今週の注目レース

3歳重賞馬連 皐月賞(GⅠ)

中山競馬場 2000メートル(芝)定量 牡・牝 3歳オープン

出走馬情報

ファントムシーフ

牡3歳

調教師:西村真幸(栗東)

  • 父:ハービンジャー
  • 母:ルパンⅡ
  • 母の父:Medaglia d'Oro
ここに注目!

半姉は4勝をマークし、昨秋にオープンクラス入りを果たしたルピナスリード(父ダイワメジャー)。本馬はセンス抜群の走りで、有力ステップの前走・共同通信杯を優勝した。人気馬の一角として、堂々とクラシック三冠の一冠目に挑む。

前走・共同通信杯(1着)は、2走前のホープフルS(4着)とは違って抜群の行きっぷり。強引にハナに立ったタッチウッド(2着)の直後をリズム良く追走した。直線も鋭く加速し、余裕を持ってライバルたちを退けた。騎乗したC.ルメール騎手は「スタートに一番気をつけました。スタミナがあるので最後まで全然、止まらなかった。いいポジションを取れて、自信を持って乗りました」と振り返った。父がイギリス産のハービンジャーで、母もイギリスの繁殖牝馬セールで購入されたルパンⅡ。サンデーサイレンスの血が一滴も流れていない、近代日本競馬における異色の良血馬だ。その馬体は雄大でバランスが取れている。一冠目奪取へ視界は明るい。馬名の由来は「怪盗。母名より連想」。

ソールオリエンス

牡3歳

調教師:手塚貴久(美浦)

  • 父:キタサンブラック
  • 母:スキア
  • 母の父:Motivator
ここに注目!

半兄が2020年富士Sを制し、2021年ドバイターフ(G1・UAE)では2着に好走したヴァンドギャルド(父ディープインパクト)。前走・京成杯(1着)で存分にポテンシャルを見せつけた素質馬に注目したい。

前走・京成杯(1着)では、4コーナーで前を走る馬に過剰に反応し、5、6頭分外へヨレた。厳しい形に見えたが、鞍上の横山武史騎手が懸命に立て直し、そこから一気に加速。先行勢を次々と抜き去り、最後は2馬身1/2差の完勝となった。横山武史騎手は「普段から右にモタれるしぐさはあったけど、競馬だけ左にモタれてしまった。あの内容で勝つのだから強いと思います」と語った。父は、昨年度のJRA賞年度代表馬イクイノックスと同じキタサンブラック。完成度に余白を残す分、一戦ごとの上積みも大きい。無傷の3連勝で皐月賞制覇を目指す。馬名の由来は「朝日(ラテン語)」。

ベラジオオペラ

牡3歳

調教師:上村洋行(栗東)

  • 父:ロードカナロア
  • 母:エアルーティーン
  • 母の父:ハービンジャー
ここに注目!

1998年オークス2着の曽祖母エアデジャヴーから連なる一流の母系。本馬はデビュー3連勝で前走・スプリングSを優勝しており、まだ能力の底を見せていない。パワフルな走りが身上で、タフな馬場コンディションも歓迎だろう。

前走のスプリングS(1着)は、それまでの先行策とは違い、外枠勢を行かせて中団を追走した。3コーナーから外を回って進出し、メンバー中最速タイの上がり3ハロン35秒7(推定)の決め手で2着ホウオウビスケッツを突き放した。騎乗した横山武史騎手は「前走で乗って、この馬の武器は把握していました。きょうは能力を殺さないように乗りました」と、納得の表情を浮かべた。芝2000メートル以上の出走はないが、昨年も同距離未出走だったジオグリフが皐月賞馬に輝いているのは心強い。2019年サートゥルナーリア、2020年コントレイル、2021年エフフォーリアに続く4戦無敗での戴冠に挑む。馬名の由来は「冠名+歌劇」。

ダノンタッチダウン

牡3歳

調教師:安田隆行(栗東)

  • 父:ロードカナロア
  • 母:エピックラヴ
  • 母の父:Dansili
ここに注目!

半兄が2020年ホープフルSを優勝し、昨年のマイルチャンピオンシップ、香港C(G1)で2着に好走したダノンザキッド(父ジャスタウェイ)。2年前の皐月賞を1番人気で敗れた兄のリベンジを、本馬が果たす。

前走の朝日杯フューチュリティーS(2着)は、出負け気味にゲートを切って中団後方を追走。うまく内ラチ沿いに潜り込んで経済コースを通った。直線に入ると進路を外に切り替え、メンバー中最速の上がり3ハロン35秒2(推定)の脚で鋭く伸び、先に抜け出したドルチェモアをクビ差まで追い詰めた。騎乗した川田将雅騎手は「現状の体でGⅠ2着と、精いっぱいの走りをしてくれました。来年、成長を伴って、さらにいい走りができると思いますので、楽しみです」と相棒をねぎらった。デビュー3戦で繰り出した末脚は世代トップクラス。1勝馬の優勝なら2004年のダイワメジャー以来となる。馬名の由来は「冠名+アメリカンフットボール用語」。

タスティエーラ

牡3歳

調教師:堀宣行(美浦)

  • 父:サトノクラウン
  • 母:パルティトゥーラ
  • 母の父:マンハッタンカフェ
ここに注目!

2016年香港ヴァーズ(G1)、2017年宝塚記念を優勝したサトノクラウンの初年度産駒。父と同じく、弥生賞ディープインパクト記念勝利から本番へと駒を進める。父が1番人気で6着に敗れた皐月賞で輝きを放てるか、注目だ。

前走・弥生賞ディープインパクト記念(1着)は、4コーナーで好位の外へ。直線でじわじわとトップスピードに乗ると、内のトップナイフ(2着)、外のワンダイレクト(3着)との競り合いをしのいでゴールを駆け抜けた。騎乗した松山弘平騎手は「自分から動いて勝ちに行く競馬ができました。素晴らしい馬です」と、相棒の素質を絶賛した。3戦目での同レース制覇は史上最少タイのキャリア。アグネスタキオン、ディープインパクト、マカヒキ、そして父であるサトノクラウンと、過去の名馬たちに肩を並べた。父が1番人気に推されながら6着に泣いた皐月賞(2015年)。才能あふれる初年度産駒が、8年前の悔しさを晴らす。馬名の由来は「(楽器の)キーボード(伊)。母名より連想」。

フリームファクシ

牡3歳

調教師:須貝尚介(栗東)

  • 父:ルーラーシップ
  • 母:ライツェント
  • 母の父:スペシャルウィーク
ここに注目!

半姉が2017年秋華賞、2019年ナッソーS(G1・イギリス)を勝利したディアドラ(父ハービンジャー)という良血馬。本馬は単勝オッズ1倍台に推された近3戦で3連勝。きさらぎ賞を制した勢いのまま、クラシック三冠一冠目に挑む。

前走のきさらぎ賞(1着)は、1コーナー過ぎで他馬が外から切れ込んでハナを奪った際、大きく頭を上げた。鞍上が何とかなだめて直線へ。ラストは瞬発力を発揮して勝ち切った。旺盛すぎる前進気勢は見せたものの、3連勝でポテンシャルの高さをアピール。騎乗した川田将雅騎手は「テンションというより、走り出してからの力みです。今回もずっと力んでいましたし、これからも課題になるのは間違いないです。ポテンシャルはGⅠにも手が届く馬だと思います」と話した。前哨戦で我慢の競馬を実践できたことは、大きな収穫。速いペースになりやすい皐月賞の流れも、この馬には向きそうな印象がある。勢いのままに一冠目に挑む。馬名の由来は「北欧神話の夜の女神の愛馬」。

タッチウッド

牡3歳

調教師:武幸四郎(栗東)

  • 父:ドゥラメンテ
  • 母:アメージングムーン
  • 母の父:アドマイヤムーン
ここに注目!

半兄が2022年エプソムC、2023年アメリカジョッキークラブCを制したノースブリッジ(父モーリス)という良血馬。本馬もキャリア2戦目の前走・共同通信杯で2着と能力の高さを証明しており、強敵相手でもひるむことはない。

前走・共同通信杯(2着)はスタートでまさかの出遅れ。しかし、そこから二の脚で先行集団に取りつくと、向正面半ばで早くも先頭へ立った。直線もしぶとく粘り込んでおり、スムーズなら勝ち馬ファントムシーフとの差はもっと詰まっていたはずだ。騎乗したT.バシュロ騎手は「ゲート内で立ち上がりました。一緒に出ていればもっと際どかった。道中は物見しながら走っていたが、気分よく走らせました。最後もいい走りをしてくれました」と高く評価した。デビュー2戦目で挑んだ重賞で、皐月賞への収得賞金を加算。勝てば1984年のグレード制導入以降、史上最少キャリアでの皐月賞制覇となる(最高着順は昨年のイクイノックスの2着)。馬名の由来は「木を叩くおまじない」。

トップナイフ

牡3歳

調教師:昆貢(栗東)

  • 父:デクラレーションオブウォー
  • 母:ビーウインド
  • 母の父:スピニングワールド
ここに注目!

2015年七夕賞2着のステラウインド(父ゼンノロブロイ)など、きょうだいはJRAでコンスタントに活躍。本馬も重賞で3戦連続2着と、世代トップクラスの能力を見せつけている。ここでも安定した走りを見せられそうだ。

2走前のホープフルS(2着)は逃げの手に出たが、前走の弥生賞ディープインパクト記念(2着)は好位からの競馬。直線はインを鋭く駆け上がり、タスティエーラに1馬身差と迫った。これで京都2歳S、ホープフルSに続き重賞で3戦連続の2着。管理する昆貢調教師は「逃げ馬が壁になって、ワンタイミング仕掛けが遅れました。決して力負けではありません。皐月賞になれば流れも変わってくるでしょうし、器用さのある馬だからどこかでチャンスがくるはずです」と、本番でのリベンジを誓っていた。8戦のキャリアは今年の登録馬中で最多。豊富な経験を生かして混戦模様の一戦を制すことができるのか、注目だ。馬名の由来は「超一流の技術」。

(高木 翔平)

ご注意 「今週の注目レース」ページの情報は、特別レース登録馬や過去のレース結果に基づいて制作しております。JRAが特定の競走馬を応援、推奨するものではありません。出走取りやめ、出走取消などにより、掲載した競走馬がレースに出走しないことがあります。

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