昨年のカペラSで2着に入ったレッドルゼルは、今春の根岸Sで重賞初制覇を果たし、秋にはJBCスプリントでJpnⅠ初制覇を果たした。今後のダート短距離戦線を占う重要な一戦について、今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、前走の着順が9着以内だった。一方、10着以下もしくは競走中止だった馬は3着内率9.1%と苦戦しており、2016年以降の過去5年に限ると〔0・0・1・24〕(3着内率4.0%)である。前走で10着以下に敗れていた馬は評価を下げるべきだろう。〔表1〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
9着以内 | 9-9-8-88 | 7.9% | 15.8% | 22.8% |
10着以下、競走中止 | 1-1-2-40 | 2.3% | 4.5% | 9.1% |
なお、2016年以降の出走馬のうち、前走が海外のレースだった馬を除いて前走の4コーナーの通過順別成績を調べると、3着以内馬延べ15頭はいずれも前走の4コーナーの通過順が10番手以内だった。前走好走馬であっても、後方からレースを進めていた馬は割り引きが必要だ。〔表2〕
前走の4コーナーの通過順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
10番手以内 | 5-5-5-45 | 8.3% | 16.7% | 25.0% |
11番手以下、競走中止 | 0-0-0-18 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中28頭は、牡・せん馬だった。一方、牝馬は3着内率9.5%と苦戦している。3着以内に入ったのは、2011年1着のケイアイガーベラと2016年3着のコーリンベリーのみである。今後も牝馬は過信禁物とみておきたい。〔表3〕
性 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡・せん | 9-10-9-109 | 6.6% | 13.9% | 20.4% |
牝 | 1-0-1-19 | 4.8% | 4.8% | 9.5% |
過去5年の3着以内馬延べ15頭中12頭は、前走との間隔が中3週以上だった。一方、中2週以内だった馬は3着内率10.3%とやや苦戦している。臨戦過程に余裕がある馬を重視すべきだろう。〔表4〕
前走との間隔 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中2週以内 | 2-1-0-26 | 6.9% | 10.3% | 10.3% |
中3週以上 | 3-4-5-39 | 5.9% | 13.7% | 23.5% |
なお、前走との間隔が中2週以内だった馬のうち、前走の着順が3着以下だった馬は全て4着以下に敗れている。臨戦過程に余裕がなく、直近のレースで連対できなかった馬は、苦戦する可能性が高いようだ。〔表5〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2着以内 | 2-1-0-4 | 28.6% | 42.9% | 42.9% |
3着以下 | 0-0-0-22 | 0% | 0% | 0% |
過去5年の3着以内馬延べ15頭中10頭は、JRAのオープンクラスのレースにおいて“1着、かつ上がり3ハロンタイム(推定)順位が3位以内”となった経験のある馬だった。該当馬は3着内率が34.5%と優秀な水準に達している。末脚を生かす競馬でオープンクラスのレースを勝ったことがある馬は高く評価したい。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 3-4-3-19 | 10.3% | 24.1% | 34.5% |
なし | 2-1-2-46 | 3.9% | 5.9% | 9.8% |
なお、JRAのオープンクラスのレースにおいて“1着、かつ上がり3ハロンタイム(推定)順位が3位以内”となった経験がなかった馬のうち、年齢が5歳以上の馬は3着内率2.9%と苦戦している。この経験を持たない5歳以上の馬は、評価を下げるべきだろう。〔表7〕
年齢 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4歳以下 | 2-1-1-12 | 12.5% | 18.8% | 25.0% |
5歳以上 | 0-0-1-34 | 0% | 0% | 2.9% |
過去5年の優勝馬延べ5頭は、いずれも年齢が4歳以下だった。たとえ実績上位であっても、5歳以上の馬は割り引きが必要だ。また、この5頭は前走の着順が9着以内だった点、前走の4コーナーの通過順が10番手以内だった点、牡・せん馬だった点も共通している。〔表1〕〔表2〕〔表3〕で挙げた傾向も重視したい。〔表8〕
(伊吹 雅也)
年度 | 優勝馬 | 年齢 | 前走の着順 | 前走の4コーナーの通過順 | 性別 |
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2016年 | ノボバカラ | 4歳 | 9着 | 3番手 | 牡 |
2017年 | ディオスコリダー | 3歳 | 1着 | 7番手 | 牡 |
2018年 | コパノキッキング | 3歳 | 1着 | 5番手 | せん |
2019年 | コパノキッキング | 4歳 | 2着 | 先頭 | せん |
2020年 | ジャスティン | 4歳 | 8着 | 10番手 | 牡 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。