牡6歳
調教師:大竹正博(美浦)
前走の京都金杯で、昨年のエプソムCに続く重賞2勝目を挙げた。マイルの勝利はデビュー戦以来だったが、6歳にして距離に柔軟性が出たのは大きな強調点と言える。何より57.5キログラムを背負っての勝利。さらに力をつけていることは間違いない。
前走の京都金杯は出遅れて前半は後方追走。直線勝負となったが、狭い内へと進路を選択し、前が開いてからは一気に伸びて鮮やかな追い込み勝ちを決めた。3歳時にプリンシパルS(リステッド・東京・芝2000メートル)を勝ち、昨年はエプソムCで重賞を勝つなど中距離での実績が目立っていたが、末脚の破壊力を生かすという点ではマイルこそ最適という可能性もありそうだ。その実績から左回り巧者のイメージを持たれやすいが、新馬勝ちは中山のマイル。連勝を決めた2戦目も中山・芝2000メートル。コース替わりは何ら問題ないだろう。今回は58キログラムのトップハンデを背負うが、裏を返せば気になる点はそれくらい。引き続き好勝負になるはずだ。
牡8歳
調教師:池添学(栗東)
前走の東風S(リステッド・中山・芝1600メートル)は、早めに先頭へ並びかける強気の競馬で1着。8歳にしてオープンクラス初勝利となった。本レースは3年連続の出走。一昨年は東風S12着から2着、昨年は東風S2着から3着。東風Sを勝って臨む今年はさらに上の結果が期待できる。
関西馬ながらオープンクラスに上がった6歳以降は中山マイルを狙って使われ、〔1・2・3・1〕の成績。大敗したのは1度だけという巧者ぶりを見せている。以前はしぶとさを見せつつもゴール前でかわされるケースが目立っていたが、前走の東風S(リステッド)は早め先頭の競馬でも最後までしっかりとした足取り。着差こそ1/2馬身だったが、危なげなく押し切った。暑さに弱いタイプで、夏場はしっかりと休養に充てており、8歳でも目下充実。むしろ前走の勝ちっぷりからは、さらに力をつけた印象すら受ける。中間の調教も活気十分。引き続き身上の先行力を生かせれば、念願の重賞タイトルに手が届きそうだ。
牡4歳
調教師:宮田敬介(美浦)
デビュー2戦目で京成杯を勝ち、皐月賞では他馬と接触するシーンがありながら6着に入った。初の中山・芝1600メートルだった前走の東風S(リステッド)は、後手を踏んだうえに展開も向かなかった。それでも、勝ち馬から0秒3差の5着まで追い上げた点が力の証だろう。
転厩を経て臨んだ年明け初戦の白富士S(リステッド・東京・芝2000メートル)は3着。出遅れに加えて大幅な馬体増もあったなかで勝ち馬ジャックドールに0秒3差なら、及第点と言えるだろう。レシステンシア(父ダイワメジャー)の半弟。そのあたりも考慮されて距離短縮した前走の東風S(リステッド)は、1番人気の支持を集めたが5着まで。とはいえ、致命的とも言える位置取りから上がり3ハロン33秒6(推定)の脚を使って勝ち馬から0秒3差まで押し上げたのは、高い能力があればこそ。少なくとも使った分の良化は明確にうかがえた。スタートを決めて手ごろな位置での追走がかなえば、差し切りのシーンもありそうだ。
牡6歳
調教師:北出成人(栗東)
前走の京都金杯は好位で力みつつの追走だったが、直線は鞍上の叱咤にしっかりと応え、勝ったザダルから0秒1差の3着。あらためて力のあるところを見せた。強敵ぞろいだった3走前の毎日王冠も勝ち馬から0秒3差の5着。再度GⅢなら上位争いになる。
3勝クラス勝ちとオープンクラス初勝利だった朱鷺S(リステッド・新潟)が芝1400メートル。それゆえ短距離向きと思われがちだが、初勝利は芝1600メートル、2勝目は芝1700メートルで挙げており、ロードカナロア産駒らしい距離適性の幅の広さが特徴と言える。実績上で特筆すべきは毎日王冠だろう。シュネルマイスター(1着)、ダノンキングリー(2着)らを相手に真っ向勝負を挑んで、直線は上位争いを演じる場面。結果5着とはいえ、強敵に伍しての健闘は高く評価でき、優に重賞を勝てるだけの力を示したとみていいだろう。中山では過去8着、7着、5着の成績だが、力をつける前のもの。今なら立ち回りのうまさを存分に生かせそうだ。
牡6歳
調教師:矢作芳人(栗東)
前走の東風S(リステッド・中山・芝1600メートル)は58キログラムの斤量を背負っての2着。勝ったボンセルヴィーソが57キログラムで、1/2馬身差なら本馬も同等の評価をしていいだろう。中山マイルの適性を再認識できる結果でもあった。ここは逆転を期す1戦になる。
昨年1月のニューイヤーS(リステッド・中山・芝1600メートル)を勝った後はスプリント路線へ。阪急杯2着、京王杯スプリングC4着、函館スプリントS3着と評価できる力走を続けた。距離適性が判然としないところはともかく、これらの好走が示すように、GⅢでは実績上位とみていいだろう。前走の東風S(リステッド)で久しぶりに連対(2着)し、立て直しに成功。ハミを換えた効果もあったようだ。使いつつ良くなるタイプでもあり、中2週の臨戦は過去に1着、3着、2着と好成績。今回も詰まったレース間隔ながら、栗東坂路で一杯に追われて4ハロン52秒台をマークしている。前走以上の状態にあるとみてよさそうだ。
牝4歳
調教師:黒岩陽一(美浦)
前走の3勝クラス・節分S(東京・芝1600メートル)は後続を離して逃げて余力十分。直線は外ラチに近いところまで横移動を見せたが、まったく危なげない勝利だった。素質は2歳時から高く評価されていた馬。中山へのコース替わり、相手強化でも、力を出し切れば通用していい。
耳目を集めたのが新潟のデビュー戦。3コーナー手前で先頭に立つと、そこから制御が難しくなり、直線は外へ大きく逃避。外ラチ沿いをぴったりと走る格好になり、結果押し切りを果たしたものの調教再審査を課された。東京の2戦目は一転、最後方からの競馬で文字通りのしんがり一気を決めて2着馬に5馬身差。気性面はともかく、2歳時の2連勝の時点でかなりの素質を示していた。この血統から、伸び悩んだ時期はダートに使ったこともあったが、当時は適性よりも力を出せる態勢になかったようだ。右回りを使うのはフラワーC(10着)以来。どんな走りを見せるのか、注目だ。
牡5歳
調教師:木村哲也(美浦)
マイルを使い出して成績が安定。ハナ差の2着だった前走の洛陽S(リステッド・阪神・芝1600メートル)はもちろん、勝ち馬から0秒6差の7着に踏ん張った前々走のマイルチャンピオンシップも評価できる。気持ちに課題がある馬。今回は間隔を詰めて使う点が鍵になりそうだ。
昨年の中山金杯17着後に喉を手術して、戦列復帰後はマイル路線へ。富士S5着、マイルチャンピオンシップ7着、洛陽S(リステッド)2着と力走を見せている。富士S、マイルチャンピオンシップはともにハイレベルなメンバー相手。洛陽Sもリステッドとはいえ優秀な時計で走っていた。復帰後は勝利に手が届いていないとはいえ、それぞれに見どころあり。もとより共同通信杯の勝ち馬で、皐月賞でも6着に入った素質馬。状態とメンタルがかみ合えば、この程度は走れて当然だったのだろう。まだまだ伸びる余地を残しており、さらなるパワーアップも期待できる。ただ、依然として難しさを内包。当日の気配は忘れずにチェックしたい。
牡6歳
調教師:池添学(栗東)
前走の東京新聞杯は勝ち馬から離された8着。引き続きスタートが課題だが、3走前には今回と同じ条件の京成杯オータムHを勝利。昨年の本レースの2着馬でもある。舞台替わりで一変がありそうだ。
前走の東京新聞杯はスタートで遅れて最後方から。位置取りのロスもさることながら追い上げ始めたあたりで掛かり気味になり、リズム良く走れなかった。休養明けで状態が本物でなかったということもありそうだ。元来ややムラな傾向もあり、参考外の一戦とみていいのではないか。中間は栗東坂路で熱心な調教を消化しており、1度使っての良化が見込めそう。何と言っても、過去に2度走って2着、1着の中山マイルに舞台が替わる点は大きな強調材料になる。京成杯オータムHは例によって後手を踏みながらも、ラストは素晴らしい伸び脚で勝利。一瞬の脚が要求される中山向きの追い込み馬という見方もできそうだ。ここでも軽視はできない。
(山下 健)
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