冬の小倉の名物ハンデGⅢ。ここ4年連続で2桁人気の馬が3着以内に入っている。前走で2桁着順に敗れていたような馬の巻き返しも頻繁に起こり、予想するのが難しい重賞ゆえに、過去のデータを参考にしたいところ。今回は過去10年の結果から、好走馬に共通するポイントを抽出してみた。
一般的に、古馬重賞での好走が多いのは4歳馬と5歳馬で、6歳以上になると好走率は大きく下がるもの。しかし、小倉大賞典はそのセオリーが当てはまらず、過去10年で3着内率が最も高いのは7歳馬だ。しかも、2019年に最低人気(14番人気)の9歳馬サイモンラムセスが3着、2020年に10番人気の7歳馬ドゥオーモが2着、2021年には11番人気の7歳馬テリトーリアルが優勝しており、近年は7歳以上の馬が毎年上位に食い込んでいる。〔表1〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4歳 | 3-1-1-17 | 13.6% | 18.2% | 22.7% |
5歳 | 3-2-6-32 | 7.0% | 11.6% | 25.6% |
6歳 | 2-2-0-35 | 5.1% | 10.3% | 10.3% |
7歳 | 2-3-2-18 | 8.0% | 20.0% | 28.0% |
8歳以上 | 0-2-1-23 | 0% | 7.7% | 11.5% |
過去10年の出走馬のハンデは最軽量が51キログラムで最重量が58キログラム。好走率が高くなっているのは57キログラム以上のハンデを課された馬で、トップハンデとなった馬も〔3・2・1・11〕(3着内率35.3%)と、そこそこ優秀な成績を残している。小倉大賞典に関しては重いハンデを嫌う必要はなく、それだけの実績を残している馬を高く評価すべきだろう。〔表2〕
負担重量 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
54kg以下 | 1-3-2-43 | 2.0% | 8.2% | 12.2% |
55kg | 2-1-4-28 | 5.7% | 8.6% | 20.0% |
56kg、56.5kg | 3-2-1-31 | 8.1% | 13.5% | 16.2% |
57kg、57.5kg | 3-3-3-20 | 10.3% | 20.7% | 31.0% |
58kg | 1-1-0-3 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
過去10年の馬番別成績を調べると、1番から8番の馬が8勝を挙げているのに対し、9番から16番の馬は2勝どまり。連対率や3着内率にも差があるので、軸馬は馬番が1番から8番となった馬から選びたい。〔表3〕
馬番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜8番 | 8-6-4-62 | 10.0% | 17.5% | 22.5% |
9〜16番 | 2-4-6-63 | 2.7% | 8.0% | 16.0% |
格上挑戦や、オープンクラス昇級初戦となった馬の好走も見られる重賞だが、3着以内馬のほとんどは前走で重賞を使われていた馬たち。その中でも、前走がGⅢだった馬が5勝を挙げているが、そのうち4勝は中山金杯組によるものだった。好相性のローテーションとして、今年も該当馬がいるか確認したい。〔表4〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ | 1-0-1-6 | 12.5% | 12.5% | 25.0% |
GⅡ | 1-4-2-16 | 4.3% | 21.7% | 30.4% |
GⅢ | 5-4-6-70 | 5.9% | 10.6% | 17.6% |
オープン特別 | 1-1-1-23 | 3.8% | 7.7% | 11.5% |
条件クラス | 2-1-0-9 | 16.7% | 25.0% | 25.0% |
地方のレース | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
馬体重の増減別に成績をまとめると、前走と馬体重が同じだった馬の好走率がやたらと高い。調整が難しい冬場の、しかも遠征や滞在競馬が伴うローカル開催でもあり、体調が安定して馬体重の変動がない馬が好走しやすいのだろうか。ちなみに、2012年10番人気2着のスマートギア、2018年15番人気2着のクインズミラーグロ、2021年11番人気1着のテリトーリアルも前走から馬体重の増減がなかった。〔表5〕
馬体重前走比 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
減少 | 4-5-4-60 | 5.5% | 12.3% | 17.8% |
増減なし | 2-4-1-13 | 10.0% | 30.0% | 35.0% |
増加 | 4-1-5-52 | 6.5% | 8.1% | 16.1% |
過去10年の優勝馬10頭のうち9頭は、前年に重賞3着以内の実績があった。唯一の例外となる2018年の優勝馬トリオンフは、前年に重賞に出走していなかった。また、これら10頭のうち9頭には芝1800メートル以上のレースで3勝以上の実績があった。優勝馬を予想する際の目安にしてもらいたい。〔表6〕
(姫園 淀仁)
年度 | 優勝馬 | 前年の主な重賞実績 | 芝1800m以上での勝利数 |
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2012年 | エーシンジーライン | 朝日チャレンジC2着 | 4勝 |
2013年 | ヒットザターゲット | 新潟大賞典1着 | 6勝 |
2014年 | ラストインパクト | 青葉賞3着 | 4勝 |
2015年 | カレンブラックヒル | ダービー卿チャレンジT1着 | 1勝 |
2016年 | アルバートドック | 京都新聞杯3着 | 3勝 |
2017年 | マルターズアポジー | 福島記念1着 | 5勝 |
2018年 | トリオンフ | 出走なし | 4勝 |
2019年 | スティッフェリオ | 福島記念1着 | 6勝 |
2020年 | カデナ | 小倉記念2着 | 3勝 |
2021年 | テリトーリアル | 福島記念3着 | 6勝 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。