2021年のオールカマーは単勝オッズ4.7倍(2番人気)のウインマリリンが1着、同12.1倍(5番人気)のウインキートスが2着、同6.2倍(3番人気)のグローリーヴェイズが3着となり、3連単の配当は2万1980円にとどまった。3連単が発売されるようになった2004年以降の過去18回中、配当が10万円を超えたのは2004年と2014年の2回だけ、3万円を超えたのも計5回だけである。堅く収まりがちな一戦を展望すべく、今回は新潟・芝2200メートルで行われた2014年を含む過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬30頭中25頭は、前走との間隔が中10週以上だった。一方、中9週以内だった馬は3着内率8.2%と苦戦している。今年7月中旬以降のレースに出走していた馬は、評価を下げた方がよさそうだ。〔表1〕
前走との間隔 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中9週以内 | 0-2-3-56 | 0% | 3.3% | 8.2% |
中10週以上 | 10-8-7-55 | 12.5% | 22.5% | 31.3% |
過去10年の出走馬の通算出走数別成績を見ると、27戦以上の馬は全て4着以下に敗れている。一方、17戦以内の馬は3着内率41.3%と比較的優秀な成績を収めている。〔表2〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
17戦以内 | 8-6-5-27 | 17.4% | 30.4% | 41.3% |
18〜26戦 | 2-4-5-35 | 4.3% | 13.0% | 23.9% |
27戦以上 | 0-0-0-49 | 0% | 0% | 0% |
なお、2017年以降の過去5年に限ると24戦以上の馬が全て4着以下に敗れている一方で、15戦以内の馬は3着内率が52.4%に達している。近年の傾向からも、キャリアが比較的浅い馬を高く評価すべきだろう。〔表3〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
15戦以内 | 4-3-4-10 | 19.0% | 33.3% | 52.4% |
16〜23戦 | 1-2-1-15 | 5.3% | 15.8% | 21.1% |
24戦以上 | 0-0-0-24 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬30頭中23頭は、JRAのGⅠにおいて7着以内となった経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率8.4%と苦戦している。なお、2017年以降の過去5年に限ると、この経験がなかった馬は〔0・1・0・37〕(3着内率2.6%)である。GⅠで8着以下しかない馬は過信禁物とみておきたい。〔表4〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-7-7-35 | 15.5% | 27.6% | 39.7% |
なし | 1-3-3-76 | 1.2% | 4.8% | 8.4% |
過去5年の3着以内馬15頭は、いずれも“前年以降、かつ出走頭数が15頭以上だったJRAのGⅠ・GⅡ”において5着以内となった経験がある馬だった。2021年以降に15頭以上で行われたGⅠやGⅡで上位に入っていない馬は、割り引きが必要だ。〔表5〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 5-5-5-18 | 15.2% | 30.3% | 45.5% |
なし | 0-0-0-31 | 0% | 0% | 0% |
過去7年の優勝馬7頭は、いずれも前走との間隔が中12週以上、かつ通算出走数が22戦以内だった。また、この7頭はJRAのGⅠにおいて7着以内となった経験があった点、“前年以降、かつ出走頭数が15頭以上だったJRAのGⅠ・GⅡ”において5着以内となった経験があった点も共通している。〔表1〕から〔表5〕で挙げた条件を多くクリアしている馬が有力とみてよいだろう。〔表6〕
(伊吹 雅也)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年次 | 優勝馬 | 前走との間隔 | 通算出走数 | JRAのGⅠにおける最高着順 | “前年以降、かつ出走頭数が15頭以上だったJRAのGⅠ・GⅡ”における最高着順 |
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2015年 | ショウナンパンドラ | 中12週 | 13戦 | 1着(2014年秋華賞) | 1着(2014年秋華賞) |
2016年 | ゴールドアクター | 中20週 | 15戦 | 1着(2015年有馬記念) | 1着(2015年有馬記念ほか) |
2017年 | ルージュバック | 中18週 | 15戦 | 2着(2015年オークス) | 5着(2016年ヴィクトリアM) |
2018年 | レイデオロ | 中24週 | 9戦 | 1着(2017年日本ダービー) | 1着(2017年日本ダービー) |
2019年 | スティッフェリオ | 中12週 | 22戦 | 7着(2019年宝塚記念ほか) | 5着(2018年札幌記念) |
2020年 | センテリュオ | 中14週 | 15戦 | 4着(2019年エリザベス女王杯) | 4着(2019年エリザベス女王杯) |
2021年 | ウインマリリン | 中20週 | 10戦 | 2着(2020年オークス) | 1着(2021年日経賞ほか) |
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