年末の風物詩ともいえる有馬記念は、その年のターフを沸かせたスターホースたちが集結する大一番だ。2013年のオルフェーヴル、2017年のキタサンブラックといった、一時代を築いた名馬が有終の美を飾るなど、ここを引退レースに選ぶ馬も多い。その一方で、エフフォーリアが優勝した昨年のように、3歳馬が世代交代を印象付けた年もある。果たして、今年はどういった馬が勝利を収めるのだろうか。過去10年の結果を参考に、レースの傾向を探っていく。
有馬記念では、2020年クロノジェネシス、2021年エフフォーリアと、単勝1番人気馬が連勝中で、1番人気馬は過去10年で6勝を挙げている。3着以内馬延べ30頭中24頭を5番人気以内の馬が占め、6番人気以下の伏兵馬は馬券に絡んだとしても年に1頭なので、予想は上位人気馬を中心に組み立てるのが得策だろう。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 6-1-1-2 | 60.0% | 70.0% | 80.0% |
2番人気 | 1-1-4-4 | 10.0% | 20.0% | 60.0% |
3番人気 | 1-1-2-6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
4番人気 | 1-1-2-6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
5番人気 | 0-2-0-8 | 0% | 20.0% | 20.0% |
6番人気〜9番人気 | 1-2-1-36 | 2.5% | 7.5% | 10.0% |
10番人気以下 | 0-2-0-68 | 0% | 2.9% | 2.9% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中28頭は、JRAの平地GⅠで3着以内に入ったことがある馬だった。この実績がなかった馬は3着内率3.9%と苦戦しているだけに、評価を下げた方がよさそうだ。また、GⅠ好走経験馬のなかでも、同年にJRAの平地GⅠを勝っていた馬が〔6・3・7・21〕(3着内率43.2%)と好成績を収めている。一年の総決算というべきレースだけに、今年のGⅠを勝っている馬には注目しておきたい。〔表2〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-9-10-81 | 8.3% | 16.5% | 25.7% |
なし | 1-1-0-49 | 2.0% | 3.9% | 3.9% |
過去10年の前走別成績を調べると、3着以内馬延べ30頭中22頭は前走がJRAのGⅠだった。レース別に見ると、菊花賞が3着内率46.2%と好相性を誇っている。3着以内馬の頭数ではジャパンカップ組が延べ9頭で最多だが、ここ4年は〔0・0・1・18〕と苦戦気味。一方、天皇賞(秋)組からはクロノジェネシス、エフフォーリアと近2年の優勝馬が出ている。また、昨年は2着と3着が凱旋門賞帰りの馬と、近年は比較的ゆったりとしたローテーションの馬が活躍する傾向にあるようだ。〔表3〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
菊花賞 | 3-1-2-7 | 23.1% | 30.8% | 46.2% |
ジャパンカップ | 2-2-5-47 | 3.6% | 7.1% | 16.1% |
天皇賞(秋) | 2-2-1-12 | 11.8% | 23.5% | 29.4% |
エリザベス女王杯 | 0-2-0-18 | 0% | 10.0% | 10.0% |
海外G1 | 2-1-2-4 | 22.2% | 33.3% | 55.6% |
GⅡ | 1-2-0-25 | 3.6% | 10.7% | 10.7% |
上記以外 | 0-0-0-17 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の年齢別成績では、3歳馬が勝率、連対率、3着内率の全てでトップとなっている。なかでも、同年にJRA・GⅠを勝っていた3歳馬は〔3・1・2・2〕と3着内率が75.0%に達しているうえ、有馬記念での単勝人気が1番人気だった馬は3戦全勝と圧巻の成績になっている。3歳のGⅠウイナーが歴戦の古馬を抑えて1番人気に支持されていたならば、かなり信頼度が高そうだ。なお、6歳以上の馬は3着が1回あるのみと振るわない。年齢的には3歳から5歳の馬が中心と考えるべきだろう。〔表4〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3歳 | 4-2-2-16 | 16.7% | 25.0% | 33.3% |
4歳 | 2-5-1-36 | 4.5% | 15.9% | 18.2% |
5歳 | 4-3-6-45 | 6.9% | 12.1% | 22.4% |
6歳 | 0-0-1-16 | 0% | 0% | 5.9% |
7歳以上 | 0-0-0-17 | 0% | 0% | 0% |
〔表4〕で示したとおり、過去10年の優勝馬は5歳以下の馬に限られる。また、全馬が前走で4着以内に入っていたので、優勝候補は年齢と前走の着順からある程度は絞り込めそうだ。さらに絞り込む際の参考になりそうなのが、10頭中8頭は前走と同じ騎手が騎乗していた点。現在、これに該当する馬が7連勝中なので、同じ騎手が継続して騎乗する馬を重視する手もありそうだ。〔表5〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 年齢 | 前走の着順 | 騎手 |
---|---|---|---|---|
2012年 | ゴールドシップ | 3歳 | 1着 | 前走と同じ |
2013年 | オルフェーヴル | 5歳 | 2着 | 乗り替わり |
2014年 | ジェンティルドンナ | 5歳 | 4着 | 乗り替わり |
2015年 | ゴールドアクター | 4歳 | 1着 | 前走と同じ |
2016年 | サトノダイヤモンド | 3歳 | 1着 | 前走と同じ |
2017年 | キタサンブラック | 5歳 | 3着 | 前走と同じ |
2018年 | ブラストワンピース | 3歳 | 4着 | 前走と同じ |
2019年 | リスグラシュー | 5歳 | 1着 | 前走と同じ |
2020年 | クロノジェネシス | 4歳 | 3着 | 前走と同じ |
2021年 | エフフォーリア | 3歳 | 1着 | 前走と同じ |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。