牝3歳
調教師:高柳瑞樹(美浦)
二冠を達成した春からひと夏を越して、史上7頭目の牝馬三冠制覇を狙う。前哨戦を挟まず、直行でのローテーションは鍵だが、桜花賞を約2か月ぶりのレースで制しており、久々の実績はある。
前々走の桜花賞は直線で馬群を縫うように末脚を伸ばすと、勝負根性を発揮。着差はハナ差ながら価値あるGⅠ初制覇となった。それまで1800メートルまでしか距離の経験がなかったが、2400メートルの前走・オークスでも桜花賞馬の名に恥じない走りで1馬身1/4差の完勝。前走後の剥離骨折があって直行でのレースとなるが、安定感があり、展開にも左右されないレースぶりは今回も大きな強みとなるだろう。叔母のソウルスターリングもオークス制覇を達成。祖母スタセリタは仏オークスなどG1で6勝を挙げた名牝だ。血統的にも大舞台でこそ輝く1頭だろう。
牝3歳
調教師:中内田充正(栗東)
母は2016年の本レース2着馬。母と同じ中内田充正厩舎に所属する本馬が雪辱を誓う。今回がキャリア6戦目とまだ伸びしろを感じさせるだけに、重賞初制覇の勢いそのままに、GⅠ初制覇を果たしたい。
今回と同じ舞台だった3走前の忘れな草賞(リステッド・阪神・芝2000メートル)では2分00秒3という好タイムで3馬身差の完勝を見せており、高い舞台適性をすでに証明している。前々走のオークスは7着に敗れたものの、初めての関東圏への長距離輸送や、直前に競走除外馬が出て発走が遅れたことによる影響などもあっただろう。秋初戦となった前走のローズSは、あらためて能力の高さを示す1/2馬身差の快勝。再びのGⅠ挑戦で春とは違った姿を見せたいところだ。ある程度のポジションで運びながら、終いの脚もしっかりしているタイプ。展開によって得手不得手が出ないのも武器と言えそうだ。
牝3歳
調教師:高野友和(栗東)
そうそうたる活躍馬が並ぶ名牝系“バラ一族”の出身だ。本馬が秋華賞を勝てば、この牝系のGⅠ勝利はローズキングダムの2010年ジャパンカップ以来となる。前哨戦・紫苑Sを快勝し、堂々とタイトルを狙う。
昨年6月の未勝利(阪神・芝1600メートル)で初勝利を挙げた後は重賞で敗戦が続いたが、4走前の1勝クラス・こぶし賞(阪神・芝1600メートル)で2勝目をマークして勢いに乗ると、続くフラワーCで重賞初勝利を果たした。桜花賞には出走しなかったものの、オークスでは2着に好走。この世代の牝馬で上位の能力を証明してみせた。秋初戦となった前走の紫苑Sでも器用な立ち回りを見せ、クビ差ながら重賞2勝目をゲット。大外枠からつかんだ白星でもあり、着差はわずかでも、それ以上の強さを感じさせる内容だった。2勝を挙げる阪神コースに替わる点は見逃せない。
牝3歳
調教師:高野友和(栗東)
曽祖母のキョウエイマーチは1997年の桜花賞馬で、同年の秋華賞でも2着に好走。スピード色の濃い母系にスタミナ豊富な父が組み合わされ、本馬にとって初めての2000メートルがぴたりとはまる可能性はあるだろう。
デビューから2連勝で1勝クラス・赤松賞(東京・芝1600メートル)を制すと、阪神ジュベナイルフィリーズでは1番人気の支持を受けた。レースはスタートで後手を踏み、最後方からの競馬。直線では進路の狭いところを伸びて4着まで押し上げており、敗れたとはいえ強い内容。メンバー中最速の上がり3ハロン33秒6(推定)をマークし、脚力もGⅠで通用することを証明した。今春の桜花賞でも10着とはいえ1番人気だったように、能力の高さはファンもよく知るところだろう。オークスでは3着と好走。秋こそ、GⅠタイトルをつかみたいところだ。
牝3歳
調教師:武幸四郎(栗東)
近走は敗戦が続くが、阪神ジュベナイルフィリーズ3着、桜花賞2着というGⅠでの実績を考えれば、上位争いに加わるだけの能力はある。レースセンスが高く、本来は安定感のあるタイプだけに軽視は禁物だ。
前走のクイーンSは、抜群の好スタートで道中は3番手を確保。手応え十分に直線を向いたが、伸び切れずに10着と敗れた。ただ、オークス以来の休み明けだったことや、初めての他世代との戦い、勝ち馬に0秒6差と着順ほど負けていないことを考えれば、決して悲観する内容ではなかったはずだ。5日には栗東坂路で4ハロン53秒5(ラスト1ハロン12秒8)をマーク。馬なりながら軽快なフットワークが目につき、状態の良さをうかがわせた。オークス(13着)も本質的には距離が長い部分があったはずで、今回はあらためて力を示す1戦となりそうだ。
牝3歳
調教師:高柳大輔(栗東)
オークスは競走除外となったが、前走の紫苑Sでうっぷんを晴らすかのように2着に好走。勝ち馬とクビ差の接戦を演じており、ひと夏を越しての成長をしっかりと証明した。あらためて初のGⅠに挑む。
デビューから3戦目で初勝利を挙げると1勝クラス・白菊賞(阪神・芝1600メートル)も2着にまとめ、昇級戦でも苦にしなかった。続く1勝クラス・菜の花賞(中山・芝1600メートル)できっちり2勝目をゲット。初めての重賞挑戦となったチューリップ賞では、昨年の阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったサークルオブライフ(3着)にクビ差の4着と能力を示した。初勝利を挙げた後は4戦全てでクラスを問わずに5着以内を確保しており、安定感が光る。今回が初めてのGⅠ挑戦となるが、相手なりに走れるタイプだけに、臆することはないだろう。
牝3歳
調教師:国枝栄(美浦)
オークス(9着)以来の秋初戦となるが、春も休み明けから好結果を残したように、仕上がりやすいタイプとみていいだろう。ライバルたちに成長した姿をみせつけ、GⅠでも通用する能力を証明したい。
母マルシアーノの全兄キンシャサノキセキは高松宮記念連覇など重賞7勝。伯父は豊かなスピードを武器に短距離で活躍を見せたが、母は現役時代にダート1600メートルから1800メートルで3勝をマーク。その母の血もあるのか、半姉フラワリングナイト(父エピファネイア)は芝2000メートルで2勝しており、本馬がフローラSを制したのも納得の血統背景と言える。今回と同じ2000メートルの重賞を制している点は強みと言えそうだ。昨年の勝ち馬アカイトリノムスメと同じ国枝栄厩舎の所属馬。同厩舎にとっては連覇、そしてこのレース4勝目がかかる。
牝3歳
調教師:畠山吉宏(美浦)
半兄ウインブライト(父ステイゴールド)は香港でG1を2勝した活躍馬。徐々に力をつけ、大舞台でも通用する能力の持ち主にまで成長した。本馬はここがキャリア5戦目。初めてのGⅠで秘めた素質が開花するのか、注目だ。
メイクデビュー中山(芝1600メートル)で初陣を白星で飾ると、クイーンCこそ6着に敗れたが、スイートピーS(リステッド・東京・芝1800メートル)では先行策から直線も力強い伸び脚で抜け出し、1馬身1/2差の快勝。雨が降り、稍重馬場でのレースだっただけに、今週末に雨が降ったとしてもこなせるだろう。優先出走権を取ったオークスには出走せずに、休養へ。復帰戦となった前走の3勝クラス・STV賞(札幌・芝1800メートル)では2着に敗れたが、初めての他世代との対戦でもあり、休み明けを考えれば今回につながるレースにはなったはず。春の実績馬たちとの対戦が楽しみだ。
(山口 大輝)
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