クラシックの登竜門として2月の京都を沸かせてきたきさらぎ賞だが、京都競馬場の整備工事の影響により、昨年に続き今年も中京競馬場の芝2000メートルで行われる。開催場と距離が例年とは違うが、クラシックを目指す馬が集うことに変わりはない。今回は過去10年のデータから好走馬の共通点を探ってみた。
フルゲートになることが少ない重賞であり、近年の結果を振り返っても大波乱と言えるような結果となった年はない。過去10年で馬連万馬券はゼロ、馬単と3連複の万馬券も2019年の一度だけだ。ちなみに、過去10年で3着以内に入った馬は全て7番人気以内だった。ただ、上位人気馬が圧倒しているわけではなく、7番人気以内の馬に満遍なくチャンスがある一戦と言えそうだ。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
7番人気以内 | 10-10-10-40 | 14.3% | 28.6% | 42.9% |
8番人気以下 | 0-0-0-22 | 0% | 0% | 0% |
過去10年のきさらぎ賞では、早生まれの馬の好走率がやや高い。中でも、2月生まれの馬の勝率が21.7%とかなり高く、その中には2013年6番人気1着タマモベストプレイ、2017年6番人気1着アメリカズカップ、2020年7番人気1着コルテジアといった低評価を覆して優勝した馬が含まれている点に注目したい。〔表2〕
誕生月 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1月 | 1-0-2-6 | 11.1% | 11.1% | 33.3% |
2月 | 5-3-1-14 | 21.7% | 34.8% | 39.1% |
3月 | 2-5-4-16 | 7.4% | 25.9% | 40.7% |
4月 | 2-2-1-19 | 8.3% | 16.7% | 20.8% |
5月 | 0-0-2-7 | 0% | 0% | 22.2% |
過去10年の通算出走数別成績で好走率が高いのは、キャリア2戦、3戦の馬。昨年は、キャリア3戦のラーゴム、ヨーホーレイク、ランドオブリバティが、1着から3着を独占した。キャリア1戦の馬は14頭(全て新馬戦1着からの臨戦)出走したが、好走率はそこまで高くない。むしろ、2013年1番人気8着のリグヴェーダ、2018年1番人気9着のダノンマジェスティのように、上位人気に応えられなかった馬もいるので注意したい。〔表3〕
通算出走数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1戦 | 1-1-0-12 | 7.1% | 14.3% | 14.3% |
2戦 | 4-3-1-12 | 20.0% | 35.0% | 40.0% |
3戦 | 3-4-6-10 | 13.0% | 30.4% | 56.5% |
4戦 | 1-2-2-9 | 7.1% | 21.4% | 35.7% |
5戦 | 1-0-1-5 | 14.3% | 14.3% | 28.6% |
6戦以上 | 0-0-0-14 | 0% | 0% | 0% |
きさらぎ賞は主に2勝馬と1勝馬によるレースになることが多く、どちらが信頼できるかというと、圧倒的に2勝馬である。なお、1勝馬で3着以内に入った17頭のうち14頭は、デビューからの3着内率が66.7%以上(3回に2回以上の割合で3着以内)だった。1勝馬の取捨は3着内率を目安にしたい。〔表4〕
勝利数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2勝 | 6-5-2-7 | 30.0% | 55.0% | 65.0% |
1勝以下 | 4-5-8-55 | 5.6% | 12.5% | 23.6% |
過去10年の優勝馬はいずれも前走で1600メートルか2000メートルのレースを使われていた。また、前走がGⅠだった2017年のアメリカズカップを除く9頭は、全て前走で3着以内に入っていた。これらに加え、単勝7番人気以内、1月から4月生まれ、キャリア5戦以内、といった〔表1〕から〔表3〕までの条件を満たしているかどうかをチェックしていけば、かなり絞り込めるのではないだろうか。〔表5〕
(姫園 淀仁)
年度 | 優勝馬 | 前走 | ||
---|---|---|---|---|
2012年 | ワールドエース | 若駒S | 2000m | 2着 |
2013年 | タマモベストプレイ | シンザン記念 | 1600m | 3着 |
2014年 | トーセンスターダム | 京都2歳S | 2000m | 1着 |
2015年 | ルージュバック | 百日草特別 | 2000m | 1着 |
2016年 | サトノダイヤモンド | 2歳500万下 | 2000m | 1着 |
2017年 | アメリカズカップ | 朝日杯FS | 1600m | 9着 |
2018年 | サトノフェイバー | 3歳新馬 | 2000m | 1着 |
2019年 | ダノンチェイサー | こうやまき賞 | 1600m | 1着 |
2020年 | コルテジア | シンザン記念 | 1600m | 3着 |
2021年 | ラーゴム | 京都2歳S | 2000m | 2着 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。