牡5歳
調教師:安田翔伍(栗東)
今回と同舞台で行われた前走のオープン特別・マリーンSで2着に好走。函館・ダート1700メートルでは3戦連続で連対を果たしており、舞台適性の高さが明確な武器になる。近走は脚質に幅も出てきて、充実ぶりが際立つ。
前々走のオープン特別・アハルテケS(東京・ダート1600メートル、1着)で状態面が急上昇。4コーナー10番手から鋭く馬群を割って抜け出した。騎乗した横山和生騎手は「前走(マーチS4着)とは比べものにならないくらい出来が良かったです。直線はどこからでも割っていける自信がありました」と胸を張った。前走のオープン特別・マリーンSは、道中で早めにポジションを押し上げる強気の競馬で2着を確保。前で運んだスワーヴアラミス(1着)とはわずかハナ差だったが、勝ちに等しい内容だった。主戦の横山和生騎手が付きっきりで調教をつけているこの中間も好調をキープ。前走のような競馬ができれば、小回りコースでも不安は少ない。
せん9歳
調教師:佐々木晶三(栗東)
昨年の本レース(札幌・ダート1700メートルで開催)で2着の実績が頼もしい。前走のプロキオンS(7着)は、重馬場で前が止まらないコースレコード決着。直線での末脚にかける本馬には厳しい馬場と展開だった。約6か月半ぶりの前走を1度使われ、ここで本領発揮のムードが漂う。
前走のプロキオンSはレース直前に雷を伴う激しい雨が降り、一気に脚抜きのいいダート(重)になった。結果は1分40秒9のコースレコードが飛び出す決着。後方から勝負に出た本馬にとっては厳しい展開となった。騎乗した藤岡佑介騎手はレース後に「外を回しても届かないと思って、内をさばく形を選びました。いつものビュっとした脚が使えませんでした。もっと体が絞れたら」と話した。久々だった前走は馬体重18キログラム増で、ここは1度使われた上積みも期待できる。昨年のエルムSは道中で一気にポジションを上げて2着に好走。地方交流重賞での実績も確かで、小回りコースへの対応力は高い。レース中の前進気勢も健在で、9歳でも侮ることはできない。
牡4歳
調教師:藤岡健一(栗東)
3度目の正直で重賞獲りを狙う。重賞に挑戦した近2戦(マーチS、平安S)はともに悔しい敗戦。それでも、着順は14着から2着と大きく前進し、重賞でも通用可能なことを示した。条件クラスの3連勝はGⅠ級のインパクトがあった。今度こそ重賞初制覇を決めて大舞台へ羽ばたきたい。
昨年10月にダートへ戦場を移して覚醒。1勝クラス(京都・ダート1800メートル)、2勝クラス・犬山特別(中京・ダート1900メートル)、3勝クラス・アレキサンドライトS(中山・ダート1800メートル)を3連勝。2着馬との着差はそれぞれ7馬身、5馬身、5馬身で、底知れないポテンシャルを示した。重賞初挑戦のマーチSは14着だったが、前走の平安Sは逃げて2着を確保。騎乗したC.ルメール騎手は「マイペースで息が入ったけど、勝ち馬に早めに来られたのが残念でした」と敗因を分析した。中間は早めに函館競馬場に入厩し、入念な調整を消化中。先手を奪えるスピードがあるので、初挑戦の函館コースも合いそうな印象を受ける。ここは通過点にできる器だ。
牡8歳
調教師:大根田裕之(栗東)
ここは昨年6月のオープン特別・三宮S(阪神・ダート1800メートル、1着)以来の実戦復帰。脚元の疲れで昨秋と今春の出走を見送った。ただ、前々走の平安Sでも2着に好走しており、力上位は明確。焦点は中間の仕上がり具合になりそうだ。
1年以上の間隔が空いたが、休養前はダートの一線級と互角に渡り合っていた実力馬だ。昨年5月の平安Sは楽に好位をキープし、直線半ばで先頭へ。最後はオメガパフューム(1着)にかわされたが、東京大賞典(GⅠ)3連覇の相手と0秒2差の2着。騎乗した幸英明騎手も「最後までしっかりと伸びてくれて、力のある内容でした」と評価した。続くオープン特別・三宮Sも、トップハンデ58キログラム背負って実力馬クリンチャー(2着)を撃破し、地力の高さを証明した。その後は長期休養となり、さすがに陣営のトーンは慎重だが、中間はしっかりと調教を積んできた。自身の力を出し切れる状態で出走できれば、2019年みやこS以来の重賞2勝目も見えてくる。
牡6歳
調教師:須貝尚介(栗東)
前走のオープン特別・マリーンS(函館・ダート1700メートル)で、昨年のマーチS以来の勝利をゲット。厳しい消耗戦を好位からしぶとく押し切った内容は評価できる。今回の斤量は、近2戦の59キログラム、57.5キログラムより軽い56キログラム。連勝は十分に可能だろう。
前走のオープン特別・マリーンSは根性あふれる走り。ラストはオメガレインボー(2着)との激しいマッチレースになったが、闘志を前面に押し出す伸びで差し返し、しぶとくハナ差制した。騎乗した松田大作騎手は「ペースが流れてくれたので、バテ合いに持ち込めました。こういう形になると、最後まで辛抱して頑張ってくれます」と称えた。マリーンSはオメガレインボーより1.5キログラム重い斤量を背負っていたが、ここは同じ56キログラムになるので、さらに与しやすくなる。北海道では2勝、2着1回。好位で器用に立ち回れるレースセンスがあり、トリッキーな舞台で良さが出てきた。前走後は短期放牧でリフレッシュ。万全の状態で出走できそうだ。
牡6歳
調教師:高柳大輔(栗東)
強敵が集った前走のかしわ記念(JpnⅠ。船橋・ダート1600メートル)で2着に好走。今回の函館・ダート1700メートルでも昨年の2勝クラス・駒場特別を快勝している。脚質に自在性があり、小回りコースで真価発揮といきたい。
前走のかしわ記念(JpnⅠ)は、先に抜け出したカジノフォンテン(1着)を目がけて外から強襲。ゴール前で並んだように見えたが、わずかハナ差だけ及ばなかった。騎乗した戸崎圭太騎手は「いい感じで成長しています。向正面で内と外から挟まれてリズムを崩しましたが、我慢して反応良くしっかり伸びてくれました」と高く評価した。11番人気で2着に好走した昨年11月の武蔵野Sのように東京コースでも好走例はあるが、昨年の2勝クラス・駒場特別(函館)、3勝クラス・TVh賞(札幌)、今年のオープン特別・門司S(小倉)と、直近の3勝はいずれも小回りのダート1700メートル戦。今回の舞台設定も歓迎だろう。休み明けの実績もあり、いきなりの激走があっても驚けない。
牡6歳
調教師:橋口慎介(栗東)
2017年のホープフルSを制した芝のGⅠ馬。ダートでの重賞初勝利も昨年のエルムSで挙げている。戦績にムラがあるタイプで、1番人気で12着に敗れた前走のオープン特別・マリーンS(函館・ダート1700メートル)の後でも警戒が必要になる。
昨年のエルムSは中団後方の外で折り合いに専念。3コーナーからスルスルと進出し、4コーナーで先頭を射程圏に入れた。最後は2着ウェスタールンドを2馬身引き離してダート重賞初制覇を達成。騎乗したC.ルメール騎手は「状態がすごく良く、返し馬も良かったです。いいポジションを取れたし、リラックスしていたので、いい競馬ができると思いました」と振り返った。前走のオープン特別・マリーンS(12着)は、道中でエキサイトして体力を消耗し、直線も粘り切れなかった。ただ、昨年のオープン特別・マリーンS(函館・ダート1700メートル、1着)、今年の根岸S(3着)は、いずれも前走着外から一変した形。戦績にムラがあるタイプだけに、大敗直後でも注意が必要だ。
牡8歳
調教師:清水英克(美浦)
2017年の帝王賞(JpnⅠ。大井・ダート2000メートル)、2018年のJBCクラシック(JpnⅠ)優勝など、実績はここでも最上位。今回は転厩初戦となるが、脚元の不安は解消されつつある。経験値で1年以上のブランクをカバーできるのか、注目だ。
休養前の昨年春はフェブラリーS、かしわ記念(JpnⅠ。船橋・ダート1600メートル)でともに2着と好走。ダート界の最前線で能力を示した。その後は6月の帝王賞(JpnⅠ。大井・ダート2000メートル)を最後に脚部不安で1年以上の休養に入ったが、状態は徐々に改善し、美浦トレーニング・センターの坂路を全力で駆け上がるまで回復した。振り返れば、2019年浦和記念(JpnⅡ。浦和・ダート2000メートル)も約10か月ぶりの実戦でいきなり優勝。気性的にも久々は問題ないだろう。地方交流重賞での数々の実績、ダートの一線級をねじ伏せてきたスピードから、小回りの函館コースも好印象。直前の気配は気になるが、復活Vの条件はそろっている。
(高木 翔平)
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