牝4歳
調教師:須貝尚介(栗東)
レース間隔を空けて出走してくることの多い馬だが、休み明けでも力を発揮できるというだけであり、前哨戦を使って挑む今回は、結果を出した過去のレースと比較しても雰囲気の良さが目立つ。当日のパドックが非常に楽しみだ。
前走の府中牝馬Sはアタマ差の2着。1番人気に応えることはできなかったが、勝ち馬と2キログラムの斤量差があったことに加え、1800メートル戦。ソダシ自身の距離適性は以前より鮮明になっていると言える。今回は阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、ヴィクトリアマイルと3つのGⅠ勝ちがある1600メートルへの距離短縮。阪神外回りコースは2つのGⅠ制覇を果たした得意コースでもある。強いソダシの姿を期待していいはずだ。牡馬を相手にした芝のマイルGⅠはこれまで出走がないだけで、勝ち時計からも壁になるとは思えない。
牡5歳
調教師:堀宣行(美浦)
阪神競馬場での戦績は〔1・0・0・3〕。実力からすれば物足りない成績だが、唯一の勝利がGⅠであるのなら、苦手コースと判断するのは早計だろう。パワーはあるが、走りのバランスなどを思えば、切れ味を生かせる良馬場で競馬がしたいところだ。
好調時とそうでない時とのパフォーマンスの差が大きいタイプだが、トモの状態に不安がなく、パドックでも目立つ気配である時は、現役でも屈指の強さを誇る競走馬と言えるだろう。前々走の安田記念では、高松宮記念(15着)から22キログラム減と馬体を大幅に絞り、小差の3着に好走。久々に実力を誇示したように思えたが、このレースさえも復調途上であったことは、素晴らしい調整過程を背景に登場し、コースレコードで快勝した前走の毎日王冠の走りが物語っている。今回も前走の状態をキープできているかどうかが最大のポイントになりそうだ。
牡3歳
調教師:安田隆行(栗東)
マイルを使った近3戦連続して1分32秒台タイムで走破。阪神競馬場で行われた近2年の本レースが1分32秒台の決着になっていることから、この時計的な裏付けは評価の対象となるはずだ。3歳馬の躍進も多いレースだけに目が離せない。
今年のNHKマイルCを制し、3歳マイル王の座に就いたロードカナロア産駒。キャリア7戦のうち唯一3着以内を外したのは、距離が1800メートルで、仕上がりもひと息だった共同通信杯(7着)のみと安定した走りを見せてきた。マイルの距離では5戦3勝、3着2回、デビュー戦以外の4戦全てが重賞であったことを考えれば、マイラーとしての資質の高さは今回のメンバーでも上位と判断することができるだろう。前走の富士Sは3着だったが、GⅠ馬であるがゆえの斤量を背負った一戦。むしろ、僅差の3着という結果に今回への手応えを感じているはずだ。
牡3歳
調教師:中内田充正(栗東)
素晴らしい決め手を見せた前走の富士S(1着)だが、同世代のライバル・ダノンスコーピオン(3着)とは2キログラムの斤量差があった。定量戦でも同じような走りができるかが最大のポイントだろう。結果を残している阪神へのコース替わりは歓迎材料だ。
GⅠタイトルは獲得していないが、新潟2歳S、デイリー杯2歳S、富士Sと3つの重賞を勝ち、昨年の朝日杯フューチュリティSでは勝ち馬ドウデュースに0秒1差の2着。前々走の安田記念は4着だったが勝ち馬から0秒1差と、大舞台で頂点に立っても不思議のない戦績を残している。前走の富士Sでは、出走馬中最速の上がり3ハロン33秒2(推定)をマークし、ソウルラッシュ(2着)、ダノンスコーピオン(3着)を差し切った。そのパフォーマンスを踏まえれば、さらに相手が強化されても互角以上の評価ができそうだ。
牡4歳
調教師:手塚貴久(美浦)
1800メートルから距離を短縮する形で挑んだ昨年と違い、今年は1200メートルのレースをステップにした臨戦過程。こちらのほうがポジションを取りやすいのかもしれない。締まった馬体での登場が望ましく、当日のパドックにも注目したい。
安定した戦績だった昨年と違い、今年は3戦してドバイターフ(G1・UAE・芝1800メートル、8着)と前走のスプリンターズS(9着)の2戦で掲示板(5着以内)を確保できない敗戦を喫した。しかしながら、前者は初めての海外遠征であり、後者はレース選択の幅を広げる意味もあった初のスプリント戦。最も適した舞台である前々走の安田記念では、勝ったソングラインにクビ差の2着と能力の高さを示している。昨年の本レースでは勝ち馬グランアレグリアと0秒1差の2着に入っただけに、ここは見直すべき1戦だろう。
牡5歳
調教師:鹿戸雄一(美浦)
ほとんどのレースを4コーナー3番手以内で回ってきた先行力が最大の武器。それは直線の長いコースでもマイナスになることはなく、阪神・芝外回りコースでも勝利を挙げている。今回は同型馬との兼ね合いがポイントになりそうだ。
長期休養明け2戦目の谷川岳S(リステッド・新潟・芝1600メートル)での勝利を皮切りに、破竹の3連勝をマーク。前走の関屋記念では初の重賞制覇も果たし、5歳を迎えて成長のピークを迎えている印象があるスクリーンヒーロー産駒。蹄葉炎による約1年の休養で、競走馬としてステップアップしたい4歳時にキャリアを積めなかったが、そこでジッと我慢して復帰に備えた陣営の熱意が実を結んだ格好だ。父のスクリーンヒーローも11か月の長い休養がありながら、ジャパンカップ制覇に至った。本馬にも父のようなサクセスストーリーを期待したい。
牡4歳
調教師:池江泰寿(栗東)
休み明けでも結果を出しているが、前走を1度使って状態は確実に良化。陣営のプラン通りの調整で、重賞制覇を果たした得意の舞台を迎える魅力は大きい。パワーがある全天候型で、水分を含んだ馬場状態を苦にしない強みもある。
昨年12月の1勝クラス(中京・芝1600メートル)から4連勝。オープンクラス昇級初戦ではマイラーズCを制し、一気に重賞ウイナーの仲間入りを果たしたルーラーシップ産駒だ。前々走の安田記念(13着)は直線でなかなか進路が確保できないシーンもあったが、勝ったソングラインから0秒6差なら、着順のイメージほど負けてはいない。巻き返しを期した前走の富士Sは、勝ったセリフォスの決め手には屈したものの、GⅠ馬ダノンスコーピオン(3着)に先着。能力を再確認して挑む2度目のGⅠ挑戦だけに、期待は大きい。
牡4歳
調教師:安田翔伍(栗東)
デビュー戦は不良馬場での勝利。重馬場のエプソムC(4着)でも最後は追い込んできた。道悪で力を出せないタイプではなく、適度に上がりがかかる展開のほうが前を捕まえやすいのかもしれない。道中のペースが大きな鍵になるだろう。
これまでに獲得した重賞タイトルはなく、GⅠの舞台に立つのも今回が初めて。実績的には格下の存在だが、ハイレベルなメンバー構成だった前走の毎日王冠では、サリオス(1着)と並ぶ出走馬中最速タイの上がり3ハロン33秒8(推定)の末脚を発揮して2着に好走。重賞ホースと遜色のない能力の持ち主であることを証明してみせた。この毎日王冠を含め、近4戦全てで出走馬中最速の推定上がり3ハロンタイムをマークした瞬発力こそが最大の武器。今回も直線一気で頂点獲りを目指す。重賞初制覇がGⅠとなる可能性も十分にあるだろう。
(松浪 大樹)
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