牡3歳
調教師:田村康仁(美浦)
今回は初の関西遠征。当然、現地に1泊する形も初めてになる。馬体重の変化が少ないタイプだけに、当日の数字で輸送の影響があったかどうかはわかるだろう。ポジションを取れる脚質で、展開に注文がつかないのも魅力だ。
3月の弥生賞ディープインパクト記念では、のちのダービー馬ドウデュース(2着)を抑えて重賞制覇。皐月賞で5着、日本ダービーで3着の実績は、今回の出走馬の中でも最上位にランクされるものと言えるだろう。クラシック最終戦にかける陣営の思いは強いはずだ。前走のセントライト記念では2着に敗れたが、勝ったガイアフォースとの着差はアタマ差。勝ち馬の目標になったことも踏まえれば、その結果に悲観することはないはずだ。母系にはレインボークエスト、ノーザンダンサー、ロベルトなどの名があるスタミナ豊富な血統。距離延長も望むところだろう。
牡3歳
調教師:杉山晴紀(栗東)
父キタサンブラック、母の父クロフネともにフットワークの大きい馬で、その特徴を顕著に受け継いだ本馬の武器はスピード。だが、父は跳びが大きい走りでも不良馬場をこなした。本馬も馬場状態に左右されにくいタイプと言えるだろう。
デビュー直後の骨折により春シーズンの活躍はかなわなかったが、ドウデュースと差のない競馬をした初戦の結果などから、早い段階で“菊花賞の秘密兵器”と関西圏では噂になっていた。前々走の1勝クラス・国東特別(小倉・芝2000メートル)を1分56秒8のコースレコードで圧勝し、重賞初挑戦となった前走のセントライト記念では、日本ダービー3着馬アスクビクターモアを競り落とす見事なパフォーマンスを披露。主役級の1頭として最後の一冠に挑むことになりそうだ。父キタサンブラックは2015年の菊花賞馬。親仔制覇達成にも注目したい。
牡3歳
調教師:杉山晴紀(栗東)
ゲート練習をしっかりとこなしていたこともあり、前走の神戸新聞杯(1着)では課題のスタートが決まり、積極的にポジションを取る競馬ができた。この収穫は大きいだろう。今回も多頭数の1戦だけにスタートがポイントになる。
春シーズンはクラシックの2戦のみ。皐月賞、日本ダービーでともに9着と結果を残せなかったが、振り返れば昨年のホープフルSで2着に好走した実績馬。5番人気で勝利した前走の神戸新聞杯も驚くに値しない結果だったと言えるだろう。2着ヤマニンゼストにつけた着差は完勝と言える3馬身1/2。能力の違いで押し切ったとの判断をしたい。半兄にはステイヤーズS2着、阪神大賞典2着と長距離重賞での好走歴があるアイアンバローズ(父オルフェーヴル)がいる血統背景。初めてとなる3000メートルの距離もプラスとなる公算が大きい。
牡3歳
調教師:辻野泰之(栗東)
札幌のタフな洋芝をこなしているが、稍重だった前走では馬場にノメるようなシーンもあったという。理想は良馬場だろう。ロングスパートを決めて、上がりのかかる展開に持ち込めるかどうかもポイントになる。
金鯱賞、札幌記念を勝ち、来週の天皇賞(秋)でも主役級の扱いを受けるであろうジャックドールの半弟という血統背景だが、モーリス産駒でスピードタイプの兄と違い、ドゥラメンテ産駒の本馬はスタミナが武器。長距離戦に照準を定めた近走内容は、その特長を存分に示している。前々走の1勝クラス・積丹特別、前走の2勝クラス・札幌日刊スポーツ杯(いずれも札幌・芝2600メートル)は、ともに向正面で一気に進出。長く脚を使い、後続のスタミナを奪うレース運びで勝利を飾っている。初めての重賞挑戦がGⅠの舞台になるが、長距離適性の高さを生かすことができれば、互角以上の勝負が可能だろう。
牡3歳
調教師:宮本博(栗東)
4走前の1勝クラス・ゆきやなぎ賞(阪神・芝2400メートル、1着)で見せたパフォーマンスが秀逸。直線に坂のある阪神コースとの相性は良さそうだ。ただ、芝3000メートルは内回りコース。タイトなコーナーで加速していけるかどうかが鍵になる。
3走前の京都新聞杯に続き、前走の神戸新聞杯も直線で馬群の大外から追い込んで3着を確保。同じ舞台で行われた重賞2戦は、どちらも同じような内容、結果に終わったが、推定上がり3ハロンの数字は近5戦連続で出走馬中最速を計時している。その末脚の切れは今回のメンバーに入っても上位と言えそうだ。折り合いに対する不安がなく、鞍上からの指示があって初めて動き出すくらいの本馬のキャラクターは、どの馬も未知の距離になる今回のレースでは大きな魅力となるだろう。初参戦となるGⅠの舞台でも、チャンスは十分にありそうだ。
牡3歳
調教師:宮本博(栗東)
2200メートルまでしか経験がなく、半兄がスプリンターのピクシーナイト(父モーリス)という血統背景からも、3000メートルの距離克服が最大の鍵になる。自分のリズムで運ぶことができるかどうかが大事になりそうだ。
4走前の1勝クラス・大寒桜賞(中京・芝2200メートル)は3着だったが、このレースから着用したブリンカーの効果が絶大だったという。走ることに前向きになり、積極的なレース運ぶができるようになったことで、それ以降パフォーマンスが大きく変わった。前々走のラジオNIKKEI賞で重賞初制覇を飾り、他世代を相手にした前走の新潟記念でも勝ち馬カラテから0秒4差の3着に好走。相手関係ももちろんだが、瞬発力勝負でも大きく見劣りすることなく、先行した組の中で最先着を果たしている点は評価できる。初のGⅠ挑戦でも楽しみのほうが大きい。
牡3歳
調教師:池添学(栗東)
調教で目立つ動きを見せるタイプ。併走馬に手応えで見劣りするなど、この馬らしくない調教内容だった前走時は、休み明けで本調子を欠いていた印象がある。1度使って動きが変わってくるかどうかをチェックしたい。
勝ち上がりに3戦を要したが、未勝利(阪神・芝2400メートル)を突破した直後で挑んだ3走前の青葉賞で重賞初制覇を果たし、前々走の日本ダービーでも5着に踏ん張るなど、春シーズン後半の活躍が目立った。2番人気に支持された前走の神戸新聞杯で8着に敗れたこともあってか評価は少し下がっている印象だが、潜在能力の高さは現3歳世代でも上位の存在と言えるものがある。GⅠ馬のいない今回のメンバー構成では実績上位と考えることも可能なはずだ。いい脚を長く使えるタイプなので、3000メートルへの距離延長にも対応できるだろう。
牡3歳
調教師:佐々木晶三(栗東)
馬体重の変動が少なく、常に力を出し切るキャラクターは信頼に足るもの。外回りコースの瞬発力勝負よりも、しぶとさが生かせる内回りコースのほうが合いそうな印象もある。立ち回りが最大のポイントになりそうだ。
今回の出走馬では唯一の1勝馬。しかしながら、5着に敗れた前走の神戸新聞杯が3着以内を外した初めてのレースであり、8戦のキャリアで〔1・3・3・1〕と抜群の安定感を誇る。3走前の京都新聞杯の2着を筆頭に、8戦のうちの6戦までもがオープンクラスのレース。GⅠを走った経験こそないが、レベルの高いレースで結果を残してきたことは評価したい。父は2013年の菊花賞を勝ったエピファネイア。本馬の豊富なスタミナも父の影響を受け継いだものだろう。3000メートルへの距離延長となるこここで、“善戦マン”のキャラクターを返上したいところだ。
(松浪 大樹)
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