2020年に単勝15番人気のアドマイヤジャスタが勝利したのをはじめ、過去10年の3着以内馬延べ30頭中19頭が7番人気以下という“荒れる重賞”の函館記念。サマー2000シリーズの第2戦であり、過去10年の優勝馬からトランスワープ(2012年)、トウケイヘイロー(2013年)、ダービーフィズ(2015年)、トーセンスーリヤ(2021年)と4頭のシリーズチャンピオンが出ていることでも注目の一戦だ。過去10年のデータを参考に、好走馬に共通するポイントを探り出す。
波乱が頻繁に起きる要因の一つに、人気を集めやすい前走1着馬の不振が挙げられる。前走を勝って臨んだ馬は過去10年で延べ18頭おり、半数の9頭が単勝2番人気以内に支持されたが、いずれも4着以下に敗れている。また、前走6着以下の馬は3着以内馬の過半数(16頭)を占め、そのうち14頭は当レースで7番人気以下と妙味も大きい。思い切って、前走で6着以下に敗れていた馬を狙ってみるのも面白そうだ。〔表1〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 1-0-1-16 | 5.6% | 5.6% | 11.1% |
2着 | 1-0-1-7 | 11.1% | 11.1% | 22.2% |
3着 | 2-2-2-9 | 13.3% | 26.7% | 40.0% |
4着 | 1-0-0-8 | 11.1% | 11.1% | 11.1% |
5着 | 2-1-0-9 | 16.7% | 25.0% | 25.0% |
6着〜9着 | 3-4-3-33 | 7.0% | 16.3% | 23.3% |
10着以下 | 0-3-3-47 | 0% | 5.7% | 11.3% |
過去10年の前走別成績を見ていくと、GⅡ組とGⅢ組の好走率が比較的高く、特にGⅡで1桁着順だった馬は〔3・2・0・2〕(3着内率71.4%)と3着内率が一気に跳ね上がる。一方、オープン特別から臨んだ馬は10頭が3着以内に入っているものの3着内率は13.2%と低く、大半を占める巴賞組も〔1・5・2・47〕(3着内率14.5%)と勝ち切れていない。巴賞組は8頭が単勝2番人気以内に支持されながら、馬券に絡んだのは2019年優勝のマイスタイルのみと人気に応えられないケースも多く、前走1着馬と同様に過信は禁物といえそうだ。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 0-1-2-12 | 0% | 6.7% | 20.0% |
GⅡ | 3-2-0-14 | 15.8% | 26.3% | 26.3% |
GⅢ | 5-2-4-31 | 11.9% | 16.7% | 26.2% |
オープン特別 | 2-5-3-66 | 2.6% | 9.2% | 13.2% |
3勝クラス | 0-0-1-4 | 0% | 0% | 20.0% |
2勝クラス | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
地方のレース | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の年齢別成績を調べると、古馬の中では出走数が少なめの4歳の3着内率が最も高い。大穴をあけた前述のアドマイヤジャスタをはじめ、単勝7番人気以下だった馬が〔1・3・0・6〕(連対率40.0%)と、4歳馬は伏兵の活躍が目立つのも特徴だ。また、連対率で4歳を上回る7歳は近年の活躍が目立ち、ここ5年に限れば〔1・3・0・7〕と連対率は36.4%にアップする上、2着に入った馬のうち2017年のタマモベストプレイ(14番人気)と2020年のドゥオーモ(13番人気)と人気薄の好走例もある。〔表3〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3歳 | 0-0-1-2 | 0% | 0% | 33.3% |
4歳 | 2-3-1-16 | 9.1% | 22.7% | 27.3% |
5歳 | 3-0-5-34 | 7.1% | 7.1% | 19.0% |
6歳 | 3-2-3-40 | 6.3% | 10.4% | 16.7% |
7歳 | 2-4-0-20 | 7.7% | 23.1% | 23.1% |
8歳以上 | 0-1-0-17 | 0% | 5.6% | 5.6% |
冒頭で“荒れる重賞”と評したが、過去10年の優勝馬は2020年のアドマイヤジャスタを除けば全て単勝5番人気以内だった。単勝オッズが10倍を超えていたのも同馬のみと、優勝馬に関してはほとんどが人気サイドの馬だった。函館記念の特徴としては、2・3着に伏兵馬が食い込むケースが多いが、勝ち馬は上位人気の馬が多くなっている。〔表4〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 単勝人気 | 単勝オッズ |
---|---|---|---|
2012年 | トランスワープ | 4番人気 | 7.2倍 |
2013年 | トウケイヘイロー | 3番人気 | 4.8倍 |
2014年 | ラブイズブーシェ | 2番人気 | 7.1倍 |
2015年 | ダービーフィズ | 3番人気 | 6.4倍 |
2016年 | マイネルミラノ | 3番人気 | 7.4倍 |
2017年 | ルミナスウォリアー | 5番人気 | 9.0倍 |
2018年 | エアアンセム | 5番人気 | 9.6倍 |
2019年 | マイスタイル | 1番人気 | 5.0倍 |
2020年 | アドマイヤジャスタ | 15番人気 | 77.3倍 |
2021年 | トーセンスーリヤ | 2番人気 | 4.5倍 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。