2年以上にわたる開催休止期間が終わり、4月22日に京都競馬場がグランドオープン。その新装京都競馬場で行われる最初のGⅠが第167回天皇賞(春)となる。長距離を得意とするステイヤーが覇を競う伝統の一戦だ。今回は阪神競馬場で開催された2021年、2022年を含む過去10年の結果を中心に傾向を探った。
かつては大波乱が起こったこともあったが、近年は前評判通りの決着が多く、過去10年で馬連万馬券が出たのは一度のみ。優勝馬は全て4番人気以内だった。4番人気以内と5番人気以下では連対率・3着内率も大きく違っているので、軸馬は4番人気以内の馬から選ぶのが無難であろう。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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4番人気以内 | 10-6-6-18 | 25.0% | 40.0% | 55.0% |
5番人気以下 | 0-4-4-119 | 0% | 3.1% | 6.3% |
前走で4着以内に入っていた馬と5着以下に敗れていた馬とでは、好走率が大きく変わる。近年も、2021年2番人気4着のアリストテレス(前走・阪神大賞典7着)や、2020年3番人気6着のキセキ(前走・阪神大賞典7着)など、上位人気馬が期待に応えられなかった例もあるので、“前走4着以内”は取捨をする際のひとつの目安になりそうだ。〔表2〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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4着以内 | 9-8-10-75 | 8.8% | 16.7% | 26.5% |
5着以下 | 1-2-0-61 | 1.6% | 4.7% | 4.7% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭は、前走で表にある9レースのいずれかに使われていた。主要な前哨戦である日経賞と阪神大賞典、そして中距離GⅠの大阪杯(2016年まではGⅡ)から臨んだ馬の活躍が目立ち、これら3レースで1着だった馬は【5-3-3-10】の成績で、3着内率は50%を超えている。〔表3〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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日経賞 | 4-2-3-43 | 7.7% | 11.5% | 17.3% |
阪神大賞典 | 2-4-4-47 | 3.5% | 10.5% | 17.5% |
大阪杯 | 2-1-0-6 | 22.2% | 33.3% | 33.3% |
アメリカJCC | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
有馬記念 | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
ダイヤモンドS | 0-1-1-16 | 0% | 5.6% | 11.1% |
京都記念 | 0-1-1-5 | 0% | 14.3% | 28.6% |
日経新春杯 | 0-1-0-0 | 0% | 100% | 100% |
ドバイWC | 0-0-1-1 | 0% | 0% | 50.0% |
過去10年で天皇賞(春)を制したジョッキーは7人。そのうち横山和生騎手を除く6人は既にJRA・GⅠを15勝以上しているベテランジョッキーだった。“長距離は騎手で買え”との格言どおり、GⅠ勝利数の多いジョッキーに注目したい。ちなみに現役騎手でJRA・GⅠを15勝以上しているのは、武豊騎手、C.ルメール騎手、M.デムーロ騎手、池添謙一騎手、横山典弘騎手、岩田康誠騎手、川田将雅騎手の7人だ。〔表4〕
騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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武豊 | 2-1-0-5 | 25.0% | 37.5% | 37.5% |
蛯名正義 | 2-0-1-4 | 28.6% | 28.6% | 42.9% |
C.ルメール | 2-0-1-5 | 25.0% | 25.0% | 37.5% |
福永祐一 | 1-1-1-5 | 12.5% | 25.0% | 37.5% |
横山典弘 | 1-0-1-4 | 16.7% | 16.7% | 33.3% |
岩田康誠 | 1-0-0-5 | 16.7% | 16.7% | 16.7% |
横山和生 | 1-0-0-1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
過去10年で産駒を連対させている種牡馬はわずか6頭しかいない。JRAの平地GⅠ最長距離となる3200メートルで好走するには、血統面の後押しも必要なようだ。3着以内馬の多い、ステイゴールド、ディープインパクト、ハーツクライ産駒は要チェックだ。〔表5〕
種牡馬 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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ステイゴールド | 4-1-1-11 | 23.5% | 29.4% | 35.3% |
ディープインパクト | 3-2-2-20 | 11.1% | 18.5% | 25.9% |
ブラックタイド | 2-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
ドゥラメンテ | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
ハーツクライ | 0-5-2-16 | 0% | 21.7% | 30.4% |
キズナ | 0-2-0-0 | 0% | 100% | 100% |
天皇賞(春)では、3歳時に菊花賞で好走していた馬の優勝が続いている。表にあるとおり、2015年以降の優勝馬延べ8頭中7頭は菊花賞馬で、残る1頭も同2着馬となっている。クラシック最長距離となる3000メートルの菊花賞で長距離適性を証明している馬は、天皇賞(春)でも有力なようだ。〔表6〕
(姫園 淀仁)
年度 | 優勝馬 | 菊花賞着順 |
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2015年 | ゴールドシップ | 1着 |
2016年 | キタサンブラック | 1着 |
2017年 | キタサンブラック | 1着 |
2018年 | レインボーライン | 2着 |
2019年 | フィエールマン | 1着 |
2020年 | フィエールマン | 1着 |
2021年 | ワールドプレミア | 1着 |
2022年 | タイトルホルダー | 1着 |
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