2021年のジャパンカップを制したコントレイルは、前年にJRA史上8頭目となるクラシック三冠を達成していた。また、2020年のジャパンカップを勝ったアーモンドアイは、同年の天皇賞(秋)など、前走までに国内外のGⅠで計8勝をマークしていた。ジャパンカップで優勝した日本調教馬延べ27頭中、前年以降にGⅠを勝っていなかった馬は5頭だけ。そのうち前年以降のGⅠで2着の経験もなかったのは、1994年のマーベラスクラウンと2008年のスクリーンヒーローの2頭だけである。国内外のトップホースがしのぎを削る注目の一戦を展望すべく、今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬延べ30頭は、いずれも日本馬だった。海外調教馬で3着以内に入ったのは、2006年3着のウィジャボードが最後である。今年もまずは日本馬に注目したい。〔表1〕
所属 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
日本 | 10-10-10-108 | 7.2% | 14.5% | 21.7% |
海外 | 0-0-0-28 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中29頭は、5歳以下だった。一方、6歳以上の馬は3着内率2.1%と苦戦している。6歳以上の馬は割り引きが必要だ。〔表2〕
年齢 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
5歳以下 | 10-10-9-89 | 8.5% | 16.9% | 24.6% |
6歳以上 | 0-0-1-47 | 0% | 0% | 2.1% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中28頭は、“東京・京都競馬場で出走頭数が17頭以上だったGⅠ”において3着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率2.6%と苦戦している。まだGⅠで上位に入ったことがない馬はもちろん、東京・京都以外のGⅠでしか好走したことがない馬も、過信禁物とみるべきだろう。〔表3〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-8-10-60 | 11.4% | 20.5% | 31.8% |
なし | 0-2-0-76 | 0% | 2.6% | 2.6% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中29頭は、“同年4月以降に行われたJRAのGⅠ・GⅡ”において4着以内に入った経験がある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率1.5%と苦戦している。4月以降のGⅠ・GⅡで上位に入っていない馬は強調できない。〔表4〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-10-9-69 | 10.2% | 20.4% | 29.6% |
なし | 0-0-1-67 | 0% | 0% | 1.5% |
なお、過去5年の3着以内馬延べ15頭中14頭は、“同年4月以降に行われた出走頭数が12頭以上のJRAのGⅠ・GⅡ”において3着以内に入った経験がある馬だった。近年の傾向を重くみるならば、ここ半年あまりの成績をより重視した方がよさそうだ。〔表5〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 5-5-4-20 | 14.7% | 29.4% | 41.2% |
なし | 0-0-1-44 | 0% | 0% | 2.2% |
過去5年の3着以内馬延べ15頭中14頭は、馬番が1番から8番だった。一方、9番から18番だった馬は3着内率2.6%と苦戦している。2016年以前は外寄りの枠に入った馬も好走していたが、近年の傾向を重くみるならば、内寄りの枠に入った馬を重視すべきだろう。〔表6〕
馬番 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜8番 | 5-5-4-26 | 12.5% | 25.0% | 35.0% |
9〜18番 | 0-0-1-38 | 0% | 0% | 2.6% |
過去6年の優勝馬延べ6頭は、いずれも年齢が5歳以下、かつ“東京・京都競馬場で行われた出走頭数が17頭以上のGⅠ”における最高着順が2着以内、“同年4月以降に行われた出走頭数が12頭以上のJRAのGⅠ・GⅡ”における最高着順が3着以内、馬番が1番から5番だった。〔表1〕から〔表6〕で挙げた不安要素に引っかかっていない馬を選びたい。〔表7〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 年齢 | “東京・京都競馬場で行われた出走頭数が17頭以上のGⅠ”における最高着順 | “同年4月以降に行われた出走頭数が12頭以上のJRAのGⅠ・GⅡ”における最高着順 | 馬番 |
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2016年 | キタサンブラック | 4歳 | 1着(天皇賞(春)ほか) | 1着(天皇賞(春)) | 1番 |
2017年 | シュヴァルグラン | 5歳 | 2着(天皇賞(春)) | 2着(天皇賞(春)) | 1番 |
2018年 | アーモンドアイ | 3歳 | 1着(秋華賞ほか) | 1着(秋華賞ほか) | 1番 |
2019年 | スワーヴリチャード | 5歳 | 2着(日本ダービー) | 3着(宝塚記念) | 5番 |
2020年 | アーモンドアイ | 5歳 | 1着(ヴィクトリアマイルほか) | 1着(天皇賞(秋)ほか) | 2番 |
2021年 | コントレイル | 4歳 | 1着(菊花賞ほか) | 2着(天皇賞(秋)) | 2番 |
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