牡3歳
調教師:安田隆行(栗東)
昨年末の朝日杯フューチュリティS3着、前走のアーリントンC1着と、マイルで確かな強さを証明。東京コースは共同通信杯(7着)で敗れているが、得意の距離なら違った走りを見せられるはずだ。
前走・アーリントンCは鋭い末脚を披露した。中団から直線で外に持ち出されると一気に加速。ゴール前でタイセイディバインを差し切り、2018年タワーオブロンドンの記録を0秒7も更新する1分32秒7のレースレコードを出した。騎乗した川田将雅騎手は「道中のバランスが良く、この馬としてはちゃんとした状態で走ることができていたと思います」と話した。父は同じ安田隆行厩舎で管理されたロードカナロア。その産駒は今年のJRA重賞を7勝と種牡馬別でトップに立っている(5月1日終了時点)。本馬も偉大な父を思い起こさせるポテンシャルの高さを見せてきた。GⅠタイトルを期待したくなるスケール感だ。馬名の由来は「冠名+サソリ」。
牡3歳
調教師:中内田充正(栗東)
ここまでのキャリア全4戦がマイルと、距離を徹底したレース選択を行ってきた。新潟2歳S、デイリー杯2歳Sで重賞2勝の実績はメンバー屈指。朝日杯フューチュリティS(2着)からの直行で同世代のマイル王を狙う。
1番人気に支持された前走・朝日杯フューチュリティSでは、好位を追走し、直線半ばで先頭に立った。最後は外から伸びたドウデュースに1/2馬身差されたが、見どころ十分の走り。騎乗したC.デムーロ騎手は「少し出して行った分だけ行きたがりましたが、許容範囲でした。勝ち馬に切れで負けたけど、馬はしっかり走ってくれました」と評価した。ここは中139日での出走。中175日のソネットフレーズとともに、2014年ミッキーアイル(中70日)のNHKマイルC最長間隔V更新がかかる一戦となる。東京は初挑戦となるが、左回り、坂のあるコースはすでにクリア済み。GⅠタイトルをつかみたい。馬名の由来は「エーゲ海にある島名。母名より連想」。
牡3歳
調教師:森秀行(栗東)
3連勝で前走のニュージーランドTを制覇。東京マイルは4走前の1勝クラス・ベゴニア賞(6着)で敗れているが、当時と比べれば馬が大きく成長している。武器のスピードを生かして主導権を握る。
前走のニュージーランドTは好スタートからハナを奪取。名手・武豊騎手に導かれ、中盤で12秒台のラップを2度刻む絶妙なペース配分で運んだ。最後は外を強烈に伸びたマテンロウオリオンに差される態勢だったが、根性を発揮してアタマ差振り切った。武豊騎手は「1回前に出られたけど、差し返してくれました。この距離で勝てたのは大きいです」と相棒の奮闘を称えた。NHKマイルCが創設された1996年は1着から8着を外国産馬が独占。近年は勢いを潜めていたが、昨年は20年ぶりに外国産馬シュネルマイスターが優勝しており、風向きが変わりつつある。アメリカで生まれ、今年唯一の外国産馬となる本馬の走りに注目したい。馬名の由来は「人名より」。
牡3歳
調教師:昆貢(栗東)
アーモンドアイやミッキーアイルなどのマイルGⅠ馬を輩出したシンザン記念を勝利。前哨戦のニュージーランドTは2着に敗れたが、鋭い脚を披露した直線ではあらためてポテンシャルの高さを証明している。
1番人気に支持された前走のニュージーランドT。中団追走から繰り出した、メンバー中最速の上がり3ハロン34秒1(推定)の末脚は別格の伸びだった。最後はジャングロをアタマ差だけ捕らえ切れなかったが、管理する昆貢師は「新馬戦でも勝ったと思って2着でしたし、久々だと少しパフォーマンスが落ちるのかもしれません。次に期待します」と、本番のここを見据える。ダイワメジャー産駒は2012年カレンブラックヒル、2016年メジャーエンブレム、2019年アドマイヤマーズがNHKマイルCを制し、本レースにおける最多勝利種牡馬となっている。仕上がり早でスピードに勝った馬が多く、3歳春のマイルGⅠで力を発揮できるタイプだ。馬名の由来は「摩天楼+星座」。
牡3歳
調教師:高野友和(栗東)
1997年ファンタジーSを制し、翌年の桜花賞で2着に好走したロンドンブリッジを祖母に持つ良血馬。本馬はファルコンS2着から挑んだ前走・アーリントンCでも2着に入り、初挑戦だったマイルへの適性を証明。自信を胸に大一番へ挑む。
前走・アーリントンCは好位から鋭く抜け出して直線はいったん先頭へ。ゴール前でわずかクビ差だけ差されたが、騎乗した松若風馬騎手は「直線も手応えは抜群でしたし、先頭に立ってからもソラを使わず真面目に走っていました」と高く評価した。キャリア9戦は今回のメンバー中で最多。1戦ごとにたくましくなり、ファルコンS、アーリントンCで連続2着に好走した近2戦からも、充実ぶりが伝わる。過去にもキャリア9戦馬は2度(2008年ディープスカイ、2013年マイネルホウオウ)が優勝しており、出走数の多さを気にする必要はない。メンバー屈指の経験値を生かし、初参戦の東京コースもクリアしてみせる。馬名の由来は「冠名+神聖の」。
牡3歳
調教師:宮田敬介(美浦)
重賞3勝の半兄ケイデンスコール(父ロードカナロア)は2019年NHKマイルCの2着馬。本馬は距離を延長した前走・弥生賞ディープインパクト記念(5着)こそ崩れたが、得意のマイル戦なら武器の末脚の威力が増しそうだ。
前走・弥生賞ディープインパクト記念は、クラシックを意識して芝2000メートルに挑戦。後方からメンバー中最速の上がり3ハロン34秒9(推定)の末脚で迫ったが、5着まで追い上げるのがやっとだった。騎乗した戸崎圭太騎手は「1コーナーで馬群に入れようとしたら気にして外に飛んでいく感じでした。最後も外に張る感じで若さを出してしまいました」と敗因を分析した。弥生賞ディープインパクト記念からのNHKマイルC参戦組(過去4頭)は、昨年覇者シュネルマイスターを筆頭に、1996年ツクバシンフォニーが2着、2012年クラレントが3着と好相性を誇る。適性があるマイル戦での反撃に警戒したい。馬名の由来は「物語に登場する架空の地名」。
牡3歳
調教師:須貝尚介(栗東)
差す競馬を覚え、クロッカスS(リステッド・東京・芝1400メートル)2着、ファルコンS優勝と競馬ぶりが安定。関西馬ながら東京、新潟、中山と経験しており、長距離輸送への不安も少ない。マイルも3連対と不問だ。
前走・ファルコンSは最内枠から出遅れたが、内ラチ沿いをロスなく追走。直線でスッと抜け出すと、2着タイセイディバインをきっちり振り切った。騎乗したM.デムーロ騎手は「直線の手応えも抜群で楽でした。抜け出してやめていたくらいです」とそのポテンシャルを称賛。左回りコースでは2勝、2着2回となり、あらためて適性の高さを証明した。ファルコンSはイスラボニータ産駒の重賞初勝利となったが、今年の3歳GⅠは桜花賞2着ウォーターナビレラ(父シルバーステート)、皐月賞1着ジオグリフ(父ドレフォン)、2着イクイノックス(父キタサンブラック)と、新種牡馬の産駒が大活躍。ここも新しい風が吹くのを期待したい。馬名の由来は「紫の閃光(独)」。
牡3歳
調教師:矢作芳人(栗東)
母ステラリードが2009年函館2歳Sの優勝馬という良血馬。本馬は東京・芝1400メートルで行われた京王杯2歳Sを鮮やかに勝利し、マイル初挑戦の前走・アーリントンCでも3着に好走。GⅠ初挑戦でも臆するところはない。
前走・アーリントンCは、京王杯2歳S(1着)以来約5か月半ぶりの実戦。最内枠からインをロスなく回り、直線もパワフルに伸びた。最後は勝ち馬の決め手に屈して3着も、騎乗した坂井瑠星騎手は「いい内容でした。課題も見つかりましたし、本番で逆転できるように頑張りたいです」と話した。それまでの3戦は1200メートル、1500メートル、1400メートルと全て異なる距離だったが、初のマイルにも対応。レースレコード決着も問題なくこなし、収穫ありの様子だった。好位2番手から鮮やかに抜け出した京王杯2歳Sで東京コースもクリア済み。ここは末脚自慢がそろった印象で、好位で器用に立ち回れるセンスの良さは武器になる。馬名の由来は「王+ギリシャ神話に登場する青年神。父名から連想」。
(高木 翔平)
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