これからも続いていきます。