牡5歳
調教師:堀宣行(美浦)
一昨年の本レースの勝ち馬。その後は勝利から遠のいているが、前走の安田記念は直線半ばで先頭に立つかというシーンを作り、復調を感じさせる3着だった。2度目の毎日王冠制覇で完全復活をアピールしたい。
3戦3勝で朝日杯フューチュリティSを優勝。将来を大いに嘱望されたが、同期には無敗の三冠馬コントレイルがいた。皐月賞、日本ダービーともにコントレイルの2着に敗れると、秋は毎日王冠へ。好位から楽に抜け出す快勝を見せた。以後、勝ち星こそないものの、大きく崩れたのは初の1200メートルだった前々走の高松宮記念(15着)だけ。それを経て臨んだ前走の安田記念は、1着ソングライン、2着シュネルマイスターと同タイムでの3着。あらためて能力の高さを印象づけるとともに、レース内容がグンと良くなった。この秋は調整内容がかなり意欲的。復活への態勢は整っている。
牝5歳
調教師:高野友和(栗東)
昨年の大阪杯の勝ち馬。今年の大阪杯も1度先頭に立つ場面があっての2着だった。前走のヴィクトリマイル(12着)は発馬直後につまずいて落馬寸前になったため、参考外でいい。スムーズなら即巻き返しがかないそうだ。
デビューから昨年の大阪杯まで6戦無敗。その大阪杯を勝った時の馬体重が422キログラムと、牝馬としてもかなり小柄の部類だが、重馬場をものともせず見事に中距離界の頂点に上り詰めた。今年の大阪杯は道中3番手の追走から、直線では1度抜け出す場面。ゴール寸前でポタジェに差されたものの、あらためてこの路線のトップクラスであることを示す走りを見せた。続くヴィクトリアマイルは12着。初めての2桁着順となったが、スタート直後のつまずきもあり、実力でないことは明らかだろう。約5か月の休養を経て実績ある中距離戦ならば、本来の走りが期待できる。
牡5歳
調教師:友道康夫(栗東)
今年の大阪杯はレイパパレを差し切って優勝。重賞初勝利でGⅠウイナーの仲間入りとなった。前走の宝塚記念は11着に敗れたが、体調が本物ではなかったよう。昨年3着の本レースで反攻を期す。
大阪杯の勝利でひとつ殻を破った格好だが、昨年は金鯱賞が2着デアリングタクトと1/2馬身差の3着。秋は毎日王冠がシュネルマイスター、ダノンキングリーの上位2頭と0秒2差の3着、続く天皇賞(秋)は6着など、大阪杯制覇の前から強豪馬と互角に渡り合ってきた実力馬であることも確か。前走の宝塚記念(11着)は後方追走のままに終わったが、どうやら暑さがこたえていたようだ。夏場は北海道で過ごし、帰厩後は栗東CWコースで9月22日、28日と2週続けて吉田隼人騎手が騎乗しての3頭併せを消化。好態勢で秋初戦を迎えられそうだ。
牡4歳
調教師:安田隆行(栗東)
2歳時に負けなしでホープフルSを制した素質馬。その後は骨折などもあり勝利に手が届いていないが、実力は誰もが知るところ。前走の関屋記念も“負けてなお強し”を思わせる3着だった。引き続き好勝負になりそうだ。
新馬戦から3連勝後、弥生賞ディープインパクト記念3着を経て、皐月賞は15着。その後骨折が判明して、約6か月の休養を余儀なくされた。復帰後は軌道に乗り切れていない印象を受けるが、昨年のマイルチャンピオンシップではグランアレグリア、シュネルマイスターに次ぐ3着。随所に能力の高さは窺える。前走の関屋記念(3着)は逃げた馬と2番手の馬が上位に残るなか、上がり3ハロン32秒6(推定)の脚を使って2頭に肉薄した。脚力だけなら現役トップクラスの評価も可能だ。東京・芝1800メートルは東京スポーツ杯2歳Sで勝利を収めた舞台。条件は合っている。
牡4歳
調教師:奥村武(美浦)
3勝クラスからの連勝で前走のエプソムCを制覇。いずれも前に行って押し切る強い競馬だった。今回も前走と同じ舞台。何より本格化ムードが漂う。一気の相手強化にはなるが、上位争いが可能だ。
着差以上の強さを見せたのが前走のエプソムC。3番手でなだめながらの追走で、直線に入っても鞍上が追い出しを我慢するシーンから、後続が迫ると見事な二枚腰を発揮しての押し切りだった。重馬場で鋭さをそがれた馬もいたが、逃げたトーラスジェミニ(11着)が失速したように、先行勢に厳しい競馬であったことも確か。そのなかで勝ち切ったことは、紛れもなくパワーアップの証と言っていいだろう。今回はそのエプソムC以来となるが、8月上旬から乗り込まれており、調教量としては十分過ぎるほどで動きの良さも目立つ。強敵相手でも好勝負が可能だろう。
牡6歳
調教師:安田翔伍(栗東)
今年のアメリカジョッキークラブCを制覇。一昨年の目黒記念に次ぐ重賞2勝目をマークした。2000メートル未満の距離を使うのは、2019年10月の1勝クラス(東京・1600メートル、6着)以来のこと。興味深い参戦となる。
大阪杯と宝塚記念はいいところがなかったが、前者は初のGⅠ挑戦、後者はノドの不安がレース中に出たようで、能力をフルに発揮できていないことは明らかだろう。一昨年は2000メートル以上を使って、1勝クラスから目黒記念まで4連勝を達成。距離を延ばして結果を出してきた馬だけに、夏場の休養で立て直しての初戦となる今回が1800メートルというのは驚きだが、近走は少し真面目に走り過ぎる面が出ていたようだ。もともとノドに不安もあり、折り合い面も考慮するなら、この距離がマッチする可能性は十分にある。GⅡ2勝の実力馬だけに侮れない。
牡4歳
調教師:鹿戸雄一(美浦)
昨年は共同通信杯4着、青葉賞2着、神戸新聞杯5着。クラシック出走はなかったが、タイトルホルダーやエフフォーリアと同世代の中でも十分に存在感を示していた。まだ8戦のキャリア。伸びしろは大きい。
3走前までは藤沢和雄厩舎所属。青葉賞で2着に入り、日本ダービーの優先出走権を得ながら不出走を表明し、その決断が耳目を集めたが、それだけ名伯楽が本馬の将来性を買っていたとも言えるだろう。鹿戸雄一厩舎への転厩2戦目だった、前走のオープン特別・関越S(新潟・芝1800メートル)は2着。前々走に続き発馬の課題は残ったが、直線だけでハナ差に持ち込んだ末脚は秀逸で、非凡な能力を秘めている。9月15日に美浦トレーニング・センターへ帰厩。大型馬らしく多少余裕はあるようだが、力強い動きを見せており、今週の調整でしっかり仕上がりそう。成長の余地も注目材料だ。
牡4歳
調教師:安田翔伍(栗東)
前走のエプソムCは、重馬場のなかでメンバー中最速の上がり3ハロン33秒5(推定)の脚を使って4着。身上の決め手が重賞でも通用することを証明した。今回は引き続き同舞台で、重賞も2度目。もっとやれていいはずだ。
条件クラス在籍時から抜群の末脚を披露。オープンクラス入りを決めた前々走の3勝クラス・湘南S(東京・芝1600メートル)では、4コーナー15番手から差し切り、2着馬に3馬身差をつけた。上がり3ハロンタイムは32秒9(推定)。決め手だけなら現役でも上位ランクだ。前走のエプソムCは相手強化もさることながら、重馬場、久々の1800メートルと課題がありながら4着。本格化してきたと見るのが妥当だろう。今回もさらなる相手強化、開幕週の馬場コンディションなど気になる点はあるが、それらすべてを克服できそうに思えるほどの充実度。決め手勝負になれば、GⅠ勝ち馬相手でも互角以上に戦えるはずだ。
(山下 健)
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