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牡3歳
調教師:F. シャペ(フランス)
快勝したパリ大賞(G1・フランス・芝2400メートル)は、2着シムカミルがその後ニエル賞(G2・フランス)に勝ち、3着エルボデゴン(仏ダービー2着)はコックスプレート(G1・オーストラリア)で3着、さらに4着エルダーエルダロフが英セントレジャー(G1)に優勝と好メンバーだった。追い込みタイプだけに長い直線も合いそうだ。
昨年9月に芝1600メートル戦でデビュー勝ち。今年5月のグレフュール賞(G2・フランス・芝2100メートル)では最後方から出色の末脚を披露して重賞初制覇を果たした。その後、仏ダービー(G1・芝2100メートル)は後方からの追い上げ及ばず5着に敗れたが、続くパリ大賞(G1・フランス)では再び最後方から鋭く伸びて、最後は逃げ粘るシムカミルにクビ差をつけて優勝。G1初制覇を果たした。秋は9月の愛チャンピオンS(G1・芝2000メートル)で2着に入り、仏ダービーで後塵を拝したヴァデニ(3着)に先着。しかし続く前走10月の凱旋門賞(G1・フランス・芝2400メートル)では、雨で悪化した馬場の影響もあったか、後方から伸び切れず10着に終わった。
牝6歳
調教師:G. ビエトリーニ(フランス)
昨年のジャパンカップでは中団から末脚を伸ばして5着を確保。今年のプリンスオブウェールズS(G1・イギリス・芝1990メートル)でも日本ダービー馬シャフリヤール(4着)に先着する3着に入った。パワフルで持続力のある末脚が武器で、東京の長い直線は歓迎だ。
5歳(2021年)8月のジャンロマネ賞(G1・フランス・芝2000メートル)で前年のブリーダーズカップフィリー&メアターフ(G1・アメリカ)の勝ち馬アウダーリャを短アタマ差かわしてG1初制覇。オペラ賞(G1・フランス・芝2000メートル)でのハナ差2着を経てジャパンカップにも出走し、コントレイルから0秒8差の5着に入った。その後、12月のセールにおいて250万ユーロ(約3億1500万円)で現オーナーに買われて今年も現役を続行。春はザルカヴァ賞(リステッド・フランス・芝2100メートル)とアレフランス賞(G3・フランス・芝2000メートル)を連勝し、プリンスオブウェールズS(G1・イギリス)でも3着に好走した。その後9月のヴェルメイユ賞(G1・フランス・芝2400メートル)は末脚不発で7着に終わったが、前走の凱旋門賞(G1・フランス・芝2400メートル)では後方から差し脚を伸ばして5着に健闘した。
牡3歳
調教師:S. ワッテル(フランス)
先行力の高さに加えて、持続力も魅力。快勝したリス賞(G3・フランス・芝2400メートル)では後続を寄せ付けず、パリ大賞(G1・フランス・芝2400メートル、2着)ではオネストにかわされてからも良く粘り、最後は差を広げさせなかった。秋はまだ1戦のみで、フレッシュな状態で臨めそうなこともプラスだろう。
今年4月の初勝利まで5戦を要したが、そこから3馬身半差で逃げ切った6月のリス賞(G3・フランス)まで3連勝。続くパリ大賞(G1・フランス)では逃げ粘ってオネストのクビ差2着に入り、仏ダービー2着から臨んでいたエルボデゴン(3着)には2馬身半先着した。その後、秋は9月のニエル賞(G2・フランス・芝2400メートル)で始動。これを3番手追走から直線で抜け出して優勝(日本ダービー馬ドウデュースは4着)したが、パリ大賞から馬体重を減らしての出走だったこと、そして高額の追加登録料が必要だったこともあり、凱旋門賞(G1・フランス)を回避。早くからここに照準を合わせている。
牡3歳
調教師:P. シールゲン(ドイツ)
昨年の凱旋門賞(G1・フランス)を制したトルカータータッソ(父Adlerflug)の半弟。本馬のG1を含む今年3勝はいずれも圧勝で、まだ底を見せていない。ただし、この3勝はいずれも重馬場もしくは不良馬場でのもの。良馬場への対応が鍵になりそうだ。
昨年9月のデビュー戦は2着に敗れたが、10月の2歳未勝利(ドイツ・芝1850メートル)を逃げ切ると、続く11月のラティボール公爵賞(G3・ドイツ・芝1700メートル)も連勝。2歳シーズンを3戦2勝で終えた。今年は始動戦となった8月の3歳条件戦(ドイツ・芝2400メートル)を先行して6馬身差で制すと、9月の独セントレジャー(G3・芝2800メートル)は序盤こそ2番手で折り合いを欠いたものの、途中で逃げに切り替えると、落ち着きを取り戻して8馬身差で快勝した。さらに続く前走11月のバイエルン大賞(G1・ドイツ・芝2400メートル)も引きつけての逃げから、直線で差を広げて10馬身差で圧勝し、5連勝でのG1初制覇となった。
牡4歳
調教師:藤原英昭(栗東)
昨年は日本ダービーを勝ち、ジャパンカップが3着。今年はドバイシーマクラシック(G1・UAE・芝2410メートル)を制覇し、あらためて距離適性の高さを示した。前走の天皇賞(秋)は5着だったが、得意舞台に替わって躍進の可能性大。日本の総大将として海外勢を迎え撃つ。
昨年のジャパンカップは1コーナーで大きくバランスを崩す場面。並の馬ならその時点で戦意を喪失してもおかしくないほどの不利だったが、最後までしっかりと脚を使って3着に入り、ダービー馬の意地を示す走りを見せた。今年初戦のドバイシーマクラシック(G1・UAE)は早めに抜け出しての優勝。続くプリンスオブウェールズS(G1・イギリス・芝1990メートル)は5頭立ての4着、前走の天皇賞(秋)は伸びを欠いての5着と、ここ2戦に物足りなさを覚えるが、日本ダービーを勝った東京2400メートルなら実力発揮となりそうだ。何より1年前とは地力も経験も違うはず。雪辱を期す一戦となる。
牡3歳
調教師:堀宣行(美浦)
春の皐月賞と日本ダービーはともに4着だったが、GⅠを勝つだけの能力があることは前走・天皇賞(秋)の0秒2差3着で十二分に示された。秋2戦目に加えてまだ5戦のキャリア。未完の大器がここで花開くか、注目だ。
前走の天皇賞(秋)は日本ダービー以来の実戦。3歳馬としては異例のローテーションだったが、同様の臨戦で挑んだ同世代のイクイノックスが優勝して本馬が3着。3歳世代のレベルの高さを物語る結果となった。レース後は激闘の疲れがあったようで、陣営はジャパンカップの出走には慎重だったが、1週前追い切りでは3頭併せでこの馬らしい迫力ある動きを披露。追い切り後の歩様に問題もなく、出走にゴーサインが出た格好だ。3着に敗れたとはいえ、天皇賞(秋)ではラストに強烈な伸び。あの内容なら距離が延びてさらに良さが出そうで、先着2頭が不在なら当然チャンス。ここで初のGⅠタイトル奪取といきたい。
牝5歳
調教師:杉山晴紀(栗東)
無敗での牝馬三冠を達成したのちに挑んだ一昨年のジャパンカップでは、アーモンドアイ、コントレイルに次ぐ3着に入った。長期休養後は勝利に手が届いていないが、今年の宝塚記念は3着と復調を思わせた。秋3戦目で変わり身があっていい。
今年のヴィクトリアマイルで1年以上の長期休養から復帰して6着。続く宝塚記念は3着に入り、完全復活近しを思わせたが、秋初戦のオールカマーは直線で伸びを欠いての6着、前走のエリザベス女王杯も勝ち馬から1秒0差の6着だった。決して大きく負けているわけではないが、期待が大きい分だけ、「もっとやれるのでは」と思ってしまうのも確か。今回はそのエリザベス女王杯から中1週のローテーション。デビュー以来、これだけの短い間隔で使われるのは初めてのことで、それだけに気持ちの面でも肉体の面でも大きく良化してくる可能性がある。レース当日の様子に注目したい。
牝4歳
調教師:手塚貴久(美浦)
昨年のオークス馬。昨年のジャパンカップはスムーズさを欠きながら目立つ伸びを見せての6着だった。健闘止まりの近走だが、ドバイシーマクラシック(G1・UAE・芝2410メートル)ではシャフリヤールと約1馬身半差の5着。距離延長は好材料となりそうだ。
昨年のジャパンカップは3、4コーナーで外の馬のプレッシャーを受けて馬群の中に押し込められる形。直線も同様に行き場がなく、進路を求めてやむを得ず内へ。末脚不発もあり得る状況だったが、そこからグイグイと伸びて6着に入る力走を見せた。今年のドバイシーマクラシック(G1・UAE)は外に出しての直線勝負。鋭さで見劣りしたもののしぶとく脚を使っての5着に入り、息の長い末脚が世界でも通用することを示すとともに、父譲りのステイヤー気質を感じさせた。従って近2戦の札幌記念11着、天皇賞(秋)8着は距離不足の印象。実績ある舞台で躍進がありそうだ。
牡5歳
調教師:渡辺薫彦(栗東)
大外一気で差し切った前走の京都大賞典が鮮やか。芝で1着、3着、3着、1着、1着と適性を見いだしたうえ、本格化も遂げた印象だ。その前走の推定上がり3ハロンタイムが33秒2。一気の相手強化でも、鋭さ勝負なら互角以上に戦えるはずだ。
前走の京都大賞典が圧巻と言える勝ちっぷりだった。出遅れて後方からの競馬となったが、4コーナーで外へ出すとそこから1頭だけ違う脚色で突き抜け、2着ボッケリーニに2馬身1/2差をつけた。上がり勝負でこの着差は圧勝と表現できるもの。地力強化は間違いないところだ。前々走で勝利した3勝クラス・ジューンSが当舞台。既に適性を示しているうえに、当時の2着馬が今秋のアルゼンチン共和国杯を勝ったブレークアップと、レースレベルも高かった。17日の1週前追い切りでは、ハロー明け直後とはいえ栗東CWコースで6ハロン79秒9、ラスト1ハロン11秒4の好時計をマーク。状態面も強調できる。
牡6歳
調教師:池江泰寿(栗東)
今年の目黒記念で重賞2勝目を挙げたが、その前の日経賞ではタイトルホルダーとクビ差の2着。今回がGⅠ初挑戦だが、強豪と互角に戦った経験は強調材料と言える。前走も一度は先頭に立って中身の濃い2着。ここでも侮れない。
2015年天皇賞(秋)の勝ち馬ラブリーデイの全弟。その兄同様に本馬も使いつつ力をつけてきた。以前はマイルから2000メートル前後で好成績を収めていたが、今年はアメリカジョッキークラブCでの3着好走をきっかけに長距離へシフト。続く日経賞で2着に入ると同じ距離の目黒記念を勝利した。秋初戦の京都大賞典でも2着に入っており、今はこれぐらいの距離が合っている様子。目下充実期にあることはもちろんだが、中距離で培った反応の良さが長丁場で生かされている印象だ。デビュー以来7着以下のない堅実派で、相手なりのタイプ。強豪ぞろいのGⅠでも臆することなく力を発揮できるだろう。
牡4歳
調教師:岡田稲男(栗東)
ダイヤモンドSまで4連勝して臨んだ天皇賞(春)は離された3着だったが、2周目3コーナーから追い上げた脚は今後の飛躍を思わせるのに十分だった。前々走は休み明け、前走は直線で進路が狭くなるシーン。本領発揮なら台頭の余地は十分にあると言えそうだ。
収得賞金加算とさらなる飛躍を期して臨んだ前走のアルゼンチン共和国杯は不完全燃焼のレース。逃げていた馬が直線入り口で内ラチに接触し、その影響で本馬の前を走っていた馬たちが壁になって追い出しが遅れたうえ、結果的に内側へ進まざるを得なかった。加速に時間を要すタイプだけに、余計に厳しかったようだ。当然あれが実力ではなく、実際ダイヤモンドS優勝と天皇賞(春)で3着の実績。特に天皇賞(春)は早めに勝ち馬を捕らえようという積極的な競馬を見せての好走で、見どころは十分だった。何しろ持久力に自信あり。タフなレース展開になれば台頭の可能性が高まる。
(文:外国馬=秋山 響(TPC)、日本馬=山下 健)
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