牡3歳
調教師:深山雅史(美浦)
母コスモマーベラスは、いずれも重賞格上げ前の2005年紫苑S、2006年、2007年ターコイズSを優勝している。その素質を存分に受け継いだ本馬が、前走・葵Sからの重賞連勝を目指す。
前走の葵Sは強風が吹くコンディション。向正面ではうまく他馬の後ろをゲットし、体力を温存した。直線で力強く抜け出し、最後は2着馬を2馬身1/2突き放す快勝劇。他馬より重い57キログラムを背負ったうえでの価値ある勝利だった。騎乗した松山弘平騎手は「力のある馬なので、とにかくスムーズなレースをしようと思いました。手応えはありましたし、抜け出してからもしっかりと伸びてくれました」と相棒を称えた。前々走の橘S(リステッド・中京・芝1400メートル)に続く連勝は高い能力の証。スプリント界のニューヒーロー候補が、臆することなく他世代に挑む。馬名の由来は「冠名+驚くべきこと」。
牝4歳
調教師:田島俊明(美浦)
昨夏は4連勝でキーンランドCを優勝。ここは本レース初の連覇がかかる一戦となる。GⅠの高松宮記念(17着)で大敗した直後の前走・函館スプリントS(4着)は復調の兆しあり。得意舞台で再び存在感を示す。
前走の函館スプリントSは収穫のある一戦。前半600メートル通過タイム32秒8という厳しいペースを好位2番手で追走し、4コーナー付近では1度先頭に立った。50キログラムで出走したナムラクレア(1着)など3頭に差されたが、積極的な競馬でレースを動かして4着を確保した。騎乗した松岡正海騎手は「今日はきっかけをつかむ競馬を心掛けて、いったんは先頭のシーンをつくりたかったです。これが次につながってくれたら」と、先をイメージしていた。昨年の本レースは好位から粘り込んで優勝。舞台適性は間違いなく、今年も上位に食い込む。馬名の由来は「愛する人の思い出(ハワイ語)。フラダンスの曲名。父名より連想」。
牝5歳
調教師:池添兼雄(栗東)
母が2010年に日経新春杯と京都大賞典を優勝し、同年エリザベス女王杯で2着に好走したメイショウベルーガという良血馬だ。今回は600メートルの距離短縮となるが、もともと1200メートルで4勝をマーク。昨年8月に天国へ旅立った母に2つ目の重賞タイトルを届けたい。
前走・クイーンSは約2年半ぶりの1800メートルに挑戦したが、12着に敗退。果敢に好位2番手を追走しながら早々に手応えがなくなる姿は、明らかに距離が長かった印象だ。騎乗した鮫島克駿騎手は「ゲートが速かったので無理して控えませんでした。4コーナーまでいい手応えでしたが、直線を向いていきなりきつくなりました。距離なのかな」と敗戦を振り返った。マイルに距離を延ばした3走前・阪神牝馬Sを優勝したが、それまでの25戦中17戦が1200メートル戦。GⅠだったヴィクトリアマイル(18着)とクイーンSの大敗を度外視して、スプリントに戻るここで狙うのも手だ。馬名の由来は「冠名+アカシア」。
牝5歳
調教師:武藤善則(美浦)
母の父は今月17日にこの世を去ったタイキシャトル。母ジルコニアは芝1200メートルで2勝とスピード色の強い血統背景だ。本馬が1200メートルに再挑戦した近2走で連勝を飾ったのも納得がいく。重賞初挑戦でも侮れない。
前走のオープン特別・福島テレビオープン(福島・芝1200メートル)は、好位2番手をリズム良く追走して直線で鋭く抜け出した。2着から5着が4コーナー7番手以下の差し馬という厳しい展開を、ただ1頭好位から粘り切った。騎乗した江田照男騎手は「前走で1200メートルに対応したし、右回りでも上手に走れていました。スムーズな競馬で具合も良かったです」と満足そうに振り返った。スプリント戦に再挑戦した近2戦は逃げと好位2番手からの競馬で連勝。この路線でも十分に通用する速力を見せた。洋芝も問題なく、初めて挑む重賞の流れに対応できれば好勝負になるだろう。馬名の由来は「オパール(10月の誕生石)+魅力、美しさ(仏)」。
牝7歳
調教師:石毛善彦(美浦)
前走アイビスサマーダッシュで見事なV。2020年7月の3勝クラス・TVh杯(函館・芝1200メートル)以来約2年ぶりの勝利を飾った。1200メートルでの実績も十分で、充実際立つ7歳馬に注目だ。
7番人気だった前走のアイビスサマーダッシュは、外ラチ沿いの後方を追走すると、ラストはわずかに開いたスペースを一気に突き抜けた。騎乗した杉原誠人騎手は「いつもムキになる馬が、いいところで力が抜けました。気持ちが強くて狭いところが好きな馬。あとは前さえ開けばかわせる手応えでした」と、会心のレースを振り返った。キーンランドCは2年ぶりの参戦。直線競馬の印象が強いが、キャリア全5勝のうち4勝が1200メートル戦。3走前のオープン特別・北九州短距離S(小倉・芝1200メートル)も勝ち馬から0秒2差の5着に頑張っている。武器の末脚が生きる流れになれば、直線で一気に迫ってくる。馬名の由来は「信じる者。母名より連想」。
牝6歳
調教師:飯田祐史(栗東)
祖母センターライジングが1996年の4歳牝馬特別(現フローラS)を制しており、母系は筋が通っている。本馬は一昨年のキーンランドCを豪快に差し切り、昨年は2着に好走。10番人気の低評価を覆して勝った昨秋の京阪杯など、はまった時の末脚は強烈だ。
前走の高松宮記念は、15番人気ながら勝ち馬ナランフレグから0秒3差の8着に奮闘。重馬場のタフな馬場をメンバー中最速の上がり3ハロン33秒8(推定)で力強く伸びて、存在感を示した。騎乗した秋山真一郎騎手は「リズムが良く落ち着いていました。最後はよく伸びています」と説明した。キーンランドCは重馬場の2020年に優勝し、良馬場の昨年は2着。パワーが求められる馬場コンディションで力を発揮するタイプだ。近2年は前哨戦に同舞台のオープン特別・UHB賞を使っていたが、今年は高松宮記念からの直行。例年と違う調整過程さえクリアできれば、今年も有力候補筆頭に躍り出る。馬名の由来は「18+少女」。
牡5歳
調教師:安田隆行(栗東)
近10戦中9戦が3着以内の安定感がセールスポイント。前々走の函館スプリントS(2着)でもここで再戦するライバルたちに先着し、高い能力を示した。実績十分の洋芝のスプリント戦。大きく崩れるシーンは考えづらい。
重賞初挑戦だった前々走・函館スプリントSが見どころたっぷり。道中は6番手でしっかりと脚をため、直線は馬場の真ん中へ。しぶとく脚を伸ばして7番人気で2着に好走した。騎乗した横山和生騎手は「狙った競馬に持ち込めました。前に壁をつくれたのが好走の要因です。滞在競馬で涼しいのもあって、具合も良かったです。これからも今日のような競馬ができれば力は通用します」と前向きだった。前走のオープン特別・青函S(函館・芝1200メートル)は前から粘り込んだ勝ち馬を捕らえ切れなかったが、得意の形に持ち込んで2着。脚質に幅が出た今ならここでも面白い存在となる。馬名の由来は「19世紀に英国で発行された祝祭記念の金貨。母名より連想」。
牡3歳
調教師:高柳瑞樹(美浦)
半兄ベステンダンク(父タイキシャトル)は2020年読売マイラーズCで2着に好走した実力馬。本馬は昨年の京王杯2歳Sで2着と早くから頭角を現した。世代上位のスピードを武器に、初のスプリント重賞に挑む。
前走のNHKマイルCは一気にハナを奪取。前半1000メートル通過タイム57秒4と締まったペースを演出した。しかし、最後は東京のタフな直線で苦しくなって8着。騎乗した戸崎圭太騎手は「スピードを生かす形でハナに行きましたが、最後は苦しくなって、走りがバラバラになってしまいました」と話した。これでマイル戦は朝日杯フューチュリティS(6着)に続いての連敗となったが、どちらもGⅠでのもの。芝1400メートル戦のクロッカスS(リステッド・東京、1着)では次戦でファルコンSを制すプルパレイを下しており、現状では距離が短いほうが能力を生かせるのかもしれない。3歳馬だけに、約3か月半の休養を経た成長にも期待したい。馬名の由来は「冠名+地名」。
(高木 翔平)
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