牝2歳
調教師:池添学(栗東)
440キログラム台の牝馬だが、調教でしっかりと動くタイプで、見た目に非力な印象もない。急坂のある阪神へのコース替わりも問題ないだろう。むしろ、阪神コースを得意とする血統背景。プラス材料と考えていいのかもしれない。
GⅠ2勝馬ローズキングダム、今年の秋華賞を勝ったスタニングローズなど、多くの活躍馬を輩出している“バラ一族”の出身だ。名スプリンターだったキンシャサノキセキを父に持つ本馬の武器はスピードで、約2か月の休み明けをものともせず、直線で鋭く抜け出した前走のオープン特別・ききょうS(中京・芝1400メートル)は、1分20秒4の2歳コースレコード。デビュー戦や調教などで見せていたキックバックを嫌がる仕草もなく、スムーズに直線を向いたパフォーマンスは精神面の成長を感じさせた。重賞の舞台に上がっても臆することはないはずだ。
牝2歳
調教師:清水久詞(栗東)
目一杯に追わなくても、調教でそれなりの時計が出てしまう脚力の持ち主。この中間の調教も見た目はハードに感じないが、相応の負荷はかかっている。馬なりがメインの調整でも、仕上がりは万全と考えたい。
重賞3勝馬のシャケトラが近親にいるダイワメジャー産駒で、父のイメージに沿うスピードタイプ。逃げ切り勝ちを決めたメイクデビュー小倉(芝1200メートル)は、そのスピード能力の高さが目立つレース内容だったが、連闘で挑んだ前走の小倉2歳Sでは、先行勢を追いかけず、6番手の外という位置からの競馬をして2着を確保した。スピード一辺倒ではなく、脚をためる競馬で結果を残したことは、距離が1400メートルへ延長され、直線に坂のあるコースへと替わる今回の1戦につながってくるはず。重賞初制覇の好機と言えそうだ。
牝2歳
調教師:池添学(栗東)
前走の馬体重が478キログラム。牝馬でも馬格のある部類に入るが、その走りはピッチが利いて実に小気味がいい。コーナーワークを苦手にするタイプでなく、坂を苦にする非力さもない。阪神内回りのコース形態は合いそうだ。
調教の本数が控えめで、見た目にも仕上がり途上に思えたメイクデビュー函館(芝1200メートル、1着)から、中1週で挑んだ前走の函館2歳Sも制して、2歳世代最初の重賞ウイナーに。前走は見た目だけでなく、中身の上積みも大きかったようだ。1分11秒台の持ち時計は他馬と比べると見劣りするが、時計がかかる函館開催後半の稍重馬場でのもの。父は高松宮記念をレコード勝ちしたビッグアーサー、祖父は日本を代表する名スプリンターのサクラバクシンオーだけに、速い時計のスピード勝負は歓迎材料だろう。重賞連勝の可能性も十分にある。
牝2歳
調教師:岡田稲男(栗東)
非力な印象こそないものの、まだまだ馬体に緩さが残る現状で、そのシルエットもマイル以上の距離を必要としそうな印象。ある程度のスピードが必要な内回り芝1400メートルへの対応が鍵となりそうだ。
地方交流競走を含めたダート重賞で8勝を挙げ、引退後はアメリカで繁殖生活を送ったプリエミネンスを祖母に持つドレフォン産駒。ダート色の強い血統ゆえ、前々走のメイクデビュー札幌(芝1500メートル)では13頭立ての9番人気という低い評価だったのだろう。しかし、出走馬中最速の推定上がり3ハロンタイムをマークして勝利すると、関東圏への遠征競馬になった前走の1勝クラス・サフラン賞(中山・芝1600メートル)でも2着をキープ。芝のレースで結果を出し続け、重賞で注目の1頭となるまでに評価を上げた。今回のメンバー相手に好走できれば、将来が楽しみになる。
牝2歳
調教師:西村真幸(栗東)
母の父がディープインパクト。小柄な馬体の牝馬で、俊敏そうなイメージを持たれやすいが、仕掛けてからの反応が意外と渋く、追って長く脚を使うようなタイプ。速いペースで流れる展開のほうがチャンスも出てくるはずだ。
前走のオープン特別・ききょうS(中京・芝1400メートル)は、内枠からロスの少ないコース取りに加え、直線では2頭の間を割る勝負根性を見せるなど、及第点以上のパフォーマンスを発揮。それでもデビュー戦で先着を許したアロマデローサには、再び0秒2差をつけられての2着だった。相手なりに走れそうなタイプと言え、今回も大崩れすることはないだろう。3度目の対戦となるライバルをどのように逆転するかが、重賞制覇に向けてのポイントとなりそうだが、阪神へのコース替わりをプラスにできるようなら面白いはずだ。
牝2歳
調教師:西園正都(栗東)
小倉に遠征した2戦はどちらも馬体重430キログラム台。だが、そのサイズに反比例してフットワークは大きく、広いコースのほうに適性があるようにも思わせる。ゴチャつく展開は避けたいが、阪神へのコース替わりはプラスのはずだ。
今年の2歳が2世代目となるアメリカンペイトリオットの産駒で、好位から抜け出したメイクデビュー小倉(芝1200メートル)は10番人気での勝利。前走の小倉2歳Sは、スタートでダッシュがつかなかったことに加え、大外枠も影響して後方待機策になったが、直線では外から猛然と追い込み、勝ったロンドンプランから0秒2差の3着と好走した。この前走も13頭立ての11番人気という低評価だった。さすがに今回は伏兵扱いとはならないだろうが、周囲の評価以上に実戦で結果を残してきただけに、警戒が必要だろう。
牝2歳
調教師:堀内岳志(美浦)
デビューから一貫して滞在競馬を選択してきた馬。一番のポイントは初めての輸送競馬だろう。小柄な馬体の維持が重要になってくる。テンションのチェックも含め、当日のパドックに注目したい。もちろん、理想は良馬場だろう。
デビューから3戦目での勝ち上がりだったが、その勝利は未勝利戦ではなく、オープン特別・フェニックス賞(小倉・芝1200メートル)。すでに勝ち上がっていた馬もいるなか、1分07秒7の走破時計、メンバー中最速の上がり3ハロン33秒7(推定)をマークしたことで、前走の小倉2歳Sでは3番人気に支持された。そこではフェニックス賞のような末脚の伸びが見られず10着と結果を残せなかったが、夏競馬4戦目がこたえたか、少しテンションが上がっていたようにも見えた。今回はそれ以来の出走となる。リフレッシュして挑む1戦なら違うはずだ。
牝2歳
調教師:武英智(栗東)
広い外回りコースから、競馬がタイトで距離も短縮される内回り芝1400メートルへの変更。スピードの乗りが良さそうなフットワークではあるが、スプリント色の強いメンバーの中で自身の特徴を出せるかどうかが鍵になる。
トウシヨウボーイ、フジキセキ、アグネスデジタルというスピード豊富な馬の名が並ぶ母系に、父は大舞台での活躍が目立つハーツクライ。だが、血統構成で最も目を引くのは大種牡馬サンデーサイレンスの2×4というインブリードだろう。前走のメイクデビュー阪神(芝1600メートル、1着)では、サンデーサイレンス産駒の特長だったバネを感じさせる小気味のいいフットワークと、直線で他馬と接触するシーンがありながらも集中力を切らさない強い精神力を見せた。着差こそクビ差も、随所に素質を感じさせるレースだった。相手は強化されるが、新馬勝ち直後での一発回答となれば、暮れの大一番でも面白い存在となりそうだ。
(松浪 大樹)
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