2021年の阪神大賞典で自身2度目の重賞制覇を果たしたディープボンドは、次走の天皇賞(春)で2着に入ったほか、下半期にはフランスへ遠征しG2のフォワ賞を制した。なお、グレード制が導入された1984年から2019年にかけては、単勝1番人気馬が〔20・8・4・4〕(3着内率88.9%)とかなり堅実な成績を残していたものの、2020年と2021年は共に7着と結果を残せていない。2022年の古馬長距離戦線を占う重要な一戦について、過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中29頭は、2200メートル以上のJRA重賞において4着以内となった経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率3.1%と苦戦している。2200メートル以上のJRA重賞で4着以内に入ったことがない馬は、評価を下げるべきだろう。〔表1〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 10-9-10-45 | 13.5% | 25.7% | 39.2% |
なし | 0-1-0-31 | 0% | 3.1% | 3.1% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中14頭は、前走が国内、かつ前走の4コーナー通過順が10番手以下だった。該当馬は3着内率が42.4%と優秀な水準に達している。前走で後方からレースを進めていた馬は、上位に入る可能性が比較的高いとみてよさそうだ。〔表2〕
前走の4コーナー通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
9番手以内 | 5-6-5-56 | 6.9% | 15.3% | 22.2% |
10番手以下 | 5-4-5-19 | 15.2% | 27.3% | 42.4% |
一方、前走が国内、かつ前走の4コーナー通過順が9番手以内だった馬のうち、前走の着順が4着以下だった馬は、3着内率が11.4%にとどまっている。前走で4コーナーを9番手以内で通過しながら上位に入れなかった馬は、過信禁物とみておきたい。〔表3〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 5-3-3-17 | 17.9% | 28.6% | 39.3% |
4着以下 | 0-3-2-39 | 0% | 6.8% | 11.4% |
過去8年の3着以内馬延べ24頭中18頭は、前年以降のJRA・GⅠにおいて11着以内となった経験がある馬だった。該当馬は3着内率が51.4%と優秀な水準に達している。2021年のGⅠで11着以内となった経験のある馬は、高く評価するべきだろう。〔表4〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 6-6-6-17 | 17.1% | 34.3% | 51.4% |
なし | 2-2-2-44 | 4.0% | 8.0% | 12.0% |
一方、前年以降のJRA・GⅠにおいて11着以内となった経験がなかった馬のうち、前走の着順が4着以下だった馬は、3着内率が5.4%にとどまっている。2021年のGⅠで11着以内がなく、前走でも上位に入れなかった馬は、割り引きが必要だ。〔表5〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3着以内 | 2-2-0-9 | 15.4% | 30.8% | 30.8% |
4着以下 | 0-0-2-35 | 0% | 0% | 5.4% |
過去8年の3着以内馬延べ24頭中21頭は、前走の距離が2000メートルから2500メートルだった。一方、1800メートル以下だった馬が3着以内に入った例はなく、2600メートル以上だった馬も3着内率が13.0%にとどまっている。臨戦過程を比較する際は、前走の距離にも注目しておきたい。〔表6〕
前走の距離 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1800m以下 | 0-0-0-8 | 0% | 0% | 0% |
2000m〜2500m | 8-7-6-33 | 14.8% | 27.8% | 38.9% |
2600m以上 | 0-1-2-20 | 0% | 4.3% | 13.0% |
過去8年の優勝馬延べ8頭は、いずれも6歳以下だった。7歳以上で優勝を果たしたのは、2010年のトウカイトリック(8歳)が最後である。7歳以上の馬は勝つ可能性が低いとみるべきだろう。なお、この8頭は2200メートル以上のJRA重賞において2着以内に入った経験があった点、前走の距離が2000メートルから2500メートルだった点も共通している。〔表1〕〔表6〕などで挙げた傾向も重視したいところだ。〔表7〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 年齢 | 2200m以上のJRA重賞における最高着順 | 前走の距離 |
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2014年 | ゴールドシップ | 5歳 | 1着(2013年宝塚記念ほか) | 2500m |
2015年 | ゴールドシップ | 6歳 | 1着(2014年宝塚記念ほか) | 2200m |
2016年 | シュヴァルグラン | 4歳 | 2着(2016年日経新春杯) | 2400m |
2017年 | サトノダイヤモンド | 4歳 | 1着(2016年有馬記念ほか) | 2500m |
2018年 | レインボーライン | 5歳 | 2着(2016年菊花賞) | 2500m |
2019年 | シャケトラ | 6歳 | 1着(2019年アメリカJCCほか) | 2200m |
2020年 | ユーキャンスマイル | 5歳 | 1着(2019年ダイヤモンドS) | 2400m |
2021年 | ディープボンド | 4歳 | 1着(2020年京都新聞杯) | 2000m |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。