牡4歳
調教師:鹿戸雄一(美浦)
大物と評される馬を送り出している父エピファネイアだが、これまでに4歳以上でGⅠを勝った産駒はいない。そのジンクスを打破できるかどうかも、今回の注目ポイントになるだろう。成長力を見せたいところだ。
有馬記念などGⅠ3勝をマークした昨年の活躍は記憶に新しいところ。同年度のJRA賞年度代表馬として新たな歴史を刻む2022年最初のレースが今回の大阪杯になる。能力の高さは誰もが知るところであり、トリッキーとされる中山コースを簡単に攻略してきた競馬センスの高さも特筆すべきもの。関西圏でのレースは初めてになるが、常に堂々とした佇まいの馬だけに、長距離輸送を苦にするシーンも想像しにくい。極端に水分を含んだ馬場状態の経験はないが、他の馬よりもパワーに秀でており、これも死角にはならないだろう。GⅠ4勝目の可能性は高い。
牡4歳
調教師:藤岡健一(栗東)
右回りを走るのは昨年4月の未勝利(阪神・芝2000メートル、1着)以来。調教では問題なく走れており、勝ち星を挙げていることからも問題はないはずだが、一応は気にしておきたい。馬体重が安定しているので、状態面の変動も小さいタイプだろう。
戦線に復帰した昨秋から5連勝。すい星のごとく現れたモーリス産駒のスピード馬は、前走の金鯱賞を1分57秒2のコースレコードで走り、昨年の大阪杯を制したレイパパレ、エリザベス女王杯を勝ったアカイイトのGⅠ馬2頭を一蹴。初の重賞制覇に箔を付けている。5連勝のうち4勝が逃げ切りだが、前半の貯金を生かしたレースではなく、ラスト3ハロンのどこかで必ず速い脚を使っている。そのレース運びは、“逃げながら、差す”という表現がぴったりだ。今回はさらに相手が強化されるが、これまでのレース内容から簡単に捕まることはないはずだ。
牝5歳
調教師:高野友和(栗東)
水が浮くほどの重馬場で勝った昨年の大阪杯のレース内容から、力の要る馬場状態をプラスにできる馬だろう。もちろん、レコードが出るような馬場コンディションでも問題ないタイプ。今回も道中の折り合い一つとなりそうだ。
デビューから無傷の5連勝で挑んだ昨年の大阪杯。コントレイル(3着)、グランアレグリア(4着)などの強敵を振り切ったパフォーマンスは素晴らしかった。しかし、その後の5戦では勝ち星を挙げられていない。この血統は、キャリアを積んで競馬を覚えるに連れて前向き過ぎる面が出てくる特徴があり、その傾向が昨秋のレースでは出ていたようだ。それでも陣営は2000メートル以上の距離にこだわり、調教でもテンションを上げ過ぎないようにするなどの工夫をしたことで、前走の金鯱賞では我慢の利いたレース運びで2着を確保。実力馬の復活を強く印象付けている。
牡4歳
調教師:杉山晴紀(栗東)
5勝全てが小倉競馬場という極端な成績。しかしながら、それは小倉に照準を絞って出走してきた背景があってのもの。同じ右回りでコーナー通過が4回の舞台なら、克服は可能かもしれない。今後も含めて大事な1戦になる。
昨夏の小倉で頭角を現したドゥラメンテ産駒の4歳馬で、2戦2勝の今シーズンの舞台もともに小倉競馬場。距離がこたえた印象だった昨年の菊花賞では7着に敗れていたが、自己条件に戻った今年初戦の3勝クラス・壇之浦ステークス(小倉・芝1800メートル)で差し切り勝ちを決めてオープンクラス入り。前走の小倉大賞典でも大外から一気に突き抜け、2度目の重賞挑戦であっさりと結果を出した。GⅢのハンデ戦から、超一流馬がそろうGⅠへと舞台が替わり、一緒に走る馬のレベルも格段に上がるが、まだまだ伸び盛りの4歳馬。チャンスは十分にあるはずだ。
牝5歳
調教師:中竹和也(栗東)
これまでの成績から、実戦を使いながら良化するイメージが強い馬。休み明けの前走も太めを感じる仕上がりではなかったが、2走目の今回は馬の雰囲気も大きく変わってくるはずだ。不良馬場での勝利があり、水分を含んだ馬場状態は得意な部類だろう。
昨年のエリザベス女王杯は10番人気での鮮やかな勝利だった。タフなレースに強いキズナ産駒の得意とする馬場コンディションと展開になり、2着も同じキズナ産駒のステラリア。好走の条件がそろったレースだったのは確かだろう。しかし、実際はそれだけではなく、着実な地力アップがあったからこそのGⅠ勝利と言えるはずだ。前走の金鯱賞は、不向きに思えた速い時計での決着でも大きく崩れず3着に好走し、あらためて地力強化を証明している。それまでよりも積極的なレース運びをした前走で得た自信は、今回の1戦にも繋がってくるだろう。
牡6歳
調教師:安田翔伍(栗東)
関西馬ながら、関東圏の競馬場で走ることが多かった馬。阪神での出走は2019年9月の1勝クラス(芝1600メートル、2着)以来となる。似たようなコース形態の中山は問題なくこなしているが、一応は頭に入れておきたい。
1勝クラスからの4連勝で目黒記念を制すなど、4歳の2020年春は飛ぶ鳥を落とす勢い。しかし、3着だった同年秋の京都大賞典の後に右後肢の骨折が判明し、11か月半という長い休養を挟むことになった。それが影響したのか復帰後の2戦は思うような結果を出せなかったが、前走のアメリカジョッキークラブCを豪快に差し切って復活をアピール。前走時は中間の調教から馬に前向きさが出ていたようで、その変化は陣営もコメントとして発信していた。完全に復調した現在の本馬なら、GⅠの大舞台でも引けを取ることはないはずだ。
せん7歳
調教師:西園正都(栗東)
展開の影響を受けやすいタイプ。自分のリズムで走るだけでなく、瞬発力を必要としない状況へと持ち込みたいところだ。以前は左回りでの好走が多かった馬だけに、右回りの京都記念制覇は評価できる。
半兄にドバイワールドC(G1・UAE)を勝ったアフリカンストーリー(父Pivotal)がいる血統馬で、早い段階から大きな期待を背負っていたが、父ステイゴールド譲りの晩成タイプだったのか、7歳2戦目で挑んだ前走の京都記念が初めての重賞勝利。7歳となって初のG1制覇を果たした父のように、本馬もこの年齢からの活躍を期待していいだろう。先行して粘り込むイメージの強い馬だが、実は逃げる形の競馬をしたのは前走が初めて。スピードタイプがそろった今回のメンバー構成なら、無理な競り合いを避け、好位から競馬を進めることもできるはずだ。
牡5歳
調教師:友道康夫(栗東)
ディープインパクト産駒でも身のこなしが硬いタイプ。しかし、昨秋の2戦はそれを感じさせなかった。この状態に戻っているかどうかが最大のポイントだろう。阪神・芝2000メートルは〔2・1・0・0〕と相性のいい舞台だ。
キャリア14戦の成績は〔5・4・2・3〕。最近の3走では3着以内を外しているが、掲示板(5着以内)を外したレースも3走前の天皇賞(秋)での6着だけで、常に堅実な成績を残せるタイプだ。前々走のアメリカジョッキークラブCは、栗東トレーニング・センターに帰厩した段階から動きに硬さがあって5着。直線で猛然と追い込んで4着をキープした前走の金鯱賞も、まだ絶好調には至っていない雰囲気だった。強力メンバーを相手に積極的な競馬を展開した天皇賞(秋)の頃の状態に戻っていれば、この相手でも引けを取ることはないはずだ。
(松浪 大樹)
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