牡6歳
調教師:辻野泰之(栗東)
これまで挙げた6勝中5勝が1600メートルという距離巧者。前走から200メートルの距離短縮はプラスに働くとみていいだろう。阪神コースは初めても、同じ右回りの中山での走りを見れば問題はなさそうだ。
前走の中山記念は逃げたパンサラッサがそのまま押し切る流れのなか、メンバー中最速の上がり3ハロン36秒0(推定)をマークして2着を確保。勝ち馬はのちにドバイターフ(G1・UAE)も制しており、価値のある連対だったと言えるだろう。連覇を狙った前々走の東京新聞杯でもしぶとく脚を伸ばして3着に入っており、安定して力を発揮するレースが続いている。高橋祥泰調教師の引退に伴い、前走後に現厩舎へ移籍。4月13日には栗東CWコースで一杯に追われ、6ハロン84秒1(ラスト1ハロン11秒6)をマーク。3頭併せで最先着を果たしたように調整は順調に進んでおり、今回も上位争いに加わってきそうだ。
牡4歳
調教師:矢作芳人(栗東)
今回と同じ阪神・芝1600メートルで行われた昨年のアーリントンCで重賞初制覇。秋のマイルチャンピオンシップでも強敵相手に5着と善戦するなど好相性の舞台と言っていいだろう。コース替わりで巻き返しがありそうだ。
前走の東京新聞杯は12着と、安定感のあるこの馬にしては大きく着順を落とした。ただ、左回りのオープン特別・野路菊S(中京・芝1600メートル)を制しているものの、東京コースはNHKマイルCでも9着に敗れているように、実績がない競馬場であることも確かだろう。母ヒカルアマランサスは4歳時の京都牝馬Sで重賞初制覇を果たすと、翌年の同レースでも2着に駆けているように、高い能力に加えて成長力があった。叔父のカレンミロティックも8歳時の天皇賞(春)で2着に好走するなど息長く活躍。母系を考えれば、本馬もここからさらにタイトルを重ねる可能性は十分にあるだろう。
牡5歳
調教師:笹田和秀(栗東)
3連勝で迎えた昨年の読売マイラーズCは、重賞初挑戦を思えば勝ち馬と0秒2差の5着なら健闘と言っていいだろう。その後に阪神・芝1600メートルのリステッドで2勝をマーク。力を蓄えた今なら重賞でも戦えるはずだ。
祖母のエアメサイアは桜花賞4着、オークス2着、そして秋華賞でGⅠ初制覇を果たした。母エアワンピースも現役時代に4勝をマークするなど、高い能力は脈々と受け継がれている。叔父エアスピネルは重賞3勝に加え、GⅠでも2着3回の活躍馬。優秀なファミリーであることは間違いなく、重賞のメンバーに入っても素質は上位と言えるだろう。前走の六甲S(リステッド・阪神・芝1600メートル)は、メンバー中最速タイの上がり3ハロン34秒0(推定)をマークして差し切り。1馬身差の快勝で、勢いに乗って初タイトル奪取に向かえるはずだ。
牡5歳
調教師:池添学(栗東)
半兄エアアルマス(父Majestic Warrior)はこれまで7勝を挙げ、2020年の東海Sを制覇。半弟エアサージュ(父Point of Entry)も3勝を挙げているように、母は高いレベルの能力を産駒に伝えている。本馬も、重賞初挑戦でも素質は見劣りしないはずだ。
全14戦中12戦でメンバー中最速の推定上がり3ハロンタイムをマークしているように、瞬発力は相当なものがある。オープンクラス初勝利となった前走の洛陽S(リステッド・阪神・芝1600メートル)はラスト200メートル付近でもまだ馬群の中にいたが、そこから外に進路を切り替えると矢のような伸びを見せ、ゴール寸前で差し切り。メンバー中最速の上がり3ハロン33秒3(推定)をマークした。終いは確実に伸びてくるタイプだけに、展開さえ向けば重賞でもこれまでと変わらないレースができるはず。全5勝中3勝を挙げているように、この舞台も合っている。
牡5歳
調教師:高野友和(栗東)
初のマイル戦となった前々走の洛陽Sで3着に好走すると、前走の六甲S(ともにリステッド・阪神)も引き続き同距離で2着。もともと安定感のあるタイプだが、この距離で新味を見せ、勝ち星まであと一歩のところまできている。
クラシック三冠への出走こそなかったが、スプリングS4着、京都新聞杯3着と早い時期から才能を見せていた。これまで重賞で3着が2度あるように、重賞勝ちこそないが、このメンバーに入っても実績は上位の存在と言っていいだろう。全兄トーセンカンビーナは阪神大賞典2着、ダイヤモンドS3着と長距離重賞で活躍しているが、本馬はマイルから中距離に距離適性が出た。母カンビーナは2011年のアメリカンオークス(G1・アメリカ)勝ち馬。血統的なスケール感を考えれば、まだきょうだいに重賞ウイナーはいないものの、いずれタイトルを獲得する可能性は高そうだ。
牡4歳
調教師:藤原英昭(栗東)
全兄レッドベルジュールが2019年のデイリー杯2歳Sを制覇。伯母のインランジェリーがアメリカでG1を含む重賞3勝を挙げたように、非常に良質な牝系と言える。本馬もさらなる大舞台での活躍が期待される。
1年近い休み明けとなった前走の六甲S(リステッド・阪神・芝1600メートル)は7着に敗れたが、長期休養明けの影響もあったのだろう。14日には栗東CWコースで馬なりのままラスト1ハロン11秒2(5ハロン65秒9)をマーク。軽快な走りを見せており、レースを1度使われた上積みを感じさせる。前々走の皐月賞(8着)で力んだ走りを見せていたことからも、距離はマイル近辺が合っているはず。一昨年には今回と同じ阪神・芝1600メートルで行われたデイリー杯2歳SをV。能力は高いものがあるだけに、状態が戻ってさえいれば、上位争いに加わることが可能だろう。
牡4歳
調教師:池江泰寿(栗東)
3連勝で挑む初めての重賞。その3勝はいずれも1600メートル戦で挙げたもので、距離を短縮してレースぶりが一変した。本格化を果たした今なら、いきなりの重賞タイトル獲得も夢ではなさそうだ。
3走前の1勝クラス(中京・芝1600メートル)が1馬身1/2差、前々走の2勝クラス・クリスマスC(中山・芝1600メートル)が1/2馬身差、前走の3勝クラス・春興S(中山・芝1600メートル)が2馬身差と、3連勝は全て辛勝ではなく、余裕のある勝ちっぷりだった。今回は初めての重賞挑戦とはなるが、母系からは青葉賞を勝ったヒラボクディープやダイヤモンドS3着があるカフェブリッツなどの活躍馬が誕生しており、本馬もいきなりから通用するだけの器の持ち主だろう。14日に栗東CWコースで6ハロン81秒9(ラスト1ハロン11秒0)を馬なりでマーク。好調キープを感じさせる調教内容だ。
牡6歳
調教師:安田隆行(栗東)
昨年の読売マイラーズCでは、2着馬に1馬身1/4差をつける快勝で重賞3勝目をマーク。今年は連覇を狙う。阪神・芝1600メートルでは3戦1勝だが、敗れた2戦はともにGⅠ。GⅡなら昨年のような走りを見せられるはずだ。
前走の東京新聞杯は59キログラムの斤量に加え、それまでより前の位置取りでの競馬になったこともあってか13着に敗れた。前々走の阪神C(9着)は距離がやや忙しい1400メートル戦。3走前のマイルチャンピオンシップはGⅠの強敵を相手に10着とそれぞれに敗因があり、力を出し切れればまた違った競馬ができるはずだ。3歳夏から4歳時にかけて低迷した時期もあったが、昨年は重賞2勝をマークし、中山記念でも2着に好走。今年もこのレースできっかけをつかみ、飛躍につなげたいところだ。14日に栗東坂路で4ハロン51秒8、ラスト1ハロン12秒3をマーク。力を出せる態勢だろう。
(山口 大輝)
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