ホープフルSは、前身であるラジオNIKKEI杯2歳Sの時代からダービー馬ロジユニヴァースや皐月賞馬ヴィクトワールピサ、菊花賞馬エピファネイアといったビッグネームが優勝馬に名を連ね、クラシックの登竜門として知られていた。場所を中山競馬場に移し、ホープフルSに名前を変えてからも日本ダービー馬レイデオロ(2016年)や皐月賞馬サートゥルナーリア(2018年)、三冠馬コントレイル(2019年)がここでGⅠ初制覇を果たしている。今回はGⅠに昇格した2017年以降の4回を参考に、レースの傾向を探ってみたい。
GⅠに格上げされた2017年以降はいずれも単勝1番人気馬が優勝しており、2着は2番人気から4番人気の馬だった。単勝5番人気以下の馬が3着以内に入ったのは2017年の一度だけ。2018年以降は3連単が60倍未満の堅い決着が続いている。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 4-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
2番人気 | 0-1-1-2 | 0% | 25.0% | 50.0% |
3番人気 | 0-2-1-1 | 0% | 50.0% | 75.0% |
4番人気 | 0-1-1-2 | 0% | 25.0% | 50.0% |
5番人気 | 0-0-0-4 | 0% | 0% | 0% |
6〜9番人気 | 0-0-1-15 | 0% | 0% | 6.3% |
10番人気以下 | 0-0-0-22 | 0% | 0% | 0% |
過去4年の前走別成績を見ると、3着以内馬12頭中9頭が前走でもオープンクラスのレースに出走していた。GⅠ昇格に伴って出走馬のレベルが上がったためか、GⅡとして行われた2014年から2016年に3着以内馬9頭中8頭を占めた新馬・未勝利組および1勝クラス組は苦戦を強いられている。前走がオープンクラスのレースではなかった馬は、評価を下げた方がよさそうだ。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
重賞 | 3-1-1-11 | 18.8% | 25.0% | 31.3% |
オープン特別 | 1-2-1-5 | 11.1% | 33.3% | 44.4% |
1勝クラス | 0-1-1-13 | 0% | 6.7% | 13.3% |
新馬 | 0-0-1-5 | 0% | 0% | 16.7% |
未勝利 | 0-0-0-11 | 0% | 0% | 0% |
地方のレース | 0-0-0-1 | 0% | 0% | 0% |
なお、過去4年の3着以内馬は12頭中11頭が前走を勝っての参戦だった。残る1頭となる2017年の優勝馬タイムフライヤーは重賞2着からの臨戦で、前走で3着以下だった馬が馬券に絡んだことはない。前走がオープンクラスのレースであっても、連対できていなかった馬は割り引いて考える必要がありそうだ。〔表3〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 3-4-4-27 | 7.9% | 18.4% | 28.9% |
2着 | 1-0-0-4 | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
3着以下 | 0-0-0-15 | 0% | 0% | 0% |
過去4年の騎手別成績で、前走と同じ騎手だった馬と乗り替わりとなった馬の成績を比較すると、勝率および3着内率は前走と同じ騎手だった馬が上位となっているが、3着以内馬の頭数は乗り替わりの馬もさほど差はない。ただし、2019年の優勝馬コントレイルをはじめ、乗り替わりで3着以内に入った5頭のうち4頭は、2走前に今回と同じ騎手が騎乗していた。いわゆるテン乗り(初騎乗)となる騎手と臨んだ馬は〔0・1・0・21〕という成績で、3着内率が4.5%にとどまっている。乗り替わりで臨む馬は、以前にその騎手が騎乗したことがあったかどうかまでチェックしたい。〔表4〕
騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
前走と同じ騎手 | 3-1-3-22 | 10.3% | 13.8% | 24.1% |
乗り替わり | 1-3-1-24 | 3.4% | 13.8% | 17.2% |
距離実績に注目すると、過去4年の3着以内馬12頭中8頭は、芝1800メートル以上のレースを2勝以上していた。該当馬は2019年、2020年と2年連続で3着以内を独占しており、3着内率も47.1%と高い数値をマークしている。一方、芝1800メートル以上のレースの勝利経験がない馬で3着以内に入ったのは、2017年2着のジャンダルムだけ。中距離実績は必要不可欠と考えた方がよさそうだ。〔表5〕
勝利数 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2勝以上 | 3-2-3-9 | 17.6% | 29.4% | 47.1% |
1勝 | 1-1-1-29 | 3.1% | 6.3% | 9.4% |
0勝 | 0-1-0-8 | 0% | 11.1% | 11.1% |
過去4年の3着以内馬12頭はいずれもキャリア4戦以下で、3着以下に敗れた経験のない馬だった。経験が浅い2歳馬のレースだけに、これまで出走してきたレースで、常に能力の高さを見せ続けてきたような馬を重視したい。〔表6〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 0-0-0-28 | 0% | 0% | 0% |
なし | 4-4-4-18 | 13.3% | 26.7% | 40.0% |
過去4年の優勝馬のうち、2017年のタイムフライヤーを除く3頭は、デビューから無敗で臨んできた馬だった。また、タイムフライヤーを含め、過去4年の優勝馬はいずれも芝1800メートルの重賞かオープン特別を勝利していた。優勝馬を予想する際も安定感と中距離実績を重視すべきといえそうだ。〔表7〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 通算成績 | オープンクラスでの勝ち鞍 |
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2017年 | タイムフライヤー | 4戦2勝 | 萩S(芝1800m) |
2018年 | サートゥルナーリア | 2戦2勝 | 萩S(芝1800m) |
2019年 | コントレイル | 2戦2勝 | 東京スポーツ杯2歳S(芝1800m) |
2020年 | ダノンザキッド | 2戦2勝 | 東京スポーツ杯2歳S(芝1800m) |
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