牡3歳
調教師:昆貢(栗東)
前走の日本ダービーは17着に敗れたが、マイル以下の距離なら〔2・3・0・0〕と全て連対。NHKマイルCもクビ差の2着だった。ポテンシャルは他世代相手でも通用するだけのものがあり、得意な距離で巻き返す。
キャリア2戦目で格上挑戦した1勝クラス・万両賞(阪神・芝1400メートル)で初勝利。今年初戦のシンザン記念で重賞初制覇を飾った。続くニュージーランドT、NHKマイルCはともにタイム差なしの2着。前走の日本ダービーは後方のまま17着に敗れたが、管理する昆貢調教師は「大勢のお客さんの前でテンションが上がってしまいました。敏感なところがある馬なので、影響が大きかったですね」と回顧した。夏場は休養し、秋の始動戦に向けて入念に乗り込まれている。先週の富士SはNHKマイルC上位組が1着、3着に好走。本馬も初の他世代相手でも通用するはずだ。
牝5歳
調教師:辻野泰之(栗東)
2歳時以来の1400メートル戦だった2月の京都牝馬Sは、2番手から抜け出して快勝。さらに200メートル距離を短縮した高松宮記念でも2着に好走した。馬体もパワフルになり、短距離志向が強まった印象だ。
名門・角居勝彦厩舎の解散により、2021年3月から辻野泰之厩舎に所属するといきなり3連勝を飾り、関屋記念では重賞初制覇を達成。同年のサマーマイルシリーズチャンピオンにも輝いた。昨年秋の2戦はともに2桁着順に敗れ、今年に入って距離を短縮。京都牝馬S1着、高松宮記念2着と結果を出した。前走の安田記念10着後は休養を挟み、秋はセントウルSで始動するプランもあったが、放牧先で爪を痛めたため無理せずここまでスタンバイ。管理する辻野泰之調教師は「動き、体のバランスはいい感じになってきました。ここは走りやすい条件です」と、期待十分に送り出す。
牡7歳
調教師:安田隆行(栗東)
春のGⅠ2戦はともに2桁着順に敗れたが、前走のスプリンターズS(4着)で復調をアピール。京都開催だった2019年の本レース勝ち馬でもあり、芝1400メートルは〔6・1・1・0〕と安定感が光る。
2019年のスワンSでは、C.スミヨン騎手との初コンビで重賞初制覇。1200メートルから1600メートルの重賞で活躍し、本舞台の阪急杯でも2020年3着(2位入線降着)、2022年1着と、コース相性の良さが証明されている。今年は春2戦のGⅠで2桁着順に崩れたが、秋初戦のスプリンターズSは行きっぷり良く好位を追走して4着と復調をアピール。騎乗した岩田康誠騎手は「最後は内、外の差が出ましたけど、最後まで止まらずに頑張っています」と振り返った。休養を挟みながら使われており、7歳でも衰えは皆無だ。得意な条件で重賞4勝目を狙う。
牝3歳
調教師:藤原英昭(栗東)
本舞台のフィリーズレビューでは、1分19秒台の好時計をマークして重賞初制覇。前走の桜花賞も9着とはいえ、勝ち馬とのタイム差は0秒2だった。ポテンシャルは間違いなく世代上位。実績のある距離で反撃を期す。
初勝利まで6戦を要したが、勝った直後に挑んだフィリーズレビューでいきなり重賞制覇。断然人気だったナムラクレア(2着)との追い比べを制し、世代トップクラスの力を証明した。続く桜花賞は中団から追い上げて勝ち馬から0秒2差の9着。騎乗した岩田望来騎手は「位置取りはすごく良かったですし、ラストもいい脚を使ってくれました」と振り返った。今回は昨年11月の未勝利(阪神・芝1400メートル、2着)以来となる福永祐一騎手とのコンビ。同騎手が騎乗した13日の2週前追い切りでは、栗東CWコースで4ハロン48秒9、ラスト1ハロン11秒5の好時計で駆け抜けた。秋初戦から力を出せそうだ。
牡4歳
調教師:矢作芳人(栗東)
当日輸送で臨める関西圏の競馬場では抜群の安定感。阪神は〔2・4・1・2〕の成績で、3着以内を外した2戦はどちらもGⅠだった。昨年の本レースは逃げて3着。ホームコースなら今年も好勝負可能だろう。
3歳春の2021年アーリントンCで重賞初制覇。同年秋のスワンSでは積極的に先手を奪って3着に粘った。続くマイルチャンピオンシップも逃げ粘って5着。阪神C(2着)では、好位に控える形でもしぶとく伸びて自在性をアピールした。今年初戦の東京新聞杯はいつもの粘りがなく12着に敗れたが、マイラーズCで2着に反撃。安田記念で12着に敗れた後は放牧を挟み、昨年と同じくスワンSを秋の始動戦に選んだ。中10週以上の間隔で出走したレースは〔2・1・1・0〕の好成績。休み明けを苦にするタイプではなく、ここでも力は出せそうだ。
牝5歳
調教師:木村哲也(美浦)
昨年から距離を短縮して素質が花開いた。特に1400メートル戦は〔1・3・0・0〕の成績。本距離の重賞でも京都牝馬S2着、京王杯スプリングC2着と好走しており、ここで念願のタイトル獲得を狙う。
デビューから2000メートルの距離を使われ、2020年京成杯2着など非凡な能力を示していた。昨年秋の3勝クラス・白秋S(東京・芝1400メートル)で待望の2勝目を挙げ、オープンクラス入り。今年初戦だった本舞台の京都牝馬S(2着)は好位から鋭く伸び、勝ち馬ロータスランドに1/2馬身差まで迫った。続く京王杯スプリングCも2着に好走。前走の関屋記念は4着に敗れたが、距離を戻して反撃に期待したい。母アドマイヤセプターも全5勝中4勝をマイル以下の距離でマーク。母は2012年のスワンSで3着に惜敗しており、孝行娘がそのリベンジに挑む。
せん6歳
調教師:松永幹夫(栗東)
2021年以降は全て芝1400メートル戦に出走、10戦中9戦でメンバー中最速の推定上がり3ハロンタイムをマークしている。前走も最後方から差し切り、オープンクラス初勝利。重賞初挑戦でも自慢の末脚は侮れない。
2020年に去勢して以降は安定して末脚を発揮できるようになった。2021年からは1400メートル戦で脚をためる競馬を徹底。今年3月の3勝クラス・斑鳩S(阪神)を勝ってオープンクラス入りを決めた。昇級初戦の安土城S(リステッド・中京)は惜しくも差し届かず3着。前走の朱鷺S(リステッド・新潟)では、最後方追走からメンバー中最速の上がり3ハロン33秒3(推定)の末脚で豪快に差し切った。本舞台で2勝を挙げており、コース替わりも問題なし。初めての重賞挑戦とはなるが、展開次第でチャンスは十分にあるだろう。
牡6歳
調教師:安田翔伍(栗東)
GⅡ2勝の実績はここでも上位だ。2020年以降は中距離路線を歩み、芝1400メートル戦はデビュー戦(5着)以来。距離への対応は鍵になるが、ロードカナロア産駒で血統的にはむしろ歓迎と言えるだろう。
初勝利は2019年春の未勝利(阪神・芝1600メートル)だった。そこから2勝目を挙げられず、翌2020年から中長距離に路線変更。すると素質が花開いた。一気に4連勝を飾り、目黒記念では重賞初制覇も達成。今年のアメリカジョッキークラブCで重賞2勝目を挙げた。GⅠに挑んだ大阪杯は11着、宝塚記念は17着。秋初戦となった前走の毎日王冠は好位からの競馬で挑んだが、結果的に差し馬が台頭する展開になり8着と敗れた。今回は前走からさらに400メートル距離が短くなるが、もともと前進気勢の旺盛なタイプ。距離短縮がプラスに出る可能性は十分あるだろう。
(寺下 厚司)
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