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中山競馬場 俳句大賞 入賞句発表

中山競馬場 俳句大賞

たくさんのご応募ありがとうございました!
応募者数 3,854名!
ご応募をいただいた3,854名の皆さま、本当にありがとうございました。たくさんのご応募の中から、見事入賞されました作品50句を発表いたします!

最優秀賞 1名

金杯は荒れるか高き霜柱

可憐花童

選評 選者/夏井いつきさん「金杯は荒れるか」は、早朝の馬場の「霜柱」を眺めての率直な思い。こう呟く人物は、馬場を管理する裏方、厩務員、調教師、はたまた馬主かもしれません。眼前にあるのは「高き霜柱」の映像だけですが、前半の呟きがその一日を予言するかのようなリアリティを持っています。季語「霜柱」を主役に立てつつ、「金杯」の一語も十二分に活かした堂々たる作品です。
夏井いつきさん

優秀賞 9名

たてがみは鉄筆めいて有馬記念

鮎次郎

大金星上げ北風を騎手の腕

石井一草

寒暁の息のみを聴く出走馬

魚群探知機

二年目の赤本 イヤホンから金杯

コージ

有馬記念首二た撫での褒め言葉

セロリーヌ

行く年や風を火として遮眼革

早田駒斗

手袋を取って有馬のファンファーレ

拓真

パドックの湯気立つ馬糞にも淑気

多喰身・デラックス

歓声は地鳴り駿馬へ風冴ゆる

ちゃうりん

※俳号/ペンネームの50音順に掲載。

佳作 40名

単勝に千円極月の午後を

青海也緒

有馬記念外して蕎麦掻が固い

朝月沙都子

短日のターフに刻むラストラン

あみま

ターフに影長く大歓声の波

アッエプソムノオカ

珍名の馬あたたかな冬となる

いーなん

仏壇の赤の鉛筆有馬の日

いけしん

有馬記念ゼウスの雷と化し一騎

いさな歌鈴

ゴール切る鼻梁に矜恃有馬記念

板柿せっか

馬に愚痴有馬の夜のひとり鍋

馬烏(うまがらす)

初馬場に凍みて蹄音高らかに

うまやどの皇子

蕎麦に天麩羅乗せ中山金杯

SKかぴさん

明日有馬赤鉛筆をまた削る

エミテン

突き棒もて芝叩く裏方に雪

近江菫花

初晴や蹄待ち受く馬場の砂

大塚迷路

中山金杯おみくじを裏切る

遅れてきた猫☆

舌垂らし逃げ馬逃げ切れぬ冬日

越智空子

夕凍みや馬にうなづく厩務員

お天気娘

引退や金の嘶き冬晴へ

有馬記念終えて多数派のひとり

くもがくれ

馬の眼はやさしい有馬記念の朝

小口zzda

騎手もろとも風のかたまり有馬記念

コッキー+1

煤逃げのサウナで見てる有馬記念

GONZA

馬走る馬をただ観る去年今年

さち

有馬記念勝馬の鞍外しやる

紗千子

金杯を当てしことのみ初日記

湘路

金杯の枠出る仕事始かな

須磨のうさぎ

督促状裏にメモして有馬記念

世良日守

蜜柑つぶれ中山金杯終わる

そまり

大逃げの騎手の臀美し中山金杯

多事

凍風やホーム転がり来る馬券

橘まゆこ

ふところにあたり馬券よ女正月

永田啓司

有馬記念モツ煮ホッピー梯子酒

中鉢矢的

開門を待つ馴染み顔息白し

中山バスター

有馬記念蹄へだぐだぐだぐだぐ血

二重格子

有馬記念帰路は第九に満ち満ちて

28あずきち

有馬記念掉尾の一振とはならず

猫柳

有馬記念煽るサテンの勝負服

藤本花をり

演歌「祭り」響く有終の有馬記念

府中のトシ

馬の名をラジオが叫ぶ師走かな

ラルラリラン

妻と行く有馬記念や老い楽し

わかい爺さん

※俳号/ペンネームの50音順に掲載。

総評 選者/夏井いつきさん  どんなテーマでも17音で詠めないものはないと常々豪語してきましたが、「年末年始の中山競馬」で一句という企ては実に愉快でした。しかも「有馬記念」「中山金杯」を季語にしたいという野望も天晴れです。その思いに答えて、3,854名もの皆さまが投句されたことも頼もしく思いました。ただ、今回の投句には、競馬をイメージのみでとらえているものも相当数ありました。平たくいえば、凡人の発想に終わっている句たちです。俳句の基本は季語の現場に立つこと。現場に足を運ぶと、思いがけない句材に出会います。事実ほど強いリアリティはありませんし、そこには自ずとオリジナリティも生まれます。是非、次の年末年始にはナマの季語を体験するために、句帳片手に足を運んでみて下さい。新鮮な句材が皆さんを待っているはずです。
夏井いつきさん
入賞者のみなさまへ
賞品は3月10日までに発送いたしますので、しばらくお待ちください。