牝3歳
調教師:藤原英昭(栗東)
のちの桜花賞馬スターズオンアースを負かして新馬勝ち。前走のチューリップ賞はそれ以来の実戦。出遅れもあって6着に敗れたが、推定上がり3ハロン最速タイをマークしており、能力の高さはうかがえた。初戦の内容から距離延長も左回りも好感。真価発揮となりそうだ。
デビュー戦が鮮烈。10頭立てで競馬がしやすかったとはいえ、外を回りながら楽な手応えで追走すると、直線で抜け出す時も楽。この時に唯一追いすがったのがスターズオンアースだった。0秒1差でもまったく危なげなく、完勝と言える内容。結果的に負かした相手が桜花賞馬になったことで、本馬のパフォーマンスも優に重賞レベルと判断していいはずだ。前走のチューリップ賞は6着とはいえ、後方からよく追い上げて勝ち馬から0秒6差。0秒2差の5着だったウォーターナビレラが本番の桜花賞でハナ差の2着に好走したことを思えば、本馬も牝馬トップレベルの素質馬であることは間違いない。
牝3歳
調教師:黒岩陽一(美浦)
2戦2勝。ともに接戦ながら、鮮やかな差し切りで勝負を決めた。加えて、前走の1勝クラス・デイジー賞(中山・芝1800メートル)の2着馬が次走で同クラスを楽勝しており、本馬の株はさらに上がっている。2戦の内容を考慮すれば、2000メートルの距離も東京替わりも魅力に映る。
デビュー戦は前半にモタつき、直線に入るところでもまだ8番手。直線では前が壁になる場面があり、並の馬なら連対がやっとではという態勢に思えたが、本馬は坂を登ってからの勢いが桁違い。最後はハナだけ2着馬を捕らえていた。2戦目の1勝クラス・デイジー賞は出遅れて再度後方から。直線に入っての先頭との差はデビュー戦以上にも見えたが、最後は鞍上が抑えながらの差し切り勝ち。あらためて末脚の非凡さを証明した。東京コースは未経験だが、不器用なレースぶりと、それを補って余りあるラストの切れから明確に合いそう。200メートルの距離延長で、これまで以上に位置も取れそうだ。
牝3歳
調教師:宮田敬介(美浦)
デビュー2戦目のシンザン記念(7着)は、出遅れたうえに道中で行きたがる場面。キャリアの浅さが出た敗戦に見えた。東京に戻った前走の1勝クラス(芝1600メートル)は、早めに抜け出して他馬を圧倒。折り合いもついていた。あの競馬なら2000メートルでも好勝負になる。
デビュー戦はスタートこそ遅かったが、すぐに好位のインにつけて折り合いもしっかり。直線では進路ができてから悠々抜け出し、2着馬に3馬身1/2差をつけた。見た目の強さもさることながら、走破時計も前日のサウジアラビアロイヤルCを1秒1上回る優秀なものだった。騎乗したC.ルメール騎手はレース後に「新しいグランアレグリアです」とコメント。自らが手綱を取ったGⅠ6勝の名牝を引き合いに出すあたり、素質を高く買っていることが分かる。マイル以外は経験がないが、半兄が日経賞、アメリカジョッキークラブC、阪神大賞典を勝ったシャケトラ(父マンハッタンカフェ)。血統的にはむしろ距離は延びたほうがいいだろう。
牝3歳
調教師:矢作芳人(栗東)
初勝利が4馬身差の楽勝。続く1勝クラス・赤松賞(東京・芝1600メートル)は勝ったナミュールから0秒3差の2着。3着がのちに桜花賞を勝つスターズオンアースだった。その前走・桜花賞は直線の内でゴチャつく場面があって6着。スムーズならもっとやれていたはずだ。
毎年のように素質馬がそろう1勝クラス・赤松賞で2着の実績があったとはいえ、前走の桜花賞は驚かされた。道中は好位のインでじっと我慢。直線も内を突いて伸びていたが、内から寄られる場面。1度ジョッキーがバランスを崩し、追うのを止めるシーンもあった。その後も接触を繰り返しながら態勢を立て直し、しっかりと脚を使って6着。勝ち馬から0秒2というタイム差だったけに、普通に伸びていれば上位が狙えていた可能性は十分にあった。加えて、脚をためる競馬で一線級相手に互角にやれたことも大きな収穫だったと言えるだろう。広い東京コースで能力をフルに発揮したいところだ。
牝3歳
調教師:松永幹夫(栗東)
初勝利直後の前走・フィリーズレビューは、400メートルの距離短縮、得手ではないと思える阪神・内回りコース、さらには4コーナーで外々を回るシーンもありながらの4着。重賞通用の力は示したと言えるだろう。中距離に戻れば前走以上の結果が期待できそうだ。
未勝利(阪神・芝1800メートル)の勝ちタイムが優秀。同日の2勝クラス・春日特別を上回る時計での快勝だった。使うごとの良化とともに、良馬場でようやく本来の力を発揮できたようだ。続くフィリーズレビューは未勝利とは距離もコースも違う条件。普通の馬なら流れに乗れずに終わっても仕方ないところで、本馬も前半の位置取りこそ後ろだったが、そこから3、4コーナーにかけて一気に進出。他馬に内から張られた分、外を回る形になったが、最後まで懸命に脚を使って勝ち馬と0秒4差の4着に入った。ロスがなければ上位馬ときわどい勝負になっていたはず。実績ある中距離で、今度こそ大舞台の切符をつかみたい。
牝3歳
調教師:吉岡辰弥(栗東)
前走の1勝クラス・君子蘭賞(阪神・芝1800メートル)はハナを切って後続を完封。新たな一面を見せるとともに、中距離適性の高さを見せた。ハナにはこだわっていないようだが、今回は開幕週の競馬。前に行ってのしぶとさは展開面を含めて軽視できない。
初勝利の後は健闘止まりの競馬が続いていたが、前走の1勝クラス・君子蘭賞で初めての逃げを試みて一発回答。藤岡佑介騎手の好判断が光ったが、それに応えた馬も立派だった。楽なペースで前半を走れていたとはいえ、後半600メートルのラップが11秒5、11秒2、11秒9。最後までバテておらず、身上のしぶとさがはっきり引き出された結果の逃げ切りと言える。母は現役時代にダート短距離で活躍。きょうだいも短距離にシフトしていったタイプが多いが、本馬は繊細な面こそあっても操縦性は良く、いい脚を長く使えるタイプに映る。中距離の先行馬として飛躍を遂げそうな予感あり。ならば重賞でも注目だ。
牝3歳
調教師:国枝栄(美浦)
前走のフェアリーSは10着に敗れたが、出遅れたうえに、4コーナーでは外へ逃避した馬の影響でバランスを崩すシーンがあった。明確に参考外と言っていいだろう。デビュー戦の勝ち方から重賞でも通用する素質を感じさせる馬。東京に替わって見直しが必要だ。
中段から鋭く抜けたデビュー戦の勝ち方が秀逸。エンジンのかかりこそ遅かったが、伸び出してからは雄大なフットワークで前との差を詰め、鮮やかに差し切った。見た目のインパクトもさることながら、後半600メートルのレースラップが11秒6、11秒5、11秒4と加速しているなかで差し切ったあたり、数字の裏づけも確かだ。中山が適コースかは微妙だが、前走のフェアリーS(10着)は4コーナーでスムーズさを欠いたのが全て。本来ならちょうど勝ち馬を追う形で競馬ができていたはずだ。今回は広い東京コース。血統から2000メートルの距離も問題なさそうで、ここまでの攻め量も豊富。力を存分に出せる材料がそろった。
牝3歳
調教師:清水久詞(栗東)
前走のフラワーC(7着)は、実戦2度目に加えて初の関東への長距離輸送。テンションやゲートの出は許容範囲内に見えたが、経験の差が出た印象だ。それでも、最後はいい伸び脚を見せていた。若さはあっても末脚の威力は本物。東京なら直線一気のシーンも十分見込めるだろう。
前走のフラワーC(7着)はデビュー戦同様に出遅れ、直線入り口では外から押し込められる場面。力を発揮できたとは思えない。何より、スローペースで流れて好位勢で決着したレース。そもそも展開が厳しかった面もある。それでも、後方から上がっていくときの手応えは楽で、重賞でも通用するだけの力量は垣間見えた。1頭だけ違う伸び脚を見せて勝ったデビュー戦の内容から、末脚はここに入っても上位のはず。東京なら、の思いは陣営も一致するところだろう。加えて、この厩舎らしく今回も調教をしっかりやれているのも推せる点。さらにパワーアップしている可能性もありそうだ。
(山下 健)
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