2022年のNHKマイルCは、単勝オッズ7.1倍(4番人気)のダノンスコーピオンが1着、同6.8倍(3番人気)のマテンロウオリオンが2着、同229.1倍(18番人気)のカワキタレブリーが3着となり、3連単で153万2370円の高額配当が飛び出した。3連単が発売されるようになった2005年以降の計18回中、半数の9回は3連単の配当が20万円を超えているうえ、そのうち4回は100万円を超える大波乱決着となっている。今年も伏兵の台頭を警戒しておいた方がよさそうだ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の前走の距離別成績を見ると、前走が1800メートル超だった馬が3着内率33.3%と比較的優秀な成績を収めている。該当馬は高く評価するべきだろう。〔表1〕
前走の距離 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1800m以下 | 7-9-8-138 | 4.3% | 9.9% | 14.8% |
1800m超 | 3-1-2-12 | 16.7% | 22.2% | 33.3% |
なお、前走が1800メートル以下だった馬について前走別成績を見ると、3着内率が20%を超えているのは桜花賞・アーリントンC・毎日杯の3レースだけだった。この3レースはいずれも阪神・芝外回りコースで行われる重賞である。これらのレースから臨んだ馬も、上位に食い込む可能性が比較的高いとみてよさそうだ。〔表2〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
桜花賞 | 2-2-0-12 | 12.5% | 25.0% | 25.0% |
ニュージーランドT | 2-1-2-45 | 4.0% | 6.0% | 10.0% |
アーリントンC | 2-0-4-19 | 8.0% | 8.0% | 24.0% |
ファルコンS | 1-1-1-16 | 5.3% | 10.5% | 15.8% |
毎日杯 | 0-2-0-7 | 0% | 22.2% | 22.2% |
その他のレース | 0-3-1-39 | 0% | 7.0% | 9.3% |
過去10年の前走の単勝人気別成績を見ると、1番人気だった馬が3着内率42.3%と優秀な成績を収めている。前走を比較する際は、当時の単勝人気にも注目しておきたい。〔表3〕
前走の単勝人気 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 5-4-2-15 | 19.2% | 34.6% | 42.3% |
2番人気以下 | 5-6-8-135 | 3.2% | 7.1% | 12.3% |
過去6年の3着以内馬18頭中15頭は、前走の着順が1着、もしくは2着以下で1着馬とのタイム差が0.3秒以内だった。一方、前走の着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.4秒以上だった馬は3着内率6.3%と苦戦している。2016年以前は大敗直後の馬もそれなりに好走していたが、近年の傾向を見る限りでは、前走好走馬が強いレースと言えるだろう。〔表4〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の着順ならびに1着馬とのタイム差 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
着順が1着、もしくは2着以下で1着馬とのタイム差が0.3秒以内 | 5-5-5-45 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.4秒以上 | 1-1-1-45 | 2.1% | 4.2% | 6.3% |
なお、前走の着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0.4秒以上だったにもかかわらず3着以内に入った3頭は、いずれも前走の出走頭数が17頭以上、かつ前走の単勝人気が12番人気以内だった。前走で勝ち馬に0.4秒以上のタイム差をつけられてしまった馬のうち、そのレースが16頭以下だった馬や、極端な人気薄だった馬は、割り引きが必要だ。〔表5〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の出走頭数ならびに単勝人気 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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出走頭数が17頭以上、かつ単勝12番人気以内 | 1-1-1-11 | 7.1% | 14.3% | 21.4% |
出走頭数が16頭以下、もしくは単勝13番人気以下 | 0-0-0-34 | 0% | 0% | 0% |
過去6年の3着以内馬18頭中12頭は、馬番が「10番から18番」だった。一方、「1番から9番」だった馬は3着内率11.1%とやや苦戦している。どちらかと言えば外枠優勢なレースとみておきたい。〔表6〕
馬番 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜9番 | 0-3-3-48 | 0% | 5.6% | 11.1% |
10〜18番 | 6-3-3-42 | 11.1% | 16.7% | 22.2% |
過去3年の3着以内馬9頭中6頭は、前走の4コーナー通過順が4番手以内だった。一方、5番手以下だった馬は3着内率9.7%と苦戦している。〔表7〕
前走の4コーナー通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4番手以内 | 2-1-3-17 | 8.7% | 13.0% | 26.1% |
5番手以下 | 1-2-0-28 | 3.2% | 9.7% | 9.7% |
なお、前走の4コーナー通過順が5番手以下だったにもかかわらず3着以内に入った3頭は、いずれもJRAのオープンクラスのレースにおいて、“1着、かつ4コーナー通過順が4番手以内”となった経験のある馬だった。これまで重賞やオープン特別を先行して勝ち切ったことがなく、前走の4コーナーを5番手以下で通過していた馬は過信禁物だ。〔表8〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-2-0-5 | 12.5% | 37.5% | 37.5% |
なし | 0-0-0-23 | 0% | 0% | 0% |
過去6年の優勝馬6頭は、いずれも前走の単勝人気が6番人気以内だった。前走で極端な人気薄にとどまっていた馬は、扱いに注意したい。また、この6頭は前走を勝っていたか、1着馬とのタイム差が0.4秒以内だった点、馬番が11番から18番だった点も共通している。〔表3〕から〔表6〕で挙げた傾向も考慮するべきだろう。〔表9〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 前走の単勝人気 | 前走の着順 | 前走の1着馬とのタイム差 | 馬番 |
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2017年 | アエロリット | 6番人気 | 5着 | 0.2秒 | 16番 |
2018年 | ケイアイノーテック | 1番人気 | 2着 | 0.0秒 | 11番 |
2019年 | アドマイヤマーズ | 2番人気 | 4着 | 0.4秒 | 17番 |
2020年 | ラウダシオン | 1番人気 | 2着 | 0.2秒 | 11番 |
2021年 | シュネルマイスター | 2番人気 | 2着 | 0.2秒 | 15番 |
2022年 | ダノンスコーピオン | 1番人気 | 1着 | - | 18番 |
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