牡2歳
調教師:須貝尚介(栗東)
サウジアラビアロイヤルC(2014年はいちょうS)の勝ち馬は、同じマイル戦である本レースと非常に相性が良く、これまで5頭が挑戦して〔2・1・2・0〕と3着を外していない。この臨戦過程で参戦する本馬にも、大きな期待ができそうだ。
デビュー2戦目での重賞挑戦となった前走のサウジアラビアロイヤルCは、大逃げを打ったグラニット(2着)から離れた2番手での追走。馬のリズムをしっかりと守った鞍上の好騎乗もあったが、マークした上がり3ハロン33秒4(推定)は出走馬中最速で、1分33秒4の勝ち時計も2019年のサリオス、2017年のダノンプレミアムに次ぐ同競走で3番目に速い数字。かなりのポテンシャルを持っていると判断していいはずだ。母アユサンは2013年の桜花賞馬。自らがGⅠ制覇を決めた阪神のマイル戦で、孝行息子も同様の活躍を見せられるのか、注目したい。
牡2歳
調教師:和田雄二(美浦)
前走のデイリー杯2歳Sで、初の長距離輸送と今回と同じ阪神・外回りのマイル戦を経験。1分33秒2の勝ち時計は、ドウデュースが昨年の朝日杯フューチュリティSでマークした1分33秒5を上回っていた。前走に近いパフォーマンスを発揮できれば、好勝負濃厚と言えるはずだ。
前々走の未勝利(中山・芝1600メートル)で鮮やかな逃げ切り勝ちを決めると、前走のデイリー杯2歳Sでも同じように先手を取り、ダノンタッチダウン(2着)の追い上げを抑え込んで重賞初挑戦でタイトル獲得に成功した。父リアルスティールは2016年ドバイターフ(G1・UAE)を勝った名馬で、今年の2歳世代が初年度産駒。前走は父の産駒が初めて重賞勝ちを決めた記念すべきレースだったが、本馬のダイナミックなフットワークは母の父であるルーラーシップの影響も感じさせる。これまでのようなスムーズな競馬をできるかどうかがGⅠ制覇への鍵となってくるはずだ。
牡2歳
調教師:安田隆行(栗東)
前走デイリー杯2歳S(2着)の馬体重は538キログラム。かなりの大型馬であるのは確かだが、前走時は調教の本数、内容ともに強い負荷は掛けておらず、馬体に余裕を持たせた状態だった。今回、当日の馬体が締まって見えるようなら迷わず評価を上げたい。
大外から鮮やかに突き抜けた前々走のメイクデビュー中京(芝1600メートル)のパフォーマンスが素晴らしく、前走のデイリー杯2歳Sでは1番人気の支持を受けた。結果は勝ったオールパルフェに1/2馬身及ばない2着ではあったが、マークした上がり3ハロン33秒1(推定)は出走馬中最速の数字。デビュー戦の1分36秒4を3秒以上も短縮し、1分33秒3の速い時計で走破したところからも能力の高さがうかがえる。半兄にダノンザキッド(父ジャスタウェイ)がいる良血馬。2020年のホープフルSを制し、先日の香港カップ(G1)で2着に好走した兄に続く活躍を期待したい。
牡2歳
調教師:吉村圭司(栗東)
200メートルの距離延長は課題だが、前走の京王杯2歳S(1着)で東京の長い直線を克服。競馬センスが高く、折り合いに苦労しないタイプなのも加味すれば、マイルの克服は可能と判断していいだろう。関東へ遠征しながら体重増だったのも好印象。もっと増えてもいいくらいだ。
前々走のメイクデビュー中京(芝1400メートル)が5番人気、重賞初挑戦で結果を出した前走の京王杯2歳Sが10番人気での勝利。馬名通りの高額配当を演出し続けてきたが、2戦2勝で重賞制覇の実績を手にした今回は人気を集めての出走となりそうだ。父はダート向きの印象が強いディスクリートキャット。しかしながら、母の父がディープインパクトの本馬は初戦の馬体重が414キログラム、2戦目の前走が422キログラムと小柄で、これは偉大な母の父の影響が強いことを示していると言えるだろう。見た目のイメージ以上に能力の高い馬と考えてよさそうだ。
牡2歳
調教師:嘉藤貴行(美浦)
ダートの短距離戦でもハナを切ることができるレベルのスピードタイプ。今回は初の関西遠征で、テンションが上がり過ぎないことがポイントになってくるはずだ。1600メートルの距離は、前々走(新潟2歳S4着)で克服済みと判断したい。
デビュー2戦目での重賞挑戦となった新潟2歳Sは逃げ粘って4着に健闘。ダートデビューの経歴もあってか11頭立ての10番人気と評価は低かったが、重賞クラスでも能力が通用することを証明している。約2か月半の休養期間を経て出走した前走の1勝クラス(東京・芝1400メートル)では、過去2戦のようにハナを切ることはせず、折り合い重視で脚をためる形に。直線で抜け出すと、1番人気に支持されていたティニア(2着)の追撃を退けて貴重な2勝目を手にした。このレースの収穫は、差す競馬でも結果を出せたことだろう。前走のような競馬ができれば、GⅠの強敵相手でも互角に戦えそうだ。
牡2歳
調教師:中内田充正(栗東)
調教の段階から、前向き過ぎる気性を考慮している点がうかがえる馬。1600メートルへの距離延長でもコントロールが利くかどうかがポイントになるだろう。レース間隔の詰まった出走への対処にも注視したい。
デビュー戦から2か月半のリフレッシュ期間を設けて出走した前走の1勝クラス・秋明菊賞(阪神・芝1400メートル)を制し、2戦2勝でオープンクラス入りを果たした。出遅れて馬群から取り残されながら、直線だけで勝負を決めたレース内容も上々。今回のメンバーに入っても決め手で見劣りすることはないだろう。母系は名馬ヴァーミリアンを産んだスカーレットレディが祖母にいるスカーレツトインク系。サンデーサイレンスの4×3というインブリードを持つ血統構成も素晴らしく、大舞台に強い底力を内包していると思わせる。今回はもちろん、先々の可能性も感じる馬と言えそうだ。
牡2歳
調教師:尾関知人(美浦)
2連勝は能力の高さがあればこそだが、自身でペースを作って押し切った前走の1勝クラス・アスター賞(中山・芝1600メートル)の勝ち時計は、同日に行われた未勝利戦の7着馬と同じ。速い時計での決着に対応できるかどうかが大きなポイントとなりそうだ。
2か月半のリフレッシュ期間を設けて出走した前々走の未勝利(札幌・芝1500メートル)で初勝利をマーク。スタートで出遅れたこともあり、このレースでは好位追走から抜け出す形だったが、瞬発力勝負よりも持久戦のほうに適性があるようなタイプだろう。ハナを主張して押し切った前走の1勝クラス・アスター賞のようなレース運びのほうが、自身の特徴を生かせるのかもしれない。多くの活躍馬を出して枝葉を広げたフェアリードールを祖に持ち、祖母は2001年のエリザベス女王杯を勝ったトゥザヴィクトリー。大舞台であっと言わせても不思議のないバックボーンの持ち主だ。
牡2歳
調教師:池江泰寿(栗東)
2戦連続で1400メートルに出走しているが、陣営はマイルも克服可能との見立て。しっかりと脚をためることに注力した過去2戦の内容も、今回のレースを意識したものに見えた。むしろ、今回の舞台こそが適性である可能性もある。
圧倒的な支持を受けて登場した前々走のメイクデビュー中京(芝1400メートル)では鮮やかな差し切り勝ち。評判通りの強さを見せると、約2か月半の休養期間を設け、2戦目は東京への遠征を敢行した。デビュー戦と同じく1番人気で出走した前走の1勝クラス(東京・芝1400メートル)では、勝ったバグラダスに1/2馬身及ばずの2着に敗れたが、自身がマークした上がり3ハロン33秒5(推定)のタイムは出走馬中最速。悲観する必要のない敗戦と言えるだろう。父は種牡馬としても大成功しているフランケル。2020年グレナディアガーズに続く産駒の本レース勝利に期待したい。
(松浪 大樹)
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