牝4歳
調教師:斉藤崇史(栗東)
単走で追われていた時期もあったが、現在は併せ馬でも乗れるほどに気性が成長。パドックでの振る舞いにも違いが出てきている。条件クラスでの成績とはいえ、小倉コースは2戦2勝と相性抜群。これも強調材料となりそうだ。
GⅠを6勝したモーリスを父に持ち、母のジェンティルドンナも2012年の牝馬三冠を含むGⅠ7勝。現在の日本競馬で最高レベルの血統背景を持っている1頭だ。デビュー当初はパドックの周回でも気性の難しさを見せていたが、年齢とともに精神面が成長。現在は安定したパフォーマンスを出せるようになっている。前走の鳴尾記念ではヴェルトライゼンデの2着。このレースを含め、近3走の推定上がり3ハロンは全て33秒台で、出走馬中最速タイムをマークしている。自慢の末脚を武器に、重賞初制覇を果たすかに注目したい。
牝4歳
調教師:吉田直弘(栗東)
上がり3ハロン33秒台(推定)で勝利したことがある一方で、タフな馬場状態も苦にしない。自在な立ち回りができるタイプでもあり、小倉は過去に1戦1勝とコース替わりも不問。ネガティブ材料が極めて少ない馬だ。
昨年のオープン特別・新潟牝馬S(新潟・芝2200メートル)でオープンクラス初勝利を飾ると、それ以降は3戦連続で重賞に挑戦。牝馬限定戦の愛知杯とマーメイドSでは2着に好走した。特に前走のマーメイドSは、55キログラムのハンデを背負っての結果で、高く評価してもいいだろう。ダートに強く、2000メートル以上の距離に壁があるとされるクロフネの産駒だが、母の父ディープインパクトの影響が強いのか、本馬は距離の融通性がある。同じクロフネ産駒で昨年の札幌記念を勝ったソダシに続き、芝2000メートルでの重賞制覇も十分にありそうだ。
牡3歳
調教師:奥村豊(栗東)
ゲートの駐立に多少の不安があるタイプだが、小倉・芝2000メートルはスタートから1コーナーまでの距離が十分にある。リカバリーに苦労することはないだろう。近走では少し力むような面を見せたので、距離短縮もプラスと言っていいだろう。
前走の日本ダービーでは18着と大敗したが、スタート直後に少し行きたがったこともあっただろうし、直線では不利を受けてバランスを崩すシーンもあった。度外視とまでは言えないが、能力の全てを発揮したレースでなかったことは確かだろう。デビューから3連勝をマークし、前々走の毎日杯では重賞制覇も果たしている馬。そのポテンシャルは今年の3歳牡馬の中でも上位と思えるものだ。のちに重賞で好走したヴェローナシチーなどの強敵相手にデビュー勝ちを決めた小倉コースで巻き返し、秋の飛躍につなげたい。
牡6歳
調教師:中尾秀正(栗東)
フットワークが大きく、いかにも加速に時間がかかりそうなイメージ。スムーズに1コーナーを回れるかがポイントになるタイプだろう。小倉は今年2月に走り、クビ差の2着に入っているコース。適性は低くないはずだ。
父ハービンジャーにも母の父サンデーサイレンスにも似ていない芦毛の馬体は、祖母ファビラスラフインの流れを汲むものだろう。そして、第1回の秋華賞を制した祖母と同じように、本馬の武器もスピードの持続力。前走の都大路S(リステッド・中京・芝2000メートル、1着)は7頭立ての少頭数だったが、ペースが遅かったのは序盤の800メートルのみ。それ以降は平均して速いラップが刻まれ、2番手からプレッシャーをかけた本馬がコントロールしていたレースだった。前走から頭数は大幅に増えるが、特長を生かすレース運びができれば、初の重賞制覇も見えてくる。
牡6歳
調教師:池添学(栗東)
母の父ロックオブジブラルタルの影響が強く、マイル前後の距離を中心に走ってきた馬。2000メートルの距離は3年7か月ぶりの出走になる。しっかりと折り合いをつけて進められるかどうかがポイントとなりそうだ。
昨秋の京成杯オータムHを制した重賞勝ち馬。実績はここでも上位と呼べる存在だ。京都競馬場の整備工事により、2年連続の小倉開催となった中京記念では、昨年、今年とも2着に好走。特に今年はカデナ(6着)に次ぐ57キログラムのハンデを背負っていた。昨年以上の価値を感じるとともに、小倉コースへの高い適性を再認識させる結果だったと言えるだろう。代謝のいい夏場のほうがパフォーマンスも上がるタイプで、過去4勝の全てが7月から9月にマークしたもの。条件のそろった今回も期待は高まる。
牡8歳
調教師:中竹和也(栗東)
小倉は重賞勝ちのあるコースで、5走のうちの4走で出走馬中最速の推定上がり3ハロンタイムをマーク。追い込み一手の脚質のイメージに反し、実は相性のいい舞台と言える。ハイペースで前が失速する流れになれば、久々の勝利もありそうだ。
総賞金は2億円を突破。誰もが認める実績上位馬だが、近年の課題は実績を積み上げたことによる斤量面にあって、ハンデ戦のGⅢでは常にトップハンデを背負う。芝のGⅠではなかなか結果を出せず、ダートに活路を求めたこともあったほどだ。今年は小倉大賞典(3着)、前走の中京記念(6着)と、ともに出走馬中最速の上がり3ハロンタイム(推定)をマーク。8歳になっても末脚の切れに衰えはないが、道中の走りはトップハンデの影響を少なからず感じさせる。直線を向いた段階で、前を捕らえられる位置にいるかどうかが大事になりそうだ。
牡6歳
調教師:鮫島一歩(栗東)
長期休養明けとなった3走前からは、栗東トレーニング・センターのプール調教を併用しながら、坂路で態勢を整えていくパターン。約3か月半ぶりとなる今回もほぼ万全の状態だろう。初めての小倉コースに適性があるかどうかがポイントになる。
父は三冠馬のオルフェーヴル。本馬は一昨年のオープン特別・万葉S(京都・芝3000メートル)を勝ち、同年のステイヤーズSではアタマ差の2着に好走した実績馬だ。長距離に対応可能な高い心肺能力を持っているが、その一方で折り合い面に課題を残しており、一概に長距離向きとは言えない面がある。道中でハミをかみながらも2着に好走した前々走の京都記念が示すように、2000メートル前後の中距離戦のほうが、現状では能力を発揮しやすいのかもしれない。ある程度の位置で流れに乗ることができれば、ここでも面白い存在になりそうだ。
せん6歳
調教師:小手川準(美浦)
気性の激しい面が出やすいオルフェーヴルの産駒で、本馬もレース当日にテンションが高くなることがある。パドックから返し馬までの流れはチェックしたいところだ。適度に上がりタイムのかかる展開が理想だろう。
GⅠにチャレンジした前々走の大阪杯こそ15着と大きく着順を落としたが、3走前の中山記念では6着、前走の七夕賞では5着と、大きくは崩れていない。特に前走は4コーナー手前で前の馬が下がってきたため、スムーズに加速していくことができなかった。不完全燃焼レース内容だったと言えるだろう。小倉記念は昨年2着と結果を残しているレースであり、小倉コースも条件クラスを含めて〔1・1・0・0〕と相性がいい。休み明けを1度使った上積みも加味すれば、今年も上位争いが期待できるはずだ。
(松浪 大樹)
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。