2020年の優勝馬コントレイルが無敗でクラシック三冠制覇を成し遂げたことは記憶に新しく、2021年の優勝馬エフフォーリアは秋に天皇賞(秋)と有馬記念で古馬を撃破してJRA賞年度代表馬に選出された。世代のトップクラスが集う注目のクラシック第一冠について、過去10年の結果を参考にレースの傾向を探ってみよう。
過去10年の単勝人気別成績を見ると、2019年のサートゥルナーリアと2020年のコントレイルは1番人気、2021年のエフフォーリアは2番人気と近年は上位人気馬の優勝が続いている。ただし、2016年から2018年は7番人気以下の馬が優勝しているほか、2020年は8番人気のガロアクリークが3着、2021年も同じく8番人気のタイトルホルダーが2着と、上位人気馬が勝利した際にも伏兵馬が3着以内に食い込んでいる。10番人気以下の馬は3着が1回あるのみなので軽視しても問題はなさそうだが、6番人気から9番人気あたりの馬の軽視は禁物だろう。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 3-1-1-5 | 30.0% | 40.0% | 50.0% |
2番人気 | 2-3-0-5 | 20.0% | 50.0% | 50.0% |
3番人気 | 1-2-3-4 | 10.0% | 30.0% | 60.0% |
4番人気 | 1-2-1-6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
5番人気 | 0-0-0-10 | 0% | 0% | 0% |
6番人気〜9番人気 | 3-2-4-31 | 7.5% | 12.5% | 22.5% |
10番人気以下 | 0-0-1-82 | 0% | 0% | 1.2% |
過去10年の前走別成績を調べると、エフフォーリアをはじめ5頭の優勝馬が共同通信杯から臨んでいた。また、最近は2歳GⅠからの直行で好走するケースも見られ、サートゥルナーリアとコントレイルはホープフルS以来の出走で優勝している。ホープフルSが皐月賞と同じ中山・芝2000メートルで行われるだけに、そこでの好走が皐月賞に直結するように思えるが、同じ舞台の弥生賞ディープインパクト記念から臨んだ馬は意外にも勝ち切れていない。近年はトライアル以外のレースから臨んだ馬の好走が増えている点に注意したい。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
共同通信杯 | 5-0-2-8 | 33.3% | 33.3% | 46.7% |
スプリングS | 2-1-3-33 | 5.1% | 7.7% | 15.4% |
ホープフルS | 2-0-0-1 | 66.7% | 66.7% | 66.7% |
毎日杯 | 1-0-0-9 | 10.0% | 10.0% | 10.0% |
弥生賞 | 0-5-2-32 | 0% | 12.8% | 17.9% |
朝日杯FS | 0-1-0-1 | 0% | 50.0% | 50.0% |
上記以外のJRA重賞 | 0-1-2-15 | 0% | 5.6% | 16.7% |
若葉S | 0-2-1-21 | 0% | 8.3% | 12.5% |
その他 | 0-0-0-23 | 0% | 0% | 0% |
また、前走の着順別成績では、過去10年の3着以内馬30頭中25頭は前走で2着以内に入っていた。前走で3着以下に敗れていた馬の中で皐月賞で3着以内に入った5頭のうち4頭は弥生賞ディープインパクト記念で3着もしくは4着、残る1頭は共同通信杯で5着と、いずれも主要な前哨戦で掲示板に載っていた馬だった。その他のレースで3着以下に敗れていた馬は割り引きが必要だろう。〔表3〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 8-7-5-50 | 11.4% | 21.4% | 28.6% |
2着 | 2-1-2-28 | 6.1% | 9.1% | 15.2% |
3着 | 0-0-2-21 | 0% | 0% | 8.7% |
4着 | 0-2-0-13 | 0% | 13.3% | 13.3% |
5着 | 0-0-1-5 | 0% | 0% | 16.7% |
6着以下 | 0-0-0-26 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬30頭中28頭にはJRA重賞での連対経験があった。予想は重賞で連対経験のある馬を中心に組み立てたい。なお、残る2頭もJRA重賞に出走したことがあり、そこで4着と掲示板には載っていた。さすがに重賞初挑戦で好走できるほどクラシックは甘くないようで、JRA重賞未出走の馬は〔0・0・0・24〕と苦戦を強いられている。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-8-10-88 | 8.6% | 15.5% | 24.1% |
なし | 0-2-0-55 | 0% | 3.5% | 3.5% |
過去10年の優勝馬は全馬がオープンクラスの芝1800メートル戦で連対経験があり、この経験があった馬は3着内率31.4%と好走率も高めの数値をマークしている。同コースで行われるGⅠのホープフルS組やトライアルの弥生賞ディープインパクト記念組が注目を集めることも多いが、オープンクラスの芝1800メートル戦での実績にも注目しておきたい。〔表5〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-5-7-48 | 14.3% | 21.4% | 31.4% |
なし | 0-5-3-95 | 0% | 4.9% | 7.8% |
2015年以降の優勝馬を見ると、新馬戦を勝利で飾っていた馬が4頭、新馬戦で敗れ未勝利戦を勝ち上がった馬が3頭と、デビュー戦での成績は問われないものの、全馬が初勝利を挙げた次のレースも勝利していた。連勝することによりローテーションに余裕ができ、7頭とも4戦以下という少ないキャリアで皐月賞に臨んできていた。この傾向に〔表4〕や〔表5〕の実績面を加味すれば、1着候補を絞り込めるのではないだろうか。〔表6〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 通算出走回数 | 初勝利後の次戦 |
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2015年 | ドゥラメンテ | 4戦 | セントポーリア賞1着 |
2016年 | ディーマジェスティ | 4戦 | 共同通信杯1着 |
2017年 | アルアイン | 4戦 | 千両賞1着 |
2018年 | エポカドーロ | 4戦 | あすなろ賞1着 |
2019年 | サートゥルナーリア | 3戦 | 萩S1着 |
2020年 | コントレイル | 3戦 | 東京スポーツ杯2歳S1着 |
2021年 | エフフォーリア | 3戦 | 百日草特別1着 |
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