東京・芝2500メートルで行われるアルゼンチン共和国杯は、ジャパンカップや有馬記念の前哨戦に位置付けられているが、GⅠを目指して出走してくる馬だけでなく、軽ハンデを生かしての金星を狙う格上挑戦馬まで、幅広いタイプの馬がそろうレースだ。今回は過去10年の結果を中心に傾向を調べてみた。
90年代は2桁人気馬の勝利が目立つ波乱の多い重賞として知られていたが、ここ10年は3番人気以内の馬が9勝を挙げるなど、上位人気馬優勢の傾向が出ている。ただし、3番人気以内の馬によるワンツー決着は2回しかない。3番人気以内の馬を軸にして、4番人気以下の馬に流す作戦が有効そうだ。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜3番人気 | 9-2-7-12 | 30.0% | 36.7% | 60.0% |
4〜6番人気 | 0-7-1-22 | 0% | 23.3% | 26.7% |
7〜9番人気 | 1-1-1-27 | 3.3% | 6.7% | 10.0% |
10番人気以下 | 0-0-1-67 | 0% | 0% | 1.5% |
過去10年の年齢別成績では、3歳馬は出走例が4頭と少ないが全て馬券に絡んでいる。3歳馬が出走してきたら要チェックだ。最も勝利数が多いのは4歳馬で、3着内率も35.1%と高い。好走率は年齢が若いほど高い傾向があり、6歳馬になると3着内率は10%を切り、7歳以上の馬は延べ33頭が出走して3着以内が1回もなかった。〔表2〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3歳 | 2-0-2-0 | 50.0% | 50.0% | 100% |
4歳 | 5-4-4-24 | 13.5% | 24.3% | 35.1% |
5歳 | 1-5-4-40 | 2.0% | 12.0% | 20.0% |
6歳 | 2-1-0-31 | 5.9% | 8.8% | 8.8% |
7歳以上 | 0-0-0-33 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の最軽量ハンデは48キログラム、最重量ハンデは59キログラムと、幅広いハンデ設定になることが多い。その中で、ハンデ54キログラム以下の馬は3着内率8.5%と苦戦、そして58キログラム以上の馬も同8.3%と苦戦している。好走率が最も高いのは57.5キログラムで、それに次ぐのが56キログラムとなっている。〔表3〕
負担重量 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
54kg以下 | 1-1-3-54 | 1.7% | 3.4% | 8.5% |
55kg | 0-4-6-26 | 0% | 11.1% | 27.8% |
56kg | 6-3-0-20 | 20.7% | 31.0% | 31.0% |
56.5kg | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
57kg | 1-1-0-15 | 5.9% | 11.8% | 11.8% |
57.5kg | 1-1-1-1 | 25.0% | 50.0% | 75.0% |
58kg以上 | 1-0-0-11 | 8.3% | 8.3% | 8.3% |
過去10年では、前走でGⅠを使われていた馬が勝率26.7%、連対率33.3%、3着内率40.0%と好成績。特にここ6年は、2016年シュヴァルグラン、2017年スワーヴリチャード、2018年パフォーマプロミス、2021年オーソリティと4頭が優勝している。また、前走が2勝クラスや3勝クラスだった、格上挑戦や昇級初戦となる馬の好走が散見するのも特徴だ。〔表4〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 4-1-1-9 | 26.7% | 33.3% | 40.0% |
GⅡ | 4-4-2-52 | 6.5% | 12.9% | 16.1% |
GⅢ | 0-0-1-14 | 0% | 0% | 6.7% |
オープン特別 | 1-2-1-37 | 2.4% | 7.3% | 9.8% |
3勝クラス | 1-3-4-15 | 4.3% | 17.4% | 34.8% |
2勝クラス | 0-0-1-1 | 0% | 0% | 50.0% |
2014年以降の優勝馬延べ8頭のうち7頭は、過去1年以内に2400メートル以上の重賞で連対した実績があった。唯一の例外であるゴールドアクターは、前年の菊花賞で3着と、長距離GⅠでの実績を有していた。また、ムイトオブリガードを除く7頭の優勝馬の父は、現役時代に2400メートル以上のGⅠを制した経験のある種牡馬だった。〔表5〕
(姫園 淀仁)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 過去1年以内の2400m以上の重賞連対実績 | 父 |
---|---|---|---|
2014年 | フェイムゲーム | 2014年ダイヤモンドS1着 | ハーツクライ |
2015年 | ゴールドアクター | なし | スクリーンヒーロー |
2016年 | シュヴァルグラン | 2016年阪神大賞典1着など | ハーツクライ |
2017年 | スワーヴリチャード | 2017年日本ダービー2着 | ハーツクライ |
2018年 | パフォーマプロミス | 2018年日経新春杯1着 | ステイゴールド |
2019年 | ムイトオブリガード | 2018年アルゼンチン共和国杯2着 | ルーラーシップ |
2020年 | オーソリティ | 2020年青葉賞1着 | オルフェーヴル |
2021年 | オーソリティ | 2020年アルゼンチン共和国杯1着など | オルフェーヴル |
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