秋のGⅠへ向けた戦いが本格化する前に、有力牝馬が下半期の始動戦に選択するケースも少なくないクイーンS。優勝馬には2017年のアエロリット、2018年のディアドラとGⅠウイナーも名を連ねるハイレベルな一戦で、今年も北の大地で繰り広げられる熱戦から目が離せない。なお、2013年および2021年は函館競馬場で開催されたが、その2回を含めた過去10年の結果からレースの傾向を分析する。
GⅠ優勝馬も参戦してくるレースということで、JRAのGⅠにおける実績別に成績を調べると、GⅠで3着以内に入った経験があった馬は、過去10年で延べ11頭が3着以内に入っていた。また、この経験があった馬のうち、3歳馬は2012年アイムユアーズ、2017年アエロリットと2頭いたがともに勝利を収め、4歳馬は〔3・3・2・6〕(3着内率57.1%)と、若い馬の方が成績がいい。GⅠで3着以内に入った経験のある3歳馬と4歳馬が出走してきたら押さえておくべきだろう。〔表1〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 5-4-2-13 | 20.8% | 37.5% | 45.8% |
なし | 5-6-8-80 | 5.1% | 11.1% | 19.2% |
過去10年の前走別成績を見ていくと、3着以内馬の半数(15頭)は前走がJRAのGⅠだった。中でも、前走がヴィクトリアマイルだった馬は〔4・4・4・9〕(3着内率57.1%)と半数以上が3着以内に入っている。一方、前走がオープン特別や条件クラスのレースだった馬は優勝例がなく、好走率もいまひとつ。GⅠから臨んだ馬が幅を利かせる当レースにおいて、この臨戦過程は評価を下げざるを得ないようだ。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 6-4-5-18 | 18.2% | 30.3% | 45.5% |
GⅢ | 3-3-2-35 | 7.0% | 14.0% | 18.6% |
オープン特別 | 0-1-1-9 | 0% | 9.1% | 18.2% |
3勝クラス | 0-2-1-16 | 0% | 10.5% | 15.8% |
2勝クラス | 0-0-1-13 | 0% | 0% | 7.1% |
海外G1 | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
地方のレース | 0-0-0-2 | 0% | 0% | 0% |
距離実績を調べてみると、過去10年の3着以内馬延べ30頭中18頭はオープンクラスの芝1800メートルで行われたレースで3着以内に入った経験があった。これには2020年に単勝11番人気の低評価ながら勝利を収めたレッドアネモスをはじめ、2016年に9番人気で優勝したマコトブリジャール、2015年に7番人気で優勝したメイショウスザンナといった伏兵馬も含まれている。該当馬には注目しておいて損はないだろう。〔表3〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 6-6-6-27 | 13.3% | 26.7% | 40.0% |
なし | 4-4-4-66 | 5.1% | 10.3% | 15.4% |
前走がオープン特別や条件クラスのレースだった馬が勝っていないことは〔表2〕のとおりだが、過去10年の優勝馬のうち、2走前が重賞ではなかった馬は2015年のメイショウスザンナだけ。出走馬全体で見ても、過去2走とも芝の重賞だった馬が〔9・6・6・36〕と3着以内馬の半数以上を占め、そのうち3歳と4歳が合わせて〔7・4・3・14〕と好成績を残している。2017年以降はこれに該当する馬が5連勝中なので、勝ち馬を予想する際は過去2走とも芝の重賞に出走していた3歳か4歳の馬にスポットライトを当てたいところだ。〔表4〕
(高那実 マヤ)
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 優勝馬 | 年齢 | 前走 | 2走前 |
---|---|---|---|---|
2017年 | アエロリット | 3歳 | NHKマイルC(GⅠ) | 桜花賞(GⅠ) |
2018年 | ディアドラ | 4歳 | ドバイターフ(G1) | 京都記念(GⅡ) |
2019年 | ミッキーチャーム | 4歳 | ヴィクトリアマイル(GⅠ) | 阪神牝馬S(GⅡ) |
2020年 | レッドアネモス | 4歳 | マーメイドS(GⅢ) | 福島牝馬S(GⅢ) |
2021年 | テルツェット | 4歳 | ヴィクトリアマイル(GⅠ) | ダービー卿チャレンジT(GⅢ) |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。