2022年の弥生賞で重賞初制覇を果たしたアスクビクターモアは、皐月賞で5着に、日本ダービーで3着に入った後、秋に菊花賞を制した。また、同2着のドウデュースは、皐月賞で3着に敗れた後、日本ダービーを快勝して世代の頂点に立った。当レースの3着以内馬に優先出走権が付与される皐月賞はもちろん、その後のクラシック戦線を展望するうえでも見逃せない一戦だ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、JRAのオープンクラス、もしくは1勝クラスにおいて2着以内に入った経験があった。一方、この経験がなかった馬は3着内率7.5%と苦戦している。まだオープンクラスや1勝クラスのレースで連対したことのない馬は、評価を下げるべきだろう。〔表1〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-9-9-45 | 12.5% | 25.0% | 37.5% |
なし | 1-1-1-37 | 2.5% | 5.0% | 7.5% |
過去10年の3着以内馬30頭中14頭は、JRAのGⅠにおいて7着以内となった経験がある馬だった。該当馬は3着内率も63.6%と優秀な水準に達している。昨年末の朝日杯フューチュリティSやホープフルSで7着以内となっていた馬は、有力とみてよさそうだ。〔表2〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 2-4-8-8 | 9.1% | 27.3% | 63.6% |
なし | 8-6-2-74 | 8.9% | 15.6% | 17.8% |
なお、JRAのGⅠにおいて7着以内となった経験がなかったにもかかわらず3着以内に入った16頭のうち11頭は、父にディープインパクトかハーツクライを持つ馬だった。GⅠ7着以内がない馬同士を比較する際は、父にも注目してみたい。〔表3〕
父 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 6-1-1-8 | 37.5% | 43.8% | 50.0% |
ハーツクライ | 0-3-0-4 | 0% | 42.9% | 42.9% |
その他の種牡馬 | 2-2-1-62 | 3.0% | 6.0% | 7.5% |
過去10年の3着以内馬30頭中14頭は、前走がJRA、かつ前走の上がり3ハロンタイム(推定)が1位だった。前走でメンバー中トップの上がり3ハロンタイム(推定)をマークしていた馬は、上位に食い込む可能性が高いとみてよいだろう。〔表4〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 7-5-2-19 | 21.2% | 36.4% | 42.4% |
2位以下 | 3-5-8-60 | 3.9% | 10.5% | 21.1% |
なお、前走がJRA、かつ前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位が2位以下だった馬のうち、前走がGⅠだった馬は3着内率が71.4%に達している。一方、前走がGⅠ以外のレースだった馬は3着内率9.7%と苦戦しているうえ、2015年以降の過去8年に限ると〔1・1・1・42〕(3着内率6.7%)と、苦戦傾向が強まっている。前走がGⅠ以外のレースだったにもかかわらず、出走メンバー中トップの上がり3ハロンタイム(推定)をマークできなかった馬は、割り引きが必要だ。〔表5〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 1-2-7-4 | 7.1% | 21.4% | 71.4% |
GⅠ以外 | 2-3-1-56 | 3.2% | 8.1% | 9.7% |
過去7年の3着以内馬21頭中20頭は、前走の4コーナー通過順が2番手から7番手だった。前走の4コーナーを先頭や8番手以下で通過していた馬は、過信禁物とみておきたい。〔表6〕
前走の4コーナー通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
先頭 | 0-0-0-10 | 0% | 0% | 0% |
2〜7番手 | 7-6-7-29 | 14.3% | 26.5% | 40.8% |
8番手以下 | 0-1-0-15 | 0% | 6.3% | 6.3% |
過去7年の優勝馬7頭は、いずれも通算出走数が2戦から5戦だった。ちなみに、グレード制導入後の優勝馬39頭はいずれも通算出走数が2戦以上だった。また、キャリア6戦以上で優勝を果たしたのは2004年のコスモバルクが最後である。キャリア1戦や6戦以上の馬が勝つ可能性は低いとみるべきだろう。なお、この7頭は前走の4コーナー通過順が2番手から7番手だった点も共通している。〔表6〕などで挙げた傾向も重視した方がよさそうだ。〔表7〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 通算出走数 | 前走の4コーナー通過順 |
---|---|---|---|
2016年 | マカヒキ | 2戦 | 4番手 |
2017年 | カデナ | 4戦 | 7番手 |
2018年 | ダノンプレミアム | 3戦 | 4番手 |
2019年 | メイショウテンゲン | 5戦 | 4番手 |
2020年 | サトノフラッグ | 3戦 | 2番手 |
2021年 | タイトルホルダー | 3戦 | 3番手 |
2022年 | アスクビクターモア | 4戦 | 3番手 |
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